この展覧会はいったい何なのだろうか。
会期が12/23-1/14とやけに短く、所蔵作品の展示だ、しかも千円も取る。
ロートレックが廻ってくる前の時間稼ぎとしか思えない。
サントリー美術館は「和モードー日本女性、華やぎの装い」の展覧会だ。
当然僕なんかは招待券がなければ行かないがその招待券が入ったので期待せずに行く。
しかしこういう展覧会こそサントリーの実力を示すというか、僕の知らないことだらけで結構面白い。
当たり前だがサントリーだから、現代女性の風俗を取り上げはしない、歴史の中での女性の身だしなみの変遷を屏風やら浮世絵から読み解いていく。
そこには美術作品の鑑賞とともに、風俗の知識を得る楽しみがある。
展示は「小袖」から始まる。武家女性の室町時代の礼装は小袖の上に打掛というものをはおるものだったそうだが、庶民には室町時代には小袖は上着になったという。
意外なのは髪を結わない「垂髪」が桃山時代までずっと続いたということだ。
このセクションでは柿右衛門人形「色絵婦人像」がヨーロッパに輸出されたというが素敵だ。
続いては「描かれた和モード」とか「化粧と嗜みの和モード」とか意味不明のセクション。
英一蝶が流された三宅島からえがき送った「吉原風俗図」がよい。
当時は正座の習慣がなく小袖はそれにも対応していたとか。
江戸時代になってやっと髪を結う習慣ができたという。浮世絵でさんざみているように。
さて化粧用具を納めるのを「手箱」というそうだが、当時は「香合」に化粧用具を入れたという。ここいら辺国宝と重要文化財。
一方、たばこが桃山時代に伝わるとやはり香道具を用いたという、かなか面白い。
「文明開化と近代の和モード」に至ると明治18年に婦人束髪会なるものができたという。
一人で簡単に髪を結いたい!という女性心か、イギリス結びなどあったという。
ここでは明治を代表する浮世絵師揚州周廷に注目したい。
最後は「和モードのクリスマスとお正月」、どうでもよいがなぜここにチェコやドイツのガラスが出てくるのか。
「一富士二鷹三茄子」というがこれは
・駿河で高いもの
・駿河の名物
・家康が好んだもの
などいろいろな説があるようだ。
いやいや展示数もかなりあり結構楽しめた。
もうすぐ六本木トライアングルでは新美術館が横山大観、ここサントリーがロートレックと大型企画でにぎわうだろう。
その前にちょっとサントリーの底力をみせてもらった。