不揃いの石

2022-03-26 23:04:57 | アート・デザイン・建築


フローリングの木の話の次は、石の話。
上の写真は、フィレンツェで訪れた修道院の床の舗石。
何百年も風雨に晒されていますから、この風合いは新築の住宅で真似しようはないのですが・・・
それにしてもいい味です。

風化した石の表情のさることながら、石の切り出し方にも技芸がありますね。
敷き並べたピースの間からはコケらしき緑が見えて。これも良い雰囲気です。

メーカーから出されている製品は、どれも寸法がきちんとできているから、良い意味での不揃いな感じは出にくいもの。
そこで、もともと寸法の不揃いのモルタル製の下地材を並べてできあがったのが下の写真。
間からはコケも生えてよい雰囲気になりました。
こちらはできあがって10年ぐらいの写真ですが、フィレンツェの何百年の大先輩になんとか追いつこうとした労作!?です。


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チークのフローリング

2022-03-21 22:36:43 | 祖師谷の家


「祖師谷の家」で使ったチークの無垢材のフローリング。
チーク材は古来より堅牢で美しい素材として重宝され、家具や船舶などにもよく使われてきました。
チークに限ったことではないけれど、無垢の良材は伐採規制などにより世界的に枯渇しています。
その状況は今後ますます深刻になっていくと思います。
いろいろな技術は発展していくのだけれども、かねてからあり続けた事物は、ずっとあり続けてくれるわけではありません。
無垢の木をふんだんに使う、というよりも、それらが暮らしのなかで役に立ち、活き活きとした姿を見せてくれるような使い方をしたいものです。

木漏れ日を受けるチーク材の表情を見ているだけで、なんだかいいなと思います。
チーク材は、少し翳りがあるような空間で見ると、その特徴がよく表れるように思います。
まだ真新しい床だけれども、これから暮らしのなかでたくさんキズや凹みもついて摩耗し、それが味になっていくのだろうと思います。

コストを考慮して、要素を抑えて設計した住宅だけれども、その分ひとつひとつの素材や要素の存在感が際立つ家になりました。
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寄る辺のある家

2022-03-10 17:42:49 | 祖師谷の家


「祖師谷の家」の現場が大詰めを迎えました。ウッドショックに影響も受けたけれど、ここまで辿り着いて感慨無量です。

床面積23坪の小住宅。都心の住宅街にあるこの敷地は家々に囲まれているけれど、隣地の一部に竹林が見え、それを拠り所にしながら設計をしました。
竹林に面してちょっとした吹抜けがあって、そこには背の高い窓が据えられています。
竹林越しに木漏れ日が室内の奥深くに入り、光と影が余韻となって、白い壁や木のフローリングに映り込んでいます。

小さな住宅のなかに現れた大きな窓は、心身の寄る辺となることでしょう。
心身の寄る辺がある家には、平穏や安らぎが宿るように思います。
大きな家でも、小さな家でも、そんな感覚を大切にしたいなと思います。
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ユニバーサルデザインに向けて

2022-03-04 22:06:43 | 経堂の家


住宅の玄関は、段差がありながらも靴の脱ぎ履きをするので、使いやすくするには工夫が必要です。
ご年配になっても苦にならない段差の高さであったり、掴まれる手すりがあるのは大切です。

写真は「経堂の家」の玄関。ベンチと手すりを備えました。
ベンチも手すりも、メーカーから製品が出されていますが、とってつけた感じになるのは残念です。
この家では北欧デザインを参照した色使いや器具を多用していましたので、玄関も、北欧の建築家アルヴァ・アアルトの設計した住宅のエッセンスを活かしながらデザインしました。
手すりは木を用いて大工さんに造ってもらったものですが、丸い棒を壁や天井に強固に取りつけるための工夫をよく打合せしながらできあがったものです。
大工さんにはご苦労をお掛けしましたが、玄関ドアを開けると、特徴的な階段ホールが出迎えてくれるのは楽しいものです。


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