この展覧会があることは祖師谷の福沢一郎記念館の企画展でかなり前から知っていた。
しかし題名を見てびっくりした「福沢一郎は今日から歩き出す」
いったいどんな展示なのだろうか?
福沢一郎への新解釈でも提示するつもりだろうか?
何はともあれ多摩センターの多摩美術大学美術館へ。
予想ははずれた、しかし意外な事実を知った。
福沢は初め朝倉文夫に師事して彫刻を作っていたというのだ。
そして関東大震災をきっかけにフランスへと渡り、彫刻制作を続けようとした。
しかし彼がフランスへ渡ったのは、アンドレ・ブルトンが「シュルレアリズム宣言」を発表した1924年、時代の風潮が彼に絵画を選択させたのだ。
カタログの滝口修造の言葉を借りれば「実際の動機は何であったにしても、彫刻という量塊の世界から、二次元の仮象としての絵画の世界に移った時に、この作家は独特の自由を感じたに違いない」
そう、かくして福沢一郎は歩き始めたのだ。
せっかくだから作品を観ていこう。
「寡婦と誘惑」1930は面白い、一見すると宇宙船の中の女性がたこ型異星人に襲われているようだ。
しかしよく見ると女性は電話交換手で大きなカエルの足が襲いかかっているのだ。
そこに必然性はないがまさにシュルレアリスム!
「扇動者」1931も面白い、大きな頭だけの男が口からレーザー光線もどきをはいていて、人々はびっくりしている!
「女」1937は羽が生えているようでもある。
展示数は多くないが一つ一つ見ていくと楽しいものがある。
油絵に加え、福沢の撮った写真とパリ滞在時の素描が展示されており資料として貴重だ。
彫刻はどうしたという声もあろうが福沢の彫刻は現存していないというから仕方ない。
やはり福沢はシュルレアリスムの画家として「歩きだした」のである。
今年もよろしくお願いします。
新年早々から竹久夢二とか福沢一郎とか、いいものを見てますね。
福沢一郎は気骨ある画風が特徴。
シュールというか、ステンドグラス的タッチと小生は勝手に思っています。色がガラスの粒のように生きているって感じ。
小生はカップ麺での引きこもり生活。想像とバーチャルでの鑑賞。
人様のサイトやブログを覗きまくっています。
今年もそうなりそう。
今回の展覧会は福沢がシュルレアリスムの画家として「歩きだした」ときに焦点を絞っていますが晩年の彼は魏志倭人伝に題材を取ったり、物語性を強めていますよね。
多摩センターは僕には誠に都合がよく、小田急多摩急行であっという間につくし、そこから多摩モノレールに乗れば母の特養ホームに一直線だし、この美術館はちょくちょく利用しています。