成城の家 引き渡し

2013-10-27 17:10:53 | 進行中プロジェクト

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東京・成城ですすめてきた2世帯住宅が完成し、引き渡しをしました。設計のご依頼を受け、案を練り始めてから2年間をかけて、打合せを重ね、じっくりと取り組んできた住宅です。

永らく住み慣れてきた土地での建て替えですから、それまでの生活スタイルも引き継ぎつつ、ゆったりとした土地の魅力を活かすような家にしたいと思いながら設計しました。

結果的に、大きな庭に面して、さまざまな雰囲気の窓辺を散りばめるようにして家をつくりました。それぞれの窓辺のスペースに腰を落ち着けると、同じ庭でも、異なる雰囲気に感じられるように工夫をしました。

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上の写真は、2階のリビングです。庭の緑がなるべく身近に感じられるように、ベンチを造りつけ、その上に大きな窓をつくりました。自然に庭を見下ろせるような窓辺になっています。

その手前には少し籠った感じの書斎コーナーがあり、デスクや棚が造りつけられています。小さな天窓からの光で照らされ、光と陰影の心地よい、趣のある雰囲気になりました。

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ダイニングに面してロッジアが造られています。ロッジアとは、屋根のある屋外テラスのことで、屋外でありながら壁で守られた落ち着いたスペースです。手摺りはあえて木で大きくつくり、包まれたような安心感のある雰囲気を大切にしたいと思いました。

家具がはいり、植栽が馴染んできた数年後、だんだんとこの家独自の居心地の良さが増してくることが楽しみです。そんな様子を、またこのブログで少しずつご紹介できたら、と思います。

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西日をおいかけて

2013-10-20 19:15:42 | 自由が丘の家

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西日というと、ギラギラと暑苦しくて、あまり好まれないことが多いように思います。それでも、西日にはやはり独特の風情があると思います。

そんな風なことを印象的に思ったのは、パリのノートルダム寺院を見た時。西に面するファサードに、夕方、強く光が差していました。白い石でできたファサードは輝き、また、彫刻の陰影がくっきりと浮かび上がり、一日のなかでもとりわけ印象的な光景でした。昔のパリの街並みは、積年の汚れで真っ黒だったといいますが、ノートルダムもそうであったならきっと、夕方の西日の差す時間だけは、はっきりと白亜の輝きを見せたのかもしれません。

堂内に入ると一変、闇に支配された空間になるわけですが、ファサードの薔薇窓から差し込んでくる西日で、ステンドグラスの鮮やかさは一段と際立っていました。その光景を眺めながら思い出していたのは、なぜか日本の寺のこと。京都・大徳寺境内にある孤篷庵・忘筌での体験でした。

忘筌という名の茶室は、西に面していて、縁側の上半分に障子が付けられ、下半分が吹きさらしになっている独特の造りになっています。その室内に身を置いて、夕方のひと時を過ごしました。その日は曇りがちの日で、時折、西日が目を覚ましたように差してきます。その時、部屋全体が覚醒するかのようにぐーっと明るくなり、一日の終わりを名残惜しむかのような風情がありました。

そんな西日の風情を思い起こしながら、私の設計アトリエの2階に住居をつくりました。必要なものだけを選んで造作したシンプルな室内ですが、そのなかで、西に面した高窓には障子が吊り下げられ、部屋全体を柔らかい光で満たすようにしたいと考えていました。

夕方、陽が西に傾いてくると、障子で拡散された光が室内を独特の雰囲気に変えてくれます。白い壁の多い室内のなかで、それは以前にフィレンツェで訪れた修道院のような、優しく、慎ましやかな趣きをもたらしてくれます。そんなことを連想したり思い出したりする時間も、楽しいものですね。

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