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古いミシン

2025-04-09 20:58:30 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


古いミシンがあるんです。
建て主のHさんから見せていただいた写真には、今ではもう作られることのないレトロなミシンが写っていました。
今ではもう手にはいらないもの。

この家は、祖父の思い出が残る古い家の建て替えでした。
家は新しくなるけれど、祖父が大切にしていた庭木を残し、それらと共に暮らす家。
そこに古いミシンも加わります。



庭木の残し方や、それらに向き合う窓の位置や大きさ、リビングの配置について多くのスタディをしました。
古いミシンをどのように置くか、ミシンを使っているときにどんな風景が見えるのか、そんなことを考えました。

懐かしいものと共にあること。
家の安堵感というのは、こういうところから芽生えるのかもしれません。

この家のソファにごろんと横になってゆっくりしていると、ほんとに落ち着くそうです。
音楽を聴きながら、ゆっくりと流れる時間。

そういうのも、ヒュッゲですね。

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ともにあるもの。

2022-11-20 22:34:52 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


「南阿佐ヶ谷の家」の一年点検へ。
この家は、祖父が大事に育てた庭を残して建て替えました。祖父の庭木に寄り添うような居場所をつくるのが、設計当初からのテーマでした。

暮らしが始まって1年。大きな窓には古い庭木が広がります。
秋も少しずつ深まって枯れた風情が出てきているのも素適でした。
窓辺はⅬ型コーナーになっていて、ゆったりとしたソファが置かれています。
ここにいると、うっかりとうたた寝してしまうんですよ。
施主がそんなふうに話されていました。

時折、ヒュッゲという言葉を思い返しながら家の設計をしています。
ヒュッゲとはデンマークで古くから使われてきた言葉だそうですが、日本語に訳すと、ほっこりする、というような意味合いになるようです。
庭木に寄り添うように、祖父の思いでも身近に感じながら暮らす。

そんな平穏で静かな雰囲気を、秋の気配がやさしく彩っていました。
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階段の風景

2022-02-15 22:24:33 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


「阿佐ヶ谷の家」の階段の風景。
木でできた階段と、白い壁。
あるのはひとつの正方形の窓、だけ。

そこから見えるのは、古くから残る百日紅の木。
百日紅は花の季節が長く、工事の最中も暑い夏を通り越してなおしばらく、目を楽しませてくれました。

家ができあがって階段にも静けさが戻りました。ほの暗さのなかに、窓から穏やかな光が入ります。
どうだ、とばかりに風景が見えるのではなく、暮らしのなかでちょっと見えてくれたらいい。
追憶、という言葉に寄り添うような空間になりました。
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古木のアプローチ

2021-11-19 22:51:06 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


ひきつづき「古木と暮らす家」のこと。
道路に面した前庭に、古い庭木が残されています。
玄関へは、その古木の傍らを通ってアプローチします。
午前中は木陰のある小径。
なんだか、そこを通るだけでほっとする感じです。

イタリアやスペインで見かける、路地に面した小さな礼拝堂。
たいていそれらは、玄関前に古い木が植わっていて。
ずっと見守ってくれているような雰囲気があって、ぼくにとってはとても好きな原風景です。

この住宅の設計にも、そんな想いが入り込んでいたんだろうなあと思います。
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引き渡し前の。

2021-11-09 22:58:31 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


「阿佐ヶ谷 古木と暮らす家」。
引き渡し前の束の間、写真を撮りながら空間にひとり佇む。
この家には古い庭木があって、庭に大きく開かれた窓から一日中、向きを変えながら木漏れ日が室内にはいってきます。
なにかに見守られているような感覚。

真新しい家だけれど、どこか懐かしくて、安心感があります。
それもヒュッゲということでしょうか。
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