ハンマースホイのような室内。

2020-03-29 21:53:12 | 練馬 梅園の家


現在では、いろいろな機能的な建材が流通していて、それを組み合わせるようにして建物がつくられるのをよく目にします。
洗面カウンターにしても、水を通さない樹脂で一体成型された洗面ユニットが発売され、現場ではそれを据えつけるだけ。

でも、それだとなかなか愛着がわかないなあと思います。
使っていて楽しくないし、気持ちよくない。
だからいつも、自然な材料を即物的にシンプルに使って、洗面カウンターを作ります。

洗面カウンターには木を使い、撥水材でコーティング。洗面ボウルをその上にどんと置き、その背面には水はね防止のタイル貼り。
カガミも、現場にちょうどのサイズで作って、まわりを木で縁取りします。
そうやってできあがった空間は、自然光に照らされて、素材感の独特の趣と静けさのような雰囲気が現れ、デンマークの画家ハンマースホイの絵のなかの室内をちょっと思い出します。

こういう場所は、なにもワクワク感をもたらそうとして作ったわけではないけれど、やっぱり気持ちよくて、使っていて楽しいと思います。

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ozoneでの展示

2020-03-21 18:35:29 | アート・デザイン・建築


新宿のリビングデザインセンターOZONEで、「建築家と工務店の底力」展が開催されており、僕のアトリエからも出品しています。
総勢約20組の建築家と工務店から、それぞれのテーマで作品紹介をしています。

オノ・デザインから出品しているのは、「公園の緑を取り込む家」。
公園に面した土地に建つ2世帯住宅で、公園の緑を最大限に取り込んだ家づくりがメインテーマの住宅です。
高く茂る木々を眺められるように、両世帯ともに2階にリビングの空間をつくりました。

展示パネルとあわせて模型も展示しています。不要不急の外出をなるべく避けるべき時期ではありますが、お近くにお越しの際は、ぜひご覧いただけますと幸いです。
OZONEのメインエントランスからすぐのスペースでの展示です!
4月21日まで開催されています。

https://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/897


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とっておきの場所

2020-03-04 17:31:14 | 練馬 梅園の家


前回のブログにつづき、練馬の住宅の話です。
家が大きくても小さくても、「この場所さえあれば、それでいい」と思えるような、とっておきの場所をつくりたいと思っています。
練馬の住宅では、この出窓ベンチのあるコーナーを、そんな思いを込めてデザインしました。
防火規制の地域であること、劣化防止からアルミサッシを使っていますが、それだけだと無味乾燥とした窓辺になってしまいます。
そこで室内側にスプルスの木で窓枠とベンチを造作し、ロールスクリーンも格納できるようにしてあります。
2階にありますから、窓を開けていても、小さなお子さんがあやまって落ちてしまわないように格子網戸をオリジナルに作り、ロックできるようにしてあります。
こうすれば、風通ししながらでも安全です。

写真の季節は梅園が美しく見え、やがてシンボルツリーが植われば、緑を身近に感じられる窓辺になりそうです。
窓枠のスプルスの木がだんだん陽に焼けて、いい具合に飴色に変色していくことを思い描き、その趣きと調和するように、壁の塗装色はちょっとグレージュがかった色に決めました。

磨くようにしてデザインを練り、図面を描き、大工さんと打ち合わせしながらつくりあげた、世界でひとつだけの窓辺。
作り手としては、そんなところに喜びもあります。



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