現在では、いろいろな機能的な建材が流通していて、それを組み合わせるようにして建物がつくられるのをよく目にします。
洗面カウンターにしても、水を通さない樹脂で一体成型された洗面ユニットが発売され、現場ではそれを据えつけるだけ。
でも、それだとなかなか愛着がわかないなあと思います。
使っていて楽しくないし、気持ちよくない。
だからいつも、自然な材料を即物的にシンプルに使って、洗面カウンターを作ります。
洗面カウンターには木を使い、撥水材でコーティング。洗面ボウルをその上にどんと置き、その背面には水はね防止のタイル貼り。
カガミも、現場にちょうどのサイズで作って、まわりを木で縁取りします。
そうやってできあがった空間は、自然光に照らされて、素材感の独特の趣と静けさのような雰囲気が現れ、デンマークの画家ハンマースホイの絵のなかの室内をちょっと思い出します。
こういう場所は、なにもワクワク感をもたらそうとして作ったわけではないけれど、やっぱり気持ちよくて、使っていて楽しいと思います。