だらだら日記goo編

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カウンセラーとしての仏像

2005-12-22 22:59:24 | アート・文化
「かなしみとうれいを秘めてあそぶひと」
相田みつをの言葉だ、みつをのアトリエには仏像の写真が飾ってあったという。
みつをにとって仏像とは今で言うカウンセラーの役割を果たしたのではないか、相田みつを美術館「かんのん讃歌」の展覧会を観てそう思った。
「正法現蔵」を座右の書として、仏教にも関心の深かったみつをだ、「禅の友」という雑誌に書いたエッセーが展示されていた。
それを読むとみつをが仏像を人間の悲しみの極限を表現したものととらえていることがよくわかる。
「本当に深い悲しみは言葉に出せませんー人の世のさまざまな苦しみ、あらゆる悲しみを体験し、それに耐えた人、それが観音さまだと思います」とみつをはいう。
しかしみつをは「悟り」というようなところから最も遠いところにいる。
迷いのキモノも悟りのキモノもだめ、というわけだ。
でもって「四苦八苦の絶えないトンネルの中こそ人間の生きる場」であるからこそ「トンネルを出なくてもそのままでいのちの安らぎ」を与えてくれなければならない。
そうであれば「あの世」とか「極楽地獄」とか五十六億七千万年後に降臨する弥勒菩薩など無意味だ。
結局みつをは悲しみのどん底の自分をそのまま受け入れ、聞いてくれるものとして観音を把握していたのではないか。
それは現代でいうカウンセラーと非常に似通ってくる。
あるいは「Mit-leiden」「共苦」の思想が現代倫理学で注目されているがそれに非常に近いところにいる。
みつをは又面白いこともいう。
当時「行革」が流行していたようだが、千手観音を「行革」すると十一面観音になるとか、自分のことを「物慾院色慾旺盛居士みつを」などと書いたりする、なかなかちゃめっけがある。
「父母の二滴」という作品がある、道元の「学道用心集」に出て来るそうだが自分の体は父親の精子と母親の卵子からできているということで、人間存在のむなしさを語ったものという。
なかなか面白い、みつををそして仏教を現代によみがえらせるのもなかなかに興味深い。
さて、通常はビデオを流しているみつを美術館の第二ホールは特別展「アインシュタイン日本見聞録」をやっている。
ついでなのでお金を払って入場すると、無料で音声ガイドを渡されたのは良いが、このガイド、一つ一つがいつ果てるともしらない長ったらしいもので、突っ立ったままいつまでもガイドを聞いていなければいけないという代物でどっと疲れた。
みつをの仏像の展覧会の印象が半減する。
みつを美術館は元旦も休まずやっています、美しい仏像写真も展示されていますので本展示のほうだけに行かれるのがよろしいかと、東京駅から歩いてすぐです。


2 コメント

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子どもたちが貰ってくる プリント類にも (なずな)
2005-12-24 02:22:49
子どもたちが貰ってくる プリント類にも
相田みつをさんの言葉は よく乗っています。
深く 深くは読み取れないまでも
それぞれに 感ずるところは あるようです。
自分を受け容れることを教えてくれる言葉としてであったり 
励ます言葉になったりするようです。
いちど 自分でも ゆっくり 味わってみたいです。
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みつをは教科書にも出てきますし、金八先生にも出... (oki)
2005-12-24 10:02:58
みつをは教科書にも出てきますし、金八先生にも出てきますし、相田みつを物語りなるドラマまで放送されます。
今でも影響力は大きいのですが皆さんが知っているつもりのみつをは、本当のみつをの一部分という感じもします。
しかしみつを美術館、入館料八百円も取るんですよーなんかみつをの言葉で商売している感じがします。
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