温故知新No2

静岡県の牧之原市から、盆栽、野球審判、蕎麦打ち、おやじバンド、その他徒然なるままに、ブログしています。

H18審判回顧録No2

2006-12-29 10:46:34 | 野球審判活動

今年印象に残った審判No2

大会名:「高校春季大会中部地区5位決定戦1回戦」

日時:4月19日(日)

場所:島田球場

対戦(点):金谷高校(2)対島田商業高校(3)

天気:晴れ

試合時間:2時間15分

担当塁:1塁

特記事項:9回裏2アウト逆転さよなら2ランホームラン サヨナラホームランコール

高校野球は、最後の最後まで目が離せない。まあ学童、中学もそうであるが。このことは以前私なりに分析している。

http://blog.goo.ne.jp/oishi21/d/20060910

そんな最後まで緊迫した試合の印象に残るものが、この試合である。

また、この中部地区の審判員は誰もが分かっているが、島田商業高校の試合は、その熱狂的な応援団が有名で、どんな大会、会場でも相当の動員がある。

ましてや、地元島田球場、しかも県大会へ出られるかどうかの5位決定戦である。

当日の島田球場は、まだ地区大会でありながら内野部分の観客席はほぼ埋まり、異様な、とも思える雰囲気が漂っていた。

そして、そんな重苦しい雰囲気が島商の選手たちにプレッシャーを与えていたのか、試合は、2対1のまま金谷高校リードで最終回を迎えていた。

大抵、1回から9回までの間には、試合の流れが左右するものであるが、特に打ち崩せないほどのピッチャーではないながら、適当に荒れ、時々交えるカーブをうまく使う金谷高校のピッチャーに対し、島田商業高校は的を絞れず、打ちあぐんでいた。

そんな9回、ファーストアウトの後だと思うが、丹念にボールを見たバッターがフォアボールを選んだ。ここで流れが変わるかと思ったが次のバッターが不運な内野ライナー(だと思う)でアウト。

ここで負ければ県大会への道が閉ざされることとなる島田商業にとっては、絶体絶命。

最後のバッターは、この試合、唯一金谷高校のピッチャーにタイミングがあっていた3番であった。

私はこの日1塁審判。3番バッターは左打者であった。

第1球はボールだったと思う。その次の球を彼はフルスイング。

当たった瞬間、私の頭上を越え、距離は十分のホームランと分かった。

こんな時は、審判講習会では、とにかく打球のほうに全速力で走り、できるだけボールの行方を追う。その後、打球が地面に落ちる間際に止まり、静止した状態でじっくり打球を見て判定することとなっている。

しかも、左打者の引っ張った打球は、もしかしたらライトポールを巻き込むかもしれない。

私は、打球が頭を越えた瞬間こんなことを考えた。が、後方ライトスタンド方向に駆け出した数歩後には、打球はもうスタンドに入る直前であった。こんな時は講習会どおり、とにかく立ち止まり、アップライト(体を起こし打球を正面で見る)に心がけた。

打球は、ライトスタンドの木の植え込みの中に突き刺さった。

9回さよなら2ランホームランだ。その瞬間、球場は大きな歓声があがった。

この歓声は、島田球場の隣の第2球場で社会人野球をしていた、この方も熱狂的島田商業の応援団である島田支部の元親方杉山氏の耳にも入り、試合終了後審判控え室まで来て、すごい歓声だったので、9回土壇場何かあったのだとニコニコ顔で話した。それまでの劣勢を知っていたのであろう。

そのサヨナラホームランでの私の仕事が最後残っている。

しっかり見届けた後、突き刺さった方を向きながら大きく2、3回右手を頭の上で回し、その後、本塁に向かい同じ動作をする。

その後は全速力でホームに向かい整列である。

過去何度と無く島田商業高校の試合を受け持っているが、どの試合も気を許せない(他の試合は許しているということではないが)試合ばかりである。

ただ、その度に、一つ二つの収穫がある。いい経験である。

コメント
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