写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

晩婚の勧め?

2009年06月27日 | 生活・ニュース
 朝方、突然大きなサイレンを鳴らして救急車が家のそばを通り、裏の団地に走って行った。老老介護をしている家の前に止まった。

 こんな光景を見ると、将来わが家ではどんなことになるのだろうかと考えさせられる。核家族が増えている今は高齢夫婦の「老老介護」は多い。看る力がなくなってくるころに肉体的な力仕事を強いられるという厳しい現実がある。
 
 先日の読者投稿に、70歳の娘が91歳の母を頑張って介護している話があった。70歳ともなると自らが介護されている人も多い。そんな年齢でなお親の介護をしなければいけないとは、老老介護に匹敵する大変な苦労を想像する。

 子が70歳を超えると親子の間といっても老老介護である。こんなことを考えると、早く結婚して若くして子どもを産むということは、老後の介護のことを考えるとあまり良いことでないかもしれない。
 
 老後、しっかりと子に面倒をみてもらおうと思えば、年を取って産んだ方がいいということになるのか。いや、そんなことよりも本当は、介護者も自立した自分の人生を歩むことができるような社会制度の充実こそが望ましい。

 ところでこの文を書く時、パソコンで「老老介護」と打とうとすると、その都度「朗々介護」と出てくるのは、明るく朗らかに介護をしなさいよとパソコンに諭されているのだろうか。悩ましい話だが、つい笑ってしまう。
  (2009.06.27 毎日新聞「男の気持ち」掲載)
(写真は、アユ掛けで賑わう24日の「錦帯橋」)