今日は選挙もあるし、日ごろの疲れもあるので、母の特養ホームへの乗換駅である吉祥寺の武蔵野市立吉祥寺美術館「織田一麿展」、入館料百円で簡単に済ます。
しかし内容は百円とは思えない充実振りで、作品は町田の版画美術館と千葉市美術館から来ている。
いうまでもなくこの人も版画の人だ、今度は石版画、リトグラフだ。
代表作「東京風景」「大阪風景」から始まって、晩年の武蔵野時代まで順番に展覧できる。
関東大震災がこの人に大きな影響を与えたようだ、それまでの故郷への愛惜の念といったものからモダンな版画へと展開する。
その好例を「画集銀座」に観ることができよう、1929の作品だ。
よく観ると「二十枚印刷のうち六枚目」なんてかいてある。
「シネマ銀座」とか「銀ブラ」とかに近代的センスを観ることができる。
作品は「画集新宿風景」、「画集大阪の河岸」へと続く。
前者では建設中の新宿三越を描き、やはりモダンな様相を伝えるし、後者では「灰色の街が何よりも好き」と大阪を第二の故郷としていたことがうかがわれて面白い。
展示分類ではその他になるがこの人は風景ばかり彫っていたわけではない、「活動の女給」や「街頭の音楽者」といった作品には都市化とともにそれに連れて生じる人間の悲哀を余すところなく伝える。
織田は井の頭金曜会とか武蔵野雑草会とかにも参加していたようで、その記録文章や写真も展示される、日本民藝館を訪れた写真などもある。
さて常設の「浜口陽三記念室」も様変わり、「版画技法の競演」が催されている、木版、シルクスクリーン、リトグラフと浜口以外の作品も取り揃えている。
「萩原英雄記念室」では現在武蔵野市が所有する萩原の版画が549作品にいたったことを知るー小さな美術館だがその活動と展示努力に惜しみない声援をおくりたい。
わたしは大正新版画運動なども大好きなので、わくわくしています。
初期のこの人は水彩画をやっていたんですね、展示にはなかったですが販売していた町田のカタログで知りました。
町田製作の石版画のビデオもやってまして、一時間くらいいましたね。