写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

寒 餅

2020年01月09日 | 生活・ニュース

 松の内も明け、今日はもう9日である。昨夜から奥さんが慌ただしく準備していた寒餅作りを朝早くから2人でやった。餅が好きだという孫に贈るためのボランティア活動である。


 「寒餅」とは、幼いころに毎年家でついていたが、丸餅ではなく、かきもちにするために長四角の餅にしていた。そんなことを思い出しながら「寒餅」2臼分をついた。ついたといっても、電動の器械が蒸す・練るをしてくれるので力仕事は何もなく楽なものである。

 

 ところで一口で「寒餅」とは言うが、「寒餅」とは一体どういう意味があるのか疑問に思って調べてみた。辞書には「寒中につく餅」と書いてあるだけでそっけない。さらに調べてみるといいのが見つかった。

 

 「寒餅の寒とは、中国の暦の小寒から大寒を意味する。一年のうちでこの寒の時期が最も寒いとされ、井戸水や川の水を使っていた昔から、この時期の水は腐らないと言われてきた。

 これにより古代から年間通して食べる味噌・酒・そうめん等の仕込を寒仕込みと言い、保存食を作ってきた。これにちなんで寒に餅をついて薄く切って干した『かきもち』や『おかき』の保存食を寒餅と言う」とある。

 

 時は今まさに小寒に入り、1年で一番寒い時期に入ったばかりである。この時季に作る餅だから「寒餅」と呼んでもいいが、丸餅にするのでは保存食にはならないので、正式に寒餅と呼ぶことは、はばかれる。

 

 「寒餅」の定義が理解できたところで、我が家秘蔵の餅切り器「まる餅くん」を持ち出し、ハンドルを回せばポロリポロリと丸餅が出てきた。「寒餅をついたので送って上げるね」と遠くの孫に電話をした。「〇×$%&#○×$!&%……」電話口で言っていることが全く分からなかった。