障子のある室内

2019-10-11 22:46:45 | 片倉の家



写真は、「片倉の家」の室内。天井は徐々に下がってきて、窓辺の天井高さは約180センチほどの、背丈よりも少し高いくらいに抑制されています。
それが、何か包み込まれるような居心地の良さをつくりだしてくれます。

無垢のブラックチェリーの床板に、ペンキ塗りの壁と天井。たったそれだけの窓辺の空間に、ダイニングテーブルがポンとひとつあるだけの、簡素な室内。
素材が少ない分、それぞれの風合いが引き立ちます。
ダイニングテーブルは、山桜の木を使って家具職人に作ってもらいました。

窓の外の風景が見えるのもよいけれど、風景が見えず、自然光だけがはいってくる室内の雰囲気も、ぼくはとても好きです。
たとえば障子を閉めた時。
深い陰影とともに、しんとした静けさが訪れます。窓からは障子越しに抑制された光がじわっと入ってきて、テーブルや床板の木目がぐっと引き立ちます。
この窓辺があればいい。そんな風に思える充実感があり、同時に、なんだか眠くなってくるような安心感があります。

窓の外では、雨足が強まってきました。もうすぐ大きな台風がくる予報。
家は安心できる場所でありたい。つくづくそう思います。

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丸い扉

2019-10-06 23:18:13 | 桜坂の家


家を訪問した際に、印象に残るシーンは何かしらあるものだと思いますが、「桜坂の家」では、不思議なことに多くの方に言われるのが「丸い扉」のこと。
リビングに白い大きな壁があって、その中に突然、その「丸い扉」はあります。
黒い和紙が貼ってあって、ちょっと高さの低い扉。
丸い扉と言われたり、アーチの入口と言われたり、あるいは、茶室だよね、と言われたり。

実際には、扉の奥は和室になっていて、茶室ではないですが、すこし独立した雰囲気の部屋になっています。
扉の奥に、なにか謎が秘められた感じ。
外の緑が鮮烈だからこそ、逆に黒い扉のもつ「謎」感がつよまります。
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スケッチ

2019-10-02 21:12:40 | アート・デザイン・建築


エクスナレッジ刊「建築知識」10月号は、パース・スケッチの特集。僕も編集協力させていただき、何点か手描きスケッチを掲載いただいています。
特に住宅設計では、CGよりも手描きのスケッチの方が雰囲気やニュアンスが伝わりやすいように思います。

手描きのスケッチは自分の手を動かして描くので記憶に刻まれやすいのか、それを見ると、描いていた時に思っていたことがじんわりと胸中に蘇ります。
なんだか日記みたいなものですね。



このスケッチはちょうど10年前に、仙台に建つ「青葉の家」のために描いたもの。まだ実作が少なかった頃で、なんとか実現したいという渇望がものすごかった(笑)のを思い出します。
あっさりのスケッチに見えますが、左官塗の外壁に、板張りの腰壁に、木でできた格子窓に、ひとつひとつに思い入れを込めて描いたものでした。
このスケッチを含めて数点が「建築知識」に掲載されていますので、よろしければぜひご覧ください。
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