近年は和室のある住宅が少なくなったとよく言われますが、和室にしかない風情もやはりあるものです。
本来の和室は、柱や梁が見えていて、天井は板張りで・・・という定型があるものですが、そうした定型をすべて取り払ったときに残るものとは、なにか。
そんなことを思いながらつくったのが、写真の和室。
柱や梁など、木の造作はありません。
壁と天井はやや黄土色がかった左官塗りで、壁一面に障子窓があります。
この障子、建築の世界で通称「吉村障子」と呼ばれるもので、かの建築家 吉村順三が考案したことで知られます。
障子のフチと桟が同じ太さになっているので、格子状の大きな「光壁」となるのです。
余計な要素が無い分、障子に映り込む影が印象的になります。
そこに、木の枝ぶりが映り込む光景。
冬ならではのキリリと引き締まった佇まいに、ちょっと息をのみます。