画家のアトリエ

2015-02-21 09:45:49 | 日記

 
 「庭師と画家の家」に、アトリエを増築する工事が始まりました。画家Yさんののアトリエと、絵画教室を兼ねたスペースになります。
既存の条件に合わせながら、なるべく多く自然光が入るように窓をつくり、モチーフの収蔵スペースや書庫をつくります。大きくはないスペースですが、玄関からはいってアトリエスペースに進むまでの間に、絵を描くことに気持ちが切り替わっていくような雰囲気にしたいと思いました。

 大切にしたのは、書庫の配置。画家Yさんは、もともと多くの画集をお持ちでした。多くの画集と共にあるアトリエ。それらの画集を身近に感じながら創作をする場所にしたかったのです。そこで、玄関をはいるとすぐ目の前が画集でいっぱいの本棚を配置することにしました。そこを通ってアトリエへ。画集やモチーフがならぶ高密度な空間から、余白が印象的なアトリエへ。その対比的な空間を移動する中で、絵の世界に気持ちが向くようにしたかったのです。



 「庭師と画家の家」は、できあがってから7年が経ちました。古家具・古道具屋さんなども多い西荻窪のなかに、その極端に間口が狭く奥に長い家は建っています。いろいろなアートピースが家の中に飾られ、ゆっくりと息づく場所にしたいと思ってつくった家でした。家の中を移動するごとに、アートピースが現れては消える。そう、家全体がギャラリーのようになっているのです。現代的なアートギャラリーというよりは、古色ある雰囲気に。それは西荻窪がもつ雰囲気へ寄り添いたいという気持ちの表れでもあります。そして、油絵がこの世に生まれた時の、秘めやかな光、ろうそくの炎に照らされて描かれていた時代の初源的なイメージを宿らせたいと思ったのです。

 7年が経ち、壁に掛けられた絵も、静かにゆっくりと息づいているように見えます。
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手作りのタイル

2015-02-09 16:44:06 | アート・デザイン・建築

 つくってみたら、こんな風にできましたよ。ひとつひとつ型に土を押し込むのでちょっと手間なんですけど、案外おもしろいです。
そんな風に言いながら、Hさんはテーブルの上にタイルの試作品を広げてくれました。
Hさんご夫妻はプロの陶芸家で、僕はいま、アトリエ兼住居を設計しています。

 Hさんは、普段は食器づくりが主なのですが、タイルもやれないことはないかな、ということで、実際に家に貼るためのタイルをつくってもらうことになったのでした。
今回はその試作品。一辺3センチ程度の小さなタイルで、モザイクタイルとよばれるものです。
作業そのものは難しいものではないそうです。でも、土や釉薬の選び方で、できあがったタイルの色や表情がまるで違うことに驚きました。
たとえば、土の種類が異なれば、上にかける釉薬が同じでも、まったく異なる色味・風合いのタイルになるのです。

 

今回見せていただいたタイルの釉薬は、すべて「鉄」の配合具合によって色味のバリエーションを出している、とのこと。
ベンガラの粉などを、2パーセント、3パーセント・・・と量をほんの少し変えるだけで、焼成した後の色味がまったく変わるのだそうです。
鉄がつくりだす不思議。それを我が物として習得するためには、やはり長い長い経験が必要なのだろうと思います。陶芸の奥深さを垣間見た瞬間でした。

 それにしても、どれも得も言われぬ渋い色! 人工的につくった作為ある色ではなく、これもそれも全て、鉄が醸し出す色なんだと思うだけで、何か腑に落ちる気持ちになります。
そして、釉薬のかかり方によって自ずとできる色ムラやニュアンスが、強い存在感となって表れます。さあ、どのように活かすか。それを考えるのが楽しみです。
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