ねこ庭の独り言

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天皇の祭祀 - 2 ( 東北大震災の全国慰霊祭 )

2019-03-12 20:27:16 | 徒然の記

 村上重良氏著『天皇の祭祀』の、第二回目です。

 除名されたとは言え、元は筋金入りの共産党員ですから、次第に反日・左翼の論調になるのは、致し方ありません。しかし古代の制度や仕組みを語る時は、博識な学者ですから、学徒として謙虚に耳を傾けます。

 「政府は、明治初年から、神社祭祀の基準となる、」「皇室祭祀の新たな制定と、体系化を進め、」「国家神道創出の、基礎を構築した。」

 「天皇祭祀の場として、古来の賢所に加えて、」「皇霊 ( 歴代天皇・皇后などの神霊 )と、天神地祀 ( あまつかみ・くにつかみ )が、宮中に祀られたことは、」「新しい皇室神道の、整備と充実を意味した。」

 「新神殿は、明治21年の新皇居の造営に際して、」「皇居の吹上御苑内に造営された。」「翌明治22年、皇室典範と大日本帝國憲法の発布に先立って、」「赤坂仮皇居から新神殿に、神器の鏡、皇霊、天神地祀が、遷座された。」

 長らく京都におられた天皇が、維新後に東京へ居を移され、東都が日本の中心となります。江戸城が皇居となり、新宮城となるわけですが、そのまま入られたのではありません。明治天皇を中心として、元勲たちが知恵を凝らし、遷都を実現した様子についても、詳しい叙述があり興味深いのですが、そこは割愛いたします。

 「新に造営された賢所 ( かしこどころ ) 、皇霊殿、神殿は、宮中三殿と呼ばれ、」「新嘗祭の祭場である、神嘉殿とともに、皇室神道の、大小の祭りの祭場となった。」

 これを知りやっと私は、戦前の指導者たちが何かあれば、うやうやしく「皇居遥拝」をしていた理由が分かりました。皇居とは、天皇が住まわれる場所というだけでなく、神話時代からの、日本の神々が祀られる場所だったということです。もっと簡単に言いますと、皇居は維新以後、日本最大規模で、最高に権威のある、神社そのものだったということです。

 敗戦後は、過去の歴史が教えられなくなりましたから、私たち庶民は、「皇居遥拝」の意味が分からなくなっています。戦前は日本の各地で、国の行事があるたびに、皇居の方へ向かい、全員が頭を垂れていたいましたが、それには、ちゃんとした理由があったのです。

 「皇国史観で頭の狂った軍人どもが、バカの一つ覚えのように、」「皇居遥拝をし、国民にも強制した。」「これこそが、戦前の、大きな過ちの一つだった。」

 日本の敗戦後、変節した学者たちがマッカーサーにすり寄り、戦前を否定し、国民を洗脳したのですが、私なども、間違いなく洗脳された一人でした。村上氏は、本の中でこのようなことは語っていませんが、似たような主張を、本の後半になると述べます。

 突然話が飛びますが、昨日( 3月11日 )は、東日本大震災の発生した日でした。秋篠宮ご夫妻が出席された東京の式場を始め、東北各県はもちろんのこと、九州、四国、中国、近畿、中部と、犠牲となった方々の御霊 ( みたま ) を弔うため、日本全国で慰霊祭が行われました。

 各地の模様を、NHKや民放のテレビが全国に、そのまま映像で伝えました。地震が発生した14時46分に、全国の人々が頭を垂れ、それぞれの場所で、黙祷をしました。私も家内と、居間のテレビの前で、黙祷を捧げました。式場での、ご遺族の言葉を聴きながら、知らぬ間に、家内と二人で涙を流していました。

 NHKの朝ドラのように、悲しんだり叫んだり、憤ったり、そのような大げさなことは、ご遺族の誰もせず、静かに話されていました。聴きながら家内と私は、涙を誘われました。

 昨日のテレビを見て、多くの人々が涙をこらえ、被災者の言葉に耳を傾けたのだと、推察致します。普段は、自分は自分人は人と、薄情なほど割り切っている私でさえ、式典の黙祷に感動したので、各地の人々が感動したはずと想像できます。

  皇居遥拝にしましても、同じことが言えます。国民が同じ気持ちになり、同じ知識と経験を持っていたら、敬虔な心で頭をさげるのは不思議なことではありません。私たち日本人は、いつも無私になり、心を一つにし、御霊 ( みたま ) に頭をさげることができるのです。時として、現世の利益に惑わされますが、犠牲者の御霊へ捧げる気持ちは、失っていません。

 昨日、全国で行われた震災の式典を観ながら、私は日本人を再発見致しました。息子たちや、私のブログを訪ねられる方々が、どのように受け止められるのか分かりませんが、震災式典と皇居遥拝の共通精神を発見したと、自分ではそう考えています。

 そのうち、村上氏の叙述が本来の反日・左翼調となりますが、暫くは大丈夫です。皇室の祭祀に関し、もう少し教えて頂くこととし、本日はここで一区切りとします。

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