定年を迎え、10年間空けていた家に戻ってきたとき、道路に面していない裏側にある浴室の窓ガラスが割られていて、空き巣が侵入しようとした形跡が認められた。そんなこともあって、1階にあるすべてのアルミサッシの窓には、開けた時にアラームが鳴るような防犯グッヅを取り付けている。
その上、門灯や玄関灯をはじめとして家の周囲の外壁に設置している外灯は、夜間すべて点灯して防犯対策としている。しかし、植え込みがあって、外部からの目が届きにくい浴室の窓だけは何となく不安な気持ちがあり、何か対策を取りたいと常々思っていた。
いろいろ考えた挙句、「面格子」を取り付けることにした。面格子とは、窓における防犯対策の一つで、窓の屋外側に金属で格子状の面を作り、外部からの侵入者を防ぐものである。素材は、アルミ製のものに決めた。幅は1.7m、高さは1.4mのものを発注した。
どんな防犯グッズでも、泥棒が小道具を使って力ずくで破って侵入しようと思えば入ることはできるが、大きな音を出して迄入ってくることはないので、それほど堅牢なものである必要はなく、それなりのものを設置しておけばいい。
これで長年の懸案であった防犯対策はすべて完了したが、今一度考えてみると、我が家には泥棒が入っても現金は小銭しかなく、金目になる宝飾類は皆無だし、盗るに値するようなものは何もないことに気が付いた。
面格子などつけて、いかにも何か大事なものがありそうな窓構えにしたが、あにはからんや、実は何もないというお話。唯一盗られて困るものはこのパソコンくらいである。だとすれば、万一泥棒が入ってきたとしたら、コーヒーの一杯くらいを出してお引き取り願うということになるのだろうか。