写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

高 枕

2018年04月10日 | 生活・ニュース

 昨日(9日)の深夜、2階に寝ているとき、ガタガタガタと大きな音を出して家が揺れたことで眼が覚めた。思わず半身を起こし時計を見ると1時半、どうしたものかと考えているうちに揺れは収まり、一安心してまた横になった。 

 ところが、 その後も時々ベッドを通じて小さな揺れを感じる。30分も経った頃、再び大きな揺れが来たので、起きてテレビをかけてみると地震速報をやっている。島根県西部を震源とするマグニチュード6.1の規模のものであることを知った。 

 震源が少し離れたところだったので安心はしたが、その夜は一晩中「枕を高くして寝る」ことができないまま夜が明けた。

 「枕を高くして寝る」とは、気にかかることがなく、安心してゆっくりと眠ることをいうが、私は、枕は低い方が安眠できる。高いと首が曲がりすぎて逆に眠りにくい方である。では何故「枕を高くして寝る」と安眠できるというのだろうか。

 「枕を高くして寝る」とは、中国の戦国時代、遊説家の張儀が魏王を説得するために言った言葉である。「楚と韓の両国から攻撃される心配が無ければ、大王は枕を高くして眠ることができ、国には憂患が無くなるでしょう」とあるのに基づく。

 戦国時代は、不意の敵の襲来に備えて地面に耳をつけたり、遠くの音が聞こえるように箙(えびら)という矢具を枕として寝たりしていた。戦いが終わると、敵の襲来もなく安心して枕を高くして寝ることができることからだという。 

 翌日には大きな余震もなく、地震は収まっているようであるが、久しぶりに震度3の揺れを、まさに草木も人も眠むる丑三つ時近くに体験したが、今は低い枕で安眠出来ている。