人呼んで「近代登山のパイオニア」、知る人ぞ知る存在なのだろう。
横浜の銀行に勤務する傍ら夜は執筆、休日は登山と休む暇もない生活だっただろう。
小島烏水、そのコレクションの展覧会をはろるどさんからのチケットで横浜美術館に観に行く。
登山に影響したのはラスキンの文章だったようだ、ラスキンの文章は「言語の絵画」だと小島は語っている。
近代登山のパイオニアとはつまりは、参詣とかそういうものではなく純粋に自然美を山に求めることだろう。
小島は山は人間と自然を総合する芸術として本の装丁や口絵に和田三造らの画家を起用する。
ここからが彼の本領発揮だが、まず山との関係から浮世絵版画の風景画に興味を持ったこの人は、浮世絵の価値を日本人が認識していないため優れた作品が外国に流出することを憂いて、浮世絵版画の蒐集をする。
富士山巡礼とかそういうものも多いが、役者絵とかいろいろそろっている。
で、この人が海外転勤になって自身の浮世絵絵画展が催されたとき、傍らにかかっていたレンブラントやデューラーの版画に衝撃を受け、独学で西洋版画の知識を習得して西洋版画の収集にも乗り出す。
バロック絵画から始まって、バルビゾンへ、印象派へと西洋絵画の教科書どおりものすごい収集だ!
これだけにとどまらない、関東大震災で明治期の建物が失われることを嘆く彼は当時は紙くず同然だった明治期の石版画の収集にまで乗り出す、真のエリートはとことんやらなくては気がすまないのだろう。
その石版画「両国之花火」は花火というより血が炸裂している様であり、「あま」はまことにエロティックだ。
この人の収集はまだまだ続く、いわゆる「擦物」だ、今で言うチラシやポスターを集めて当時の風俗やデザインをみようとする。
いやいやたいした人だ、この展覧会を企画した横浜美術館とチケットをくださったはろるどさんにお礼をいいたい。
常設展示室もまことに充実しているがここの売り物であるシュルレアリズムの部屋が作品貸し出し中のため別の展示に変わっていた、秋にシュルレアリズムの企画展示として横浜に戻ってくるようだ期待していよう。
個人コレクターとして、とても凄い人だとびっくりでした。
実に多種にわたる版画コレクションに圧倒されました。
全部寄贈されてるのもすごいことです。
烏水の名前にしたのですね、なかなか面白かった。
いろいろな人とチケット交換するのもまた楽しいものです。
そこでは主に槍ヶ岳登山に成功するまでの様子を通じて登山家としての烏水が紹介されていました。
最近読んだ本で浮世絵収集家として烏水の名前が出ていたときに、すぐに登山家の「小島烏水」とは結びつきませんでした。
okiさんの記事でコレクターとしての「小島烏水」にも興味がわきました。
そうなんですよ、登山家なんですが、登山とのかかわりで浮世絵に興味を持ち、あれこれ集めて今度は西洋の版画に興味をもちとその収集は膨大で展示も膨大な数でした。
この人もまた横浜が生んだ人ということで、横浜で展覧会するのは理にかなっています。