写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

街道てくてく旅

2009年06月12日 | 旅・スポット・行事
 「お~い、面白いブログネタがあるぞ」。10日の朝早く友人から電話がかかってきた。

 今NHKのテレビで朝8時から「街道てくてく旅」と題して、一人の女性が「大宰府から平城京へ」という副題で、旧山陽道を福岡から奈良まで歩いて行く15分番組を毎日やっている。この日は岩国市内にある高森宿から錦帯橋までを歩くという。

 朝から梅雨入り直後の雨が降っていた。ブログネタとあれば腰は軽い。9時前、友と二人が車で高森宿の方に向かって出かけた。国道2号を外れ、旧山陽道に入り、曲がりくねった細い山道を一路高森方面へ走った。

 番組では過去、東海道・甲州街道・中山道・四国八十八ヶ所などをいろいろな旅人が歩いている。

 今回の旅人は原田早穂さんといい、2008年の北京五輪・シンクロナイズドスイミングで銅メダルを獲得した女性のようだ。

 若くて美しい女性、しかも銅メダリストと聞けば心も軽い。欽明路の急な峠を越すと玖珂の町が見えてくる。国道に沿った旧山陽道をゆっくりと走っている時、前方に7~8人のそれらしき集団が、家の軒先で休憩していた。

 車を止めて降りてみた。カメラマンの傍で赤いレインコートを着た女性が笑顔で立っている。原田早穂さんに違いない。

 声をかけて写真を撮らせてもらった。カメラに向かってポーズを取ってくれる。旅の疲れを見せることもなく笑顔でサービス満点だ。

 翌日、楽しみにしてこの放送を見た。確かにてくてく歩いてはいたが、高森宿から錦帯橋まで、生活や歴史にまつわる話は何一つない。ただ雨の中、歩く姿と路面を映すだけであった。これならどこの道をを歩いても全く同じである。

 NHKにもの申す。「旧山陽道」を歩いて一体何を伝えようとする番組なんだろう。旅人に罪はない。企画が悪い。原田早穂さんには、雨の中ただお疲れさまと言うしかない番組に思えた。
   (写真は、元気な笑顔のてくてく旅人「原田早穂さん」)