写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

固いつぼみ

2011年03月28日 | 季節・自然・植物

 3月末だというのに、このところ肌寒い日が続いている。錦帯橋の桜のつぼみの膨らみ状況を観察するため、スーパーで弁当を買い込み、ハートリーとの3人組で、ござを抱えて出かけてみた。
 日差しのある錦帯橋の上河原の芝生の上には、ひと組のカップルと若い男女8人組が車座になって弁当を食べている以外は誰もいない。時々カップルが腕を組んで歩いていくだけである。
 つぼみを見ると、先の方は濃い桜色をしていて、今にも咲き出でようとしているものが2、3割であろうか。残りはまだ固く緑がかっている。
 このブログをめくってみると、昨年は3月24日に開花宣言が出ており、3月末には2、3分咲きであったと書いている。この調子だと、今年は1週間ばかり遅い開花宣言のように思われる。例年通り準備万端の2軒の茶店も、散策する客がいなくて手持ちぶさたのよう。音量を大きくしたラジカセから、誰にともなくお昼の歌謡曲が流れているだけであった。
 錦帯橋がよく見える芝生の上にござを敷き、暖かい日差しの下で弁当を食べた。少し離れたところで、初々しい振る舞いのカップルが食事を終え、男が芝生の上で大の字になっている。私にも、あんな時代があったかどうか。そういえば、そばに座っている奥さんと、そんなことがあったか、なかったか。何れにしても、遠い遠い昔の話。私が硬い硬いつぼみの頃の話である。春よ、はーやく来い。