写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

拍子木

2004年12月31日 | 生活・ニュース
 今日、山間部では小雪が舞ったという。寒さもやっと本格化した。夜11時を回ろうとしている時、「カッチ、カッチ」と拍子木の音。

 そういえば、数日前から、ほぼ同じ時刻に聞こえていた。都会に住んでいる時には聞くことはなかった、忘れていた音だ。

 しばらくぶりに聞いた。昔懐かしく、故郷にいて、なお郷愁を覚える音だ。冷たく乾いた空気の中から、透明な音が近くに聞こえた。

 パジャマのままマフラーを巻いただけで、デジカメをもって飛び出した。消防団の法被を着た、屈強な男性ふたりの夜回りであった。

 「寒い中、ご苦労様」「火に気をつけて下さい」と交わして、一枚パシャり。シャッターを押す手が寒さで僅かに震え、画像が流れた。

 地域の皆さんに支えられながら、この1年が終わろうとしている。来年はこの私もほんの少しだが、支える側の生き方もしてみたい。
   (写真は、地元消防団の夜回り)