だらだら日記goo編

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文化財を守る

2005-07-29 23:09:17 | アート・文化
展覧会というのは、二年位前から準備するのが普通であろう。
この展覧会の開催は急遽決まったのであろうか、少なくとも「ぐるっとパス」にその予定は載っていない、国立博物館「遣唐使と唐の美術」に夜間開館を利用していく。
「パンフレット」に「おかえり」とあるが、かえってきたのは正体不明の遣唐使、井真成の遺骨とかそういうものではない、この遣唐使の墓誌が見つかり、それがかえってきたという話だ、この名前すら「いのうえ」なのか「ふじい」なのかどう読むか判らないという人の業績など勿論わかってはいない、従って展示に無理がある。
遣唐使船の模型やら唐の文物、特に唐三彩やらで補ってもやはり無理がある。
中国の文物は日本の美術館所蔵ではなく、ほとんどを中国から借りてきたのはよいがまだ展示スペースが余る。
ということで博物館はもうひとつ特別展を企画した「模写模造と日本美術」こちらのほうが断然面白い。
入ると大きな仏像がたくさんお出迎え、古びているから本物かとまごうがこれが模造だという。
大英博物館の依頼とか、大きな仏像が一本のくすのきでできているとか面白い。
横山大観が岡倉天心に言われて「空気の絵」を描いたという作品もある。
大観は不器用で天心を怒らせていたとかまことに面白い。
しかしこの展示の大きな目的は文化財の保護という点だ。
高松塚の古墳壁画は発見から相当たって、今後の保存に問題があるというが、文部科学省の指導で模写をしておいたことが未来へこの壁画を伝えることになる。
善光寺の本尊は「秘仏」だ、どんなものかわからない。
それがおおよそどんなものか推測できるのは、模写模造あってのことだ。
「玉虫厨子」の模造も興味深い。
このプロジェクトはタマムシを集めるので頓挫しかけたが、全国に呼びかけて一万五千ものタマムシが集まった、当時参加した人のエピソードを館長が「週刊新潮」の掲示板で募集している。
しかし一口に模写といってもただ正確に映せばよいというものではないとしみじみ感じる。
こういう地道な努力が文化財を未来に残していくことにつながるのだ。
この模写の展示は特別料金を取らないので平常展の入館料金で入れる、こちらだけ見るのも良いだろう。
「模写だけで展覧会になるとは思わなかったー横山大観だったらそういう」とパンフレットにあるが、うまいフレーズだ。