前回のブログの続きで、「白楽の家」のお話です。
「白楽の家」は古い既存家屋の建て替えでした。もともとは平屋で瓦屋根の載った家でした。こじんまりとしながらも風格のある、丁寧につくられたことのわかる家でした。
庭には古い木々が多く残り、それらをぜひ残そうということになったのです。
和風の木々。縁側に座って眺めるように植えられたそれらの木々も、いつしか目の前を洗濯物が遮るようになり・・・。生活との一体感は乏しくなっているように感じられました。
そこで、せっかく残すのだから、なるべく古い木々が存在感たっぷりになるようにしたいと思ったのです。
新しい住まいでの庭いじりをとても楽しみにされているお父様のために、庭いじりの合間に息をつける、心地よい場所をつくりたいと思いました。
土足のまま上がり、ゆっくり腰をおろして一服できる場所。
屋根がかかって雨や日差しをよけれる場所。
そんな場所があるから、ゆっくりと庭いじりが楽しめるのだと思います。
庭の風景をきれいに切り取り、また、木陰が暗示的に映り込むように、壁の配置の仕方には気を配りました。
この壁は、僕の亡師・村田靖夫が好んだ色。村田さんが長年の住宅設計のなかで見つけた、緑の背景としてもっとも似合う色。
一見どうということのない色なのですが、飽きることのない調和。
これまで僕も、いくつかの住宅で採り入れてきましたが、この家でも古い庭木の背景として、居心地の良い場所を縁取ってくれています。