レトロガラスの魅惑

2022-06-21 21:43:44 | 古河の家


「古河の家」は作家のアトリエ・ギャラリーのある住宅です。いわゆる玄関ホールはギャラリーを兼ねていて、丸いアール天井が細長く奥に続く空間は、さながらロマネスクのよう。
そして、壁に穴を穿つように開けられた窓は細長いスリット状で、仄かな自然光が入ってきます。



このスリット窓には、レトロガラスをはめ込みました。
かつての古い建物にあった歪んだガラス。向こうの景色も歪んで見えて。
そんなレトロな雰囲気のガラスは、キレイさ一辺倒の現代住宅に、古びた趣きをもたらしてくれます。
窓枠もアルミサッシではなく、もちろん木でつくりました。

レトロガラスの傍らには、北欧のアンティークの照明ランプが取り付けられています。
橙色の光が、グレージュに塗られた室内の壁を照らし、不思議な包まれ感があります。
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美しく古びる

2022-06-06 22:11:09 | 古河の家


「古河の家」の点検へ。雨まじりの日でしたが、そのぶん新緑が鮮やかに映えていました。
この敷地は、間口が狭くて奥行きが60メートル!もの長さがあります。このような地型はこの地域特有のもの。
その土地の真ん中に、古い井戸がありました。

古い井戸を残そう。
家の設計はそんなところからスタートし、おのずと井戸を囲むように中庭のある間取りになっていきました。

道路は旧街道で交通量も多いのですが、中庭はそこからうんと離れたような感覚です。
古い井戸を利用した手押しポンプと、モーター式の井戸ポンプが併設されました。
手押しポンプはやはりレトロなデザインのものを。
傍らにはアオダモの株立ちが植わりました。
いつの間にか地面も下草で覆われて、良い雰囲気になってきました。

そんな中庭に面してダイニングがあります。
防火規制のかかる地域ですから、本来であれば防火用のアルミサッシを用いなければなりませんが、一定の長さの防火壁を設けることで、木製の窓がつけられるという緩和規定を利用して、オリジナルに木製窓をつけました。
この木製窓は両開き式で、全開口すると庭と一体的につながります。
決して大きくはない中庭だけれども、このようにダイニングと一体感があると、宝物のように感じます。



室内から見ると上の写真のような感じ。
窓からは中庭の緑と、自分の家の壁と、空が見えるだけ。
静かで穏やかな時間が流れます。

古河の旧市街がもつ、古色ある街並みの雰囲気。
隣の家は錆びたトタンの壁。でもそれも不思議といい感じ。
そんな古びた雰囲気に寄り添うように、新しいこの家も、「美しく古びる」ことに向けて素材やデザインが考えられています。
レトロな手押しポンプもそのひとつ。
室内には暗色の無垢のフローリングが敷かれ、壁はぐっとドーンの抑えられたグレージュ色に塗られ、次第に色が褪せて味がでる木製窓があり、ダイニングテーブルとペンダントライトは北欧のアンティークのもの。

新しい家だけれでも、古びているような。
古びているようだけれども、懐かしいという感覚とも違って、心が落ち着くような感覚。不思議な空間です。

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アーチの猫トイレ

2021-12-06 23:06:25 | 古河の家


「古河の家」は愛猫とともに暮らす家。
猫がいる家で悩ましいのは猫用のトイレをどうするか、ということ。
ニオイも強いですから、トイレを離れたところに置きたくもなるけれど、離れた場所をすんなりと猫が受け入れてくれるのか・・・。

そんなことを考えつつデザインしたのが、階段下スペースを使ってリビング内から直接入れるように猫スペースを造ることでした。
アーチ型の入口になっていて、インテリアのアクセントにもなりました。中はトイレを置くのに十分な広さ。
掃除をするときには照明がパッとつきます。脇には掃除用具入れスペース付き。
そしてもちろん専用の換気扇付きです。これで室内にニオイは逆流しません。

ほかにも猫と楽しく暮らすための工夫が散りばめられた家になりました。
またの機会にご紹介したいと思います。
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古河の夕暮れに。

2021-11-29 21:47:54 | 古河の家


「古河の家」に点検を兼ねて訪問しました。
古河市の旧市街には、間口が狭く奥に細長い外区割りの地域が残っていて、そのなかの一区画に建てた家です。
アトリエとギャラリーを併設した細長い家。

ダイニングは中庭に面しています。ひととおり点検を終えたあと、ケーキとお茶をご馳走になりながらしばし談笑しました。
居心地よく暮らしやすいこと、設計者としては冥利に尽きる言葉も頂戴し嬉しいかぎり。

ゆっくりと過ぎていく午後の時間。季節外れの寒い日で、ペレットストーブの暖かさがぐっと沁みます。
とっぷりと骨太の木の建具、暗色に塗られた壁の色、アンティークの家具。
そういったものに囲まれて、得も言われぬ安堵感があります。



リビングは家の一番奥にあります。庭に面して大きなガラスがあって、そこから庭が見晴らせます。
コロナ禍のなか、野菜作りを始められたとのこと。
収穫された作物があり、これからDIYで造る舗装用の枕木が積まれていたりします。
少しずつ、新しい生活に向けたいろいろなチャレンジが始まっているようです。

庭の向こうは、渡良瀬川の方角です。
西に向いていて、遠くに夕焼け空を望みながら、室内には徐々に陰影が深まってきました。
ペレットストーブの炎が時折パチンと音をたてながら鮮やかに燃えています。

なんだろう、この満たされる感じは。
山や川が見えるわけでもないけれど、やはりこの家はどこかこの風土に繋がっているような気がするのです。
古色然とした街並みのなかにすっと沁みこむように佇み、見えない河の気配を室内に宿しているかのようです。

風土と家。そんなことをじんわりと感じさせてくれる家でした。



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束の間の・・・

2021-09-27 23:33:27 | 古河の家


涼しくなってきて、窓を開け放したくなる季節(と思いきや すぐに台風発生の一報があったりするのだけれど)になりました。
気持ちのよい季節は案外と限られているから、なるべく満喫したいものです。

設計した住宅で、いろいろな窓辺コーナーをつくってきたけれど、中庭のある家は独特の風情があります。
写真は「古河の家」。
中庭とよぶにはこじんまりとしているかもしれないけれど、小さいからこそ親密な雰囲気になりました。
木製でできた両開きガラス戸を開け放して。

ダイニングテーブルはチーク材でできた北欧のアンティーク。
古びた家具が似合うように、壁や天井のペンキ色はぐぐっとダークな色調に。
その仄暗さが、ふうっと息をついて落ち着けるような心地よさをもたらしてくれます。
温かいコーヒーでも淹れて、ほっと一息。
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