自宅のダイニング用につくってもらっていたダイニングテーブルが、先日ついに届きました。こじんまりとしたスペースのなかに、自分たちの生活にとって必要なものだけをキュッと簡潔につくった室内。ダイニングテーブルはその窓辺に置くように考えてあり、ちょうどよい寸法と手触りの感じを大切にしてデザインしました。製作をお願いしたのは、甲府で家具工房をやっている古市健さん。僕が村田靖夫さんの事務所の所員だったときからのお付き合いになります。
古市さんからは、これまでも家具について多くのことを教わってきました。主には、木についてのいろんな話。無垢の木の性質について、加工法や流通の実際について、その内容は多岐にわたります。それらの話を聞いていると、無垢材のテーブルの味わい方も深まりますし、漠然と見ていたことの裏に思わぬ苦労があることも、少しだけわかるようになってきました。
今回お願いしたのは、ナラの無垢材のテーブルです。丸い4本脚のついたシンプルなかたち。室内の即物的で簡素なデザインに呼応するように、天板に脚をそのまま接合してほしいとお願いしました。(ふつうは倒れ止めのため幕板のような補助材がつくのですが。)きっとそんなことだろうと思ってましたよ、と言われましたが(笑)、大阪の小さなメーカーがつくっている良い接合金物があるんですよ、とわがままを実現してくれました。大阪出身の古市さんならではの、思わぬところからのアイデアでした。
テーブルの角部はふつうよりも大きく面取りをしてもらい、優しい雰囲気になりました。4枚接ぎの手触りの良いテーブル。生まれて9か月になる長男は、最近生えてきた前歯2本で、テーブルをがじがじがじ・・・。じぇじぇ!と驚きましたが、硬いナラの木には歯の研ぎ跡が・・・(笑)でも、そういうのもなんだか嬉しいものです。きっとこのテーブルには、これからたくさんの傷や染みがついていくでしょう。色味も変わっていくことと思います。
ダイニングテーブルにつくと、小ぶりな南窓から緑が身近に感じられ、風抜きが気持ちよく感じられます。陽が傾いてくると、西窓から障子を通した光がテーブルに趣のある木目を浮かび上がらせてくれます。何年もかけて、そこに趣のある痕跡が感じられるようになる日まで。そういう風にして、自分にとっての居心地のよい室内ができあがっていくのだろうなあと思います。
テーブルにあわせた椅子とペンダント照明は、もう決めてあるのだけど、届くまでに時間がしばらくかかりそうです。何につけ、気に入ったものを得ようとすると時間がかかるものですね。