写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

マタタビ

2009年06月15日 | 季節・自然・植物
 先日、上下町を訪れた後、県道27号を走って三次に向かっていた。標高の高い山道を走っていると、銀色に近い白い花をつけた木が次々と現れた。

 運転しながら見ているのではっきりとした形は分からない。同乗者に尋ねてみると、花だと思っていたものは実は「マタタビ」の葉だという。車を止めて観察した。枝の先の方の葉だけが数枚白化している。

 面白い現象なので家に帰って調べてみた。「マタタビは、別名『夏梅』ともいう。6月から7月に径2cmほどの白い花を咲かせる。花をつける蔓の先端部の葉は花期に白化する。

 マタタビという名前は、疲れた旅人がマタタビの果実を食べたところ、再び旅を続けることが出来るようになったということから、『又旅』から名付けられたとの説がある。

 ネコ科の動物はマタタビの匂いに恍惚を感じ、強い反応を示すため『ネコにマタタビ』という言葉が生まれた」。

 まだ実はなっていないので食べてみることはできなかったが、キウイのような味がするという。ネコがこんな匂いで本当に恍惚を感じるのか疑わしい。

 それはともかく走る道すがら、この県道沿いの林でマタタビの白い葉をいたる所で見ることができる。遠くから見ると、銀色に映え花としか見えない面白い葉っぱだ。

 「ネコにマタタビ」とはよく言うが、マタタビを見たのは初めてであった。実を食べてみて、一度はネコと同じように恍惚を味わってみたい気もする。

 そのためには、実のなる時期に上下町にまた旅に出る必要があるが、頻繁に旅に出ていると股旅者と勘違いされるかもしれないので、さてどうしたものか。
(写真は、枝の先のほうの葉だけが白化する「マタタビ」)