室生寺の石楠花

2019-05-08 22:19:10 | 京都さんぽ


5月。奈良の室生寺では、しゃくなげの花が美しいとき。
先年も前に建てられた伽藍は、周囲の木々よりも古いのだとか。
土門拳曰く、芸術は自然より長いのだ、と。

なんだかこんな風景を眺めるだけで、心が落ち着く。
感動するのでもなく、わくわくするのでもなく、すっと染み入る感じ。

ほんのちいさな、でもとても意義深い場所。
そんな場所がずっとあり続けるのは幸せなことですね。

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冬の色

2018-01-05 10:23:13 | 京都さんぽ


正月に快晴が続いた東京も、今日は曇天。でもその鉛のような空も、それはそれで冬らしくていいものです。

写真は京都・修学院離宮の池の袂。今日のようにどんよりとした空のもと、古びた木の欄干がいい色をしていました。

枯淡、無名色。

個性を押し出して目立とうとする時代に、本気でこんな渋みを出せたらいいなあ。
そんなことを心の中で思いつつ、今年もじっくり仕事に取り組みたいと思います。
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京都さんぽ。16 ~壁の街~

2017-05-09 06:35:41 | 京都さんぽ


京都の大徳寺は不思議な場所で、その特徴はなんといってもその壁の多さ(?)でしょうか。
屈曲しながらつながる壁に誘われるように、奥に奥にはいっていく空間構成は、独特の風情があります。

大徳寺内にある、普段は非公開の養徳院。壁のなかには別世界が広がります。足元の踏み石のつながりを見ているだけでも美しい。
ある日の夕方、若い庭師がテキパキと手入れをしていました。
もう何百年と、世代を超えて庭づくりの作法が受け継がれていることに、目に見えない時間の厚みを感じます。
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京都さんぽ.15 ~雨~

2014-06-08 20:19:25 | 京都さんぽ

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梅雨の雨もしとしとと降る分には風情がありますが、最近の異常な降り方を見ていると、やはり気候変動が進んでいることを実感する思いです。きっとこれから、雨の量も増えていくのでしょうか。なるべく雨と仲良く付き合うような暮らし方をしたいものです。
 

 雨の日に特有の風情があると思います。晴れの日の華やかさが影を潜め、本来そこにある気配が覚醒するかのような。そんな感覚になったことがありました。たとえば、中部イタリアのアッシジで。またたとえば京都の大徳寺で。

 緑というのは不思議なもので、晴れの時よりもむしろ鮮やかに感じられます。そんな中を歩んでいくアプローチは素敵です。

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雨の日は傘をさしながら、なんとなくうつむき加減で歩くように思います。その目線の先の舗装を見ると、その美しさにはっとさせられることがあります。
 

 写真はいずれも京都・大徳寺の高桐院にて。大徳寺境内の塔頭のなかで、いつでも公開している4つの寺院のうちのひとつ。紅葉の季節が有名ですが、雨の日がいちばん美しいと思います。

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京都さんぽ.14 ~俵屋 その一~

2012-02-07 19:01:15 | 京都さんぽ

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京都に「俵屋旅館」という老舗旅館があって、宿泊する機会がありました。今日の東京のように、そそと雨の降る夏の日。

良い建築というのは、晴れた日よりもむしろ、雨の日にその魅力が増してくるように思います。雨の俵屋は、そのことをあらためて感じさせてくれるような場所でした。京都市中の、市街地に建つ立地。建築家・吉村順三の手による増築デザインを重ねながら、俵屋旅館は静かな佇まいをもっています。老舗の旅館としてはさして広くない敷地の廻りをぐるりと、高い塀が囲んでいて、その上から木々が顔をのぞかせています。塀で囲いこんでしまうのは、排他的な雰囲気を出す一方で、独特の秘めやかさを感じさせてくれます。もちろん、相応の質感や間合いなどが備わってはじめて、無味乾燥としたものではなく、秘めやかさという魅力が表れるのでしょう。

そんな佇まいを見ながら、僕はメキシコの建築家ルイス・バラガンの自邸のイメージを重ね合わせていました。バラガンの住宅も、道に面して素っ気ないほどの外観を見せながら、中には室内と庭とが独特の情感をもってつながる、静けさに満たされた場所がひろがっています。遠く離れて、文化も異なる場所でありながら、そのふたつの場所にはきっと、相通ずる魅力があるのだろうと思います。

道に面して開けられた小さな入口をくぐると、折れ曲がりながら路地が奥に続きます。その細く小さな空間に現れるひとつひとつのしつらえが、簡素な美しさをもっていました。ところどころに庭を織り交ぜながら、空間が奥へ奥へと続き、街からどんどんと遠ざかっていくような、そんな感覚になります。秘めやかで、奥行きのある場所の雰囲気は、京都に多くみられる特徴のように思いますが、俵屋の空間は、その極致のように思います。

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図書室の前の庭の風景。大きな左官の壁。地面に近く低く開けられた窓。雨に濡れ鮮やかな緑。広くないにもかかわらず、他のお客さんと目が合うことがないように工夫された空間のプロポーションに、思わず見入ってしまいました。

ほの暗く、包まれた感じ。

それがいかに居心地が良いものであるかを、しみじみと感じさせてくれる場所でした。敷地内に散りばめられたそんな場所の数々を、折に触れてご紹介したいと思います。

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