吉村障子のある風景

2022-02-21 22:34:18 | 朝霞の家


近年は和室のある住宅が少なくなったとよく言われますが、和室にしかない風情もやはりあるものです。
本来の和室は、柱や梁が見えていて、天井は板張りで・・・という定型があるものですが、そうした定型をすべて取り払ったときに残るものとは、なにか。

そんなことを思いながらつくったのが、写真の和室。
柱や梁など、木の造作はありません。
壁と天井はやや黄土色がかった左官塗りで、壁一面に障子窓があります。

この障子、建築の世界で通称「吉村障子」と呼ばれるもので、かの建築家 吉村順三が考案したことで知られます。
障子のフチと桟が同じ太さになっているので、格子状の大きな「光壁」となるのです。

余計な要素が無い分、障子に映り込む影が印象的になります。
そこに、木の枝ぶりが映り込む光景。
冬ならではのキリリと引き締まった佇まいに、ちょっと息をのみます。


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新緑の季節に。

2016-06-16 10:52:59 | 朝霞の家


梅雨に入る少し前、「朝霞の家」に1年点検に伺いました。ちょうど新緑の季節ですから、どんな風になっているかなあと楽しみにしていたら・・・想像よりもはるかに家と庭が一体となった雰囲気に、点検であることを忘れてしばし散策を楽しんでしまいました(笑)

傍にはトラックも多く通る街道があるため、そちら側は壁を主体として、街道と反対側には庭を囲むようにして間取りをつくりました。
大きな窓の前には新緑の雑木と草花が華やかに映えます。これらの木々のおかげで、道行く人からの視線も気になりません。室内と庭が一体となった雰囲気は、開放感にあふれます。



庭に面した窓辺の空間を気持ちよいものにするため、窓枠は木で作り、濃い色で染めました。それは外壁側の板張り壁のデザインにもつながり、窓越しのその様子が見えるのも楽しいところ。

庭の眺めを切り取るフレームのような窓辺の雰囲気。
床は無垢のブラックチェリーのフローリング。
壁と天井はしっくい塗。
ドア類もオスモの自然塗装。



家の内外ともに、自然の素材感があふれる家になりました。
家ができあがってから家族も増え、にぎやかな生活。
その生活を通して、ちょっとずつ細かなキズもついてきます。
そう、それが自然素材のいいところ!なのです。

家族とともに、ゆっくりと経年で変化していく家。新築の時よりもどんどんと味わいがでてくるのが、この家の特徴です。
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一年の終わりに

2014-12-31 22:11:11 | 朝霞の家

 今年一年の締めくくりに、朝霞でつくってきた住宅をお引渡ししました。
まだ植栽工事も途中ですし、生活の場として馴染んでくるまでは、まだもうしばらく時間がかかります。
それでも、家具もまだ入っていない室内で佇みながら、この住宅に対して考えてきたことをゆっくりと反芻するのは、ちょっと大事な時間でもあります。

 といっても、いつも新しい取組みやろうと思っているのではなく、僕自身が良いと思うことを少しずつ磨きをかけて、それぞれの仕事に繰り返し活かしていくことが、僕の仕事のスタンスのように思います。

 10年後も、20年後も、じんわりといいと思える住宅になるように、ひとつひとつの仕事に向き合うこと。
年の瀬の、なんとなく粛々とした気分が、そんな思いを強めてくれます。

 皆様にとって、来年も幸多き年でありますように。どうぞよいお年を。


コメント (1)
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