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彫刻から絵画へー福沢一郎が「歩きだした」日

2008-01-07 21:50:40 | アート・文化

この展覧会があることは祖師谷の福沢一郎記念館の企画展でかなり前から知っていた。

しかし題名を見てびっくりした「福沢一郎は今日から歩き出す」

いったいどんな展示なのだろうか?

福沢一郎への新解釈でも提示するつもりだろうか?

何はともあれ多摩センターの多摩美術大学美術館へ。

予想ははずれた、しかし意外な事実を知った。

福沢は初め朝倉文夫に師事して彫刻を作っていたというのだ。

そして関東大震災をきっかけにフランスへと渡り、彫刻制作を続けようとした。

しかし彼がフランスへ渡ったのは、アンドレ・ブルトンが「シュルレアリズム宣言」を発表した1924年、時代の風潮が彼に絵画を選択させたのだ。

カタログの滝口修造の言葉を借りれば「実際の動機は何であったにしても、彫刻という量塊の世界から、二次元の仮象としての絵画の世界に移った時に、この作家は独特の自由を感じたに違いない」

そう、かくして福沢一郎は歩き始めたのだ。

せっかくだから作品を観ていこう。

「寡婦と誘惑」1930は面白い、一見すると宇宙船の中の女性がたこ型異星人に襲われているようだ。

しかしよく見ると女性は電話交換手で大きなカエルの足が襲いかかっているのだ。

そこに必然性はないがまさにシュルレアリスム!

「扇動者」1931も面白い、大きな頭だけの男が口からレーザー光線もどきをはいていて、人々はびっくりしている!

「女」1937は羽が生えているようでもある。

展示数は多くないが一つ一つ見ていくと楽しいものがある。

油絵に加え、福沢の撮った写真とパリ滞在時の素描が展示されており資料として貴重だ。

彫刻はどうしたという声もあろうが福沢の彫刻は現存していないというから仕方ない。

やはり福沢はシュルレアリスムの画家として「歩きだした」のである。