サン・ダミアーノ

2021-12-31 20:41:41 | 旅行記


数年前にイタリア中部のアッシジを旅行したとき、サン・ダミアーノという修道院を訪れました。
イタリア在住時の記憶を珠玉のエッセイにしたためた須賀敦子の著作や、エリオ・チオルの写真集などの影響で、僕にとっては訪れる前からかけがえのない場所でした。
ですが大学の建築学科の授業や専門書ではまったく登場しない場所です。そういうものなのですよね、本当に「効いてくる場所」というのは。
実際に訪れてみると、僕にとっては理想とも思える場所でした。

集まって暮らすことの理想形、というのでしょうか。
個人が一人で過ごす場所と時間、そして他者と関わりながら過ごす時間と場所。
そういったことがとても自然に感じられる雰囲気に満たされていました。

平穏と安らぎ。
そういったことをじんわりと思い浮かべました。
華々しい建築デザインというよりも、平穏や安らぎの感覚をもたらしたい、という思いをより強くした経験でした。
そうした旅の記憶が徐々に僕の内面のなかでも熟成されて、新たな設計のなかに活かされていくといいのですが。

今年もブログにお付き合いくださいましてありがとうございました。
どうぞよいお年を。
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冬薔薇

2021-12-24 18:47:24 | 自由が丘の家


東京はここしばらく晴天が続きます。明日からは寒波がやってくるということで、凍てつくような寒さになるのでしょうか。
冬の庭は草花が枯れて寂しいようでありながら、冬ならではの枯れ色の美しさがあるように思います。
数は少ないけれど、そのなかで咲く花は引き立ちます。

冬薔薇をバードバスに活けて。
なぜか冬には小鳥さんがよく来るんです。
年末が押しせまり、なにかと忙しくパソコンに向かって図面を引いたりメールを書いたり見積書をチェックしたり、というような合間にふと、小窓越しに小鳥の声と姿が見えると、やはりこころが和みます。
建築に草花とか鳥とかなんて関係ないし!と思っていた建築学生時代からすると、想像もできなかったことですが(笑)

Merry Christmas!


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雨の日の窓辺に。

2021-12-18 20:57:25 | 大磯の家


一年点検で訪れた「大磯の家」。久しぶりの訪問だから、気持ちよく晴れてくれることを望んだけれど、なぜかその日だけ、冷たい雨。
ちょっとがっかりしつつも、晩秋の雨に濡れる平屋の家は、むしろしっとりとした風情で、良い時に出会えたことを嬉しく思いました。

雨が似合う家は、いい家。
僕にはそんな信条があります。
雨の日に室内にいて居心地よく感じること、安心感を感じること。
そんなことを大切にしたいと思います。

前掲の写真は前回のブログと同じシーンの写真ですが、前回のブログでは新緑の季節。今回は紅葉の季節。
同じ場所でも変化があるのは楽しいもの。

写真では映しきれないけれど、葉の色は渋く、黄色味を帯びています。
大工さんが丁寧につくってくれた木の窓枠や、家具や小物の質感が映えて。
そんな風情に寄り添いつつ窓辺のテーブルに座って過ごす時間は、やはりいいものです。

住宅のデザインをする人の心は、極端に分けると二通りあるのではないかと思います。
ひとつは、空間に「訪れる」人の心境を思い描きながら、気分が高揚するようなデザインを求めること。
もうひとつは、空間に「帰ってくる」人の心境を思い描きながら、平穏に誘うようなデザインを求めること。

昨今ではWEBで多くの住宅デザイン事例写真を閲覧できるようになりましたが、その多くは華やかで「訪れる」デザイン派のものが多いように思います。
きっとそのほうがフォトジェニックですしね。
でも、僕は「帰ってくる」デザイン派として、より腕を磨いていきたいなあと思います。


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ホームページの更新

2021-12-10 21:53:36 | アート・デザイン・建築


近年に竣工した住宅のなかから、写真の準備ができた作品をオノ・デザインのホームページにアップしました。
合計7作品の更新となりました。

2005年の独立以来、16年にわたって活動してきた内容は、もちろんどれも異なるのだけれど、共通しているようでもあり・・・。
はじめは無意識でやっていたことが、だんだんと自覚的になってきたようにも思います。
それは、「モノ」のデザインではなく、「居場所」や「空気感」のデザインをやっていきたい、ということ。
新しくモノをかっこよくつくり上げるのではなくて、既に存在する身の回りのモノを受け入れて、その趣きを引き出すというようなこと。

話題性のある斬新な設計活動をしている建築家でも、住宅を設計している建築家でも、だいたい「建築」という言葉で話をするのだけれど、僕はあまり「建築」という言葉を使うことがありません。
それはやはり、建築家の設計作品に憧れてこの仕事に就いたのではなく、きっかけは、古びたロマネスクの教会とそのまわりに暮らす人々の写真集が深く心に残ったから、ということに繋がっていると思っています。
「建築」というよりは、「居場所」だとか「空気感」ということに関心があるのだろうと思います。
そんなわけで、雑誌やメディア向けの設計活動をしているわけではないけれど、僕のブログやホームページを見て、なにかいい感じ、というふうに思ってくださる方もいて、そんな方々と価値観を共有できるのは、とても嬉しいことです。
少しあらたまったかたちで思いを綴ったり表現できるブログやホームページという媒体は、やはり楽しくありがたいものだなと思います。

よろしければ 下記URLの更新したWORKSページも覗いてみてください。
http://www.ono-design.jp/works.php
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アーチの猫トイレ

2021-12-06 23:06:25 | 古河の家


「古河の家」は愛猫とともに暮らす家。
猫がいる家で悩ましいのは猫用のトイレをどうするか、ということ。
ニオイも強いですから、トイレを離れたところに置きたくもなるけれど、離れた場所をすんなりと猫が受け入れてくれるのか・・・。

そんなことを考えつつデザインしたのが、階段下スペースを使ってリビング内から直接入れるように猫スペースを造ることでした。
アーチ型の入口になっていて、インテリアのアクセントにもなりました。中はトイレを置くのに十分な広さ。
掃除をするときには照明がパッとつきます。脇には掃除用具入れスペース付き。
そしてもちろん専用の換気扇付きです。これで室内にニオイは逆流しません。

ほかにも猫と楽しく暮らすための工夫が散りばめられた家になりました。
またの機会にご紹介したいと思います。
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