10月21日(土)は、608回活動日です.本日は、メインシェフを松本 忠明さんがつとめます.京都市左京区岩倉 村松138-20 香川山(自称:下記アクセス)にお集まり下さい.ブログ報告者は、吉村です.当日夜、是非ご覧ください.
和歌山県富喜マツタケ マツタケの生長は、表皮細胞より内側の細胞層がよく伸びるため、勢いのよいマツタケは表皮が裂けるように切れる.
先週、 毎日放送テレビ ちちんぷいぷい天気部の取材(マツタケと気象)を受けました.放映は10月25日(水)です.こちらもご覧下さい.今年の北海道、東北、長野、関西におけるマツタケの発生は、シロの栄養生長期間の減少と低温、生殖生長期の気候不順の影響を受けたと見られ不作である.
マツタケの1年の生活
きのこ子実体の形態形成の解明はずいぶんと進んでいるが、マツタケの場合、ホスト(例 アカマツなど)との協同作用がないと、マツタケは子実体を作ることができない.しかし、アカマツがあればそれでよいということでもない.
きっかけがいる.マツタケの場合、いま分かっている因子は温度だけである.実験室内でアカマツ抜きの原基様組織の形成もしくはアカマツ林におけるきのこ形成の観察実験から、「西日本」辺りでは、シロ「表面」温度が19℃を下回ることが必須である.
生物は、温度が5℃以下で代謝を落としそれを上回ると、代謝活動が盛んになるという.ところが、このところ暖冬年が多く真冬でも地温が5℃を上回っていることが多い.これは休みなく体をこき使っていることになり、体内リズムの変調は両生物に大きなツケを背負わせているのではないかと心配する.夏は暑く冬は寒いというリズムに適応しているということではないだろうか.
アカマツもマツタケも、京都辺りでは、2月になれば動き出す.マツタケは菌糸を、アカマツはマツタケの住み処(スミカ)と栄養交換の場となる細根を伸ばす.マツタケ菌糸は細根に感染し両者は菌根を作る.やがて菌根集団がつくられ、それは機能分化を帯びシロとなる.
シロは、異なる遺伝子を持つ複数の親マツタケ由来の胞子が発芽した菌糸、しかも1核菌糸や2核菌糸が接合し複核化した菌糸と根の集まりのため、多様な遺伝子を持つ構造体である.それに長年の共生関係の中で、マツタケは独自で生活する能力の一部を失っていることはないのだろうかと悩む.
シロは場所によって異なるが、毎年、20cm位外側に拡がる.これを栄養生長(2月から8月)という.東北地域では、4月から8月が栄養生長期となる.盛夏になると、野外ではアカマツは細根の生長を止める.このときシロは広がりを見せず成熟期となる.室内で温度と水をコントロールすると真夏の温度であっても根は伸長するのだが.
そうこうする内、地温が下がり始め、19℃を切る頃、この温度に感受性を持つシロあるいは部位は、新たなステージに入る.次世代を担う胞子製造器官(キノコ・子実体)をつくる生殖生長に代謝を切り替え、シロ表面に子実体原基をつくる.しかし、そのまま子実体に生長するほど、マツタケと環境因子の関係は単純ではない.地温がその日のうち19℃を上回ると生殖生長への切り替わりがリセットされる.高温障害のダメージを避ける手段ではないかと思える.
また、生殖生長に切り替わって、原基が順調に生長を見せていても、地温が19℃を「2」日も越えると子実体は生長を止めて高温障害の発生となり、きのこは地上に頭を出さない.刺激を受けたシロ部位は、原基形成機能をなくし、次のマツタケ子実体発生は、刺激感受性が異なるシロもしくは部位の機能に頼ることとなる.もちろん土壌水分も大きな役割を持つことが分かっている.
さて、香川山では
表題のことになるが、図1をご覧下さい.これは、前回のブログ記載に用いた測定場所と同じ等高線上にあるが、異なる地点の地温(林床下10cm)である.9月30日午前11時から10月13日午前11時までの地温変化を示している.縦軸は温度、横軸は日時(30分おきの計測)である.2本の横線は、上が19℃、下が12℃で、地温がこの範囲にあると子実体原基が形成される温度領域である.
図 1 香川山地温
図を見て、おわかりくだすったと思いますが、「こりゃダメだ」と嘆息します.少し詳しく温度の推移を見ると、9月30日23時に18.5℃となり原基形成刺激を受けたが、10月1日10時30分には19℃に上がっている.これでおそらく生殖生長のスウィッチはリセットされたろう.
10月4日1時に再び19℃を切り(18.5℃)、スウィッチが入って生殖生長に切り替わっている.その後、原基は順調に育ったが、しかし、残念ながら、10月8日10時から10月13日午前3時30分まで高温(最高22℃)にさらされ生長障害を起こしている.刺激期間も長く障害期間も長い、大打撃である(沢山の原基が形成されそれらが潰れたおそれがある).
でも原基・子実体の形態形成は、環境因子・変化に多様な反応を示す.刺激を受けていないシロがどの程度残されたかは不明のため、それに夢をつないでいる.
【お知らせ】
1.和歌山県富喜マツタケ試験林イワタ山調査
10月17日(火) 午前9時近鉄新田辺駅集合
10月24日(火) 午前9時近鉄新田辺駅集合
参加申し込みは川本さんまで 問い合わせは吉村へ(メール等で)
2.滋賀県長浜市野瀬 マツタケ発生環境整備と交流会 参加者募集
場所:長浜市野瀬大吉寺
日時:10月29日(日)午前8時15分 地下鉄御陵駅2番出口付近(三条通北側)/現地 集合
午前中はマツタケ山診断
昼食後 京マツタケ復活作戦成功の報告、続いて交流会 餅つきなど
午後6時 御陵付近着
費用:高速代(休日割引、往復)3360円/1台、往復180km走行のガソリン代などを参加者で負担
3.滋賀県荒神山 マツタケ発生環境整備と勉強会 参加者募集
場所:彦根市石寺公民館
日時:11月19日(日)午前9時京都市営地下鉄御陵駅2番出口発、10時荒神山集合 直ちに作業に合流
午前8時~11時30分 マツタケ山づくり作業
12時~13時 昼食会
13時30分~16時 勉強会(荒神山の活動報告、京まつたけ復活成功物語)
16時から 懇親会
費用:高速料金(休日割引、往復)2720円/1台、往復140km走行のガソリン代などを参加者で負担
4.日本文化デザインフォーラム JIDFラボ【松茸山再生と岩倉焼き】15回開催
11月18日(土) 612回例会 マツタケ発生整備作業と反省 参加費:昼食代500円
参加申し込みは吉村( E-mail)まで
5.千葉県立中央博物館 自然誌シンポジウム
日時:2017年11月23日(木、祝)13:00~16:00
場所:千葉県立中央博物館
テーマ:マツタケ栽培最前線
人工栽培(白坂憲章).感染苗利用栽培(山中髙史).林地栽培(吉村文彦)
問い合わせは千葉県立中央博物館 吹春俊光先生 電話:043-265-3111(代表)
【まつたけ山復活させ隊の活動指針】
ヒトとアカマツそしてマツタケの共生関係には学ぶものがあるように思える.Key words:相利共生(Mutualism), 共生体(Symbiont)
この会には、目的はあっても参加者の行為を縛る規約らしいものはない.個の能力を最大限に発揮でき、参加者の数だけ面白いことが創造できるようにと願ってのことである.注:自由に主体的に活動できることは何をしても許されると言うことではありません.
我々まつたけ山復活させ隊の仲間には、山づくりをする人、資材等を運ぶ人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、食事を作る人、道具類を整備する人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人、多機能窯を守る人などがいる.これらの作業実施・応援に際して、すべての参加者は自らの体調・体力にあわせて、互いに支え合い助け合うことが必要である(応分の負担).
参加は誰にも開かれているが、施設の安直利用(いいとこ取りする参加者)は、これを認めない.「香川山に来る」それにプラスする何かがなければならない.それは、当然、マツタケ山づくりを共に楽しむことに共感を持つことが必須だ.
【まつたけ山復活させ隊の心得】
悔いの残らないようにするには!
あせらず!むりせず!ゆっくり!とまつたけ山づくりを楽しみましょう!
1.熱中症に気をつけましょう!こまめに水分と日陰で休息をとりましょう.
2.チェーンソーで立木を伐る作業は、取り扱いを習熟するまで厳禁です.万が一事故の場合は自己責任とは言え、班の世話人はその責任を問われます.
3.伐木作業の『基本は忘れずに!』.掛られ木の伐採時に事故が発生します.作業は慎重に!
4.切り株を残さないように地際から伐りましょう! 急斜面に残された切り株につまづき小径木の切り株で顔面を怪我する大事故もあります.
5.脱いだ衣服やリュックなどは地面に置かないように習慣づけ、マダニ対策の常識としましょう!
イノシシやニホンジカの行動エリアが拡大し、マダニと接触するチャンスが飛躍的に増えている.SFTSウイルスの媒介、リケッチアの媒介、治癒しても後遺症の残るダニ媒介性 脳炎症も日本に存在する.
6.アシナガバチ・マルハナバチに刺されないように(アナフィラキシーショック)、オオスズメバチも活動が活発になっています.
7.小物が時々なくなります.これも共有財産です.大切に使わねばなりません.
使用した道具類は点検・掃除後、元に戻す、損壊した時には世話人にその由連絡する.ガソリン缶などの放置がときどき起こります.元に格納すること.用いたコップの後片付けも忘れないように! 食費の払い忘れなども時々あります.ご注意下さい.
【まつたけ山復活させ隊活動】
活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
§参加費は無料;メンバー参加者には、食材費+消耗品費として現在400円を徴収.初参加者・見学者などは500円(二度目からは400円).ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.
§参加や見学希望の方は、参加日や人数などを主催者にメールもしくは電話下さい.また、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
まつたけ山復活させ隊 活動日
回 開催日 報告担当者 男厨シェフ 特別企画
608 10月21日(土) 吉村 松本
609 10月27日(金) 内田
610 11月04日(土) 池内 第2回毎木調査
611 11月10日(金) 三輪
612 11月18日(土) 宮崎 内田 JIDFラボ15回
613 11月24日(金) 吉村
614 12月02日(土) 池内
615 12月08日(金) 内田
616 12月16日(土) 三輪 川崎
617 12月22日(金) 宮崎 忘年会
618 01月12日(金) 吉村 新年会
619 01月20日(土) 池内 松浦
620 01月26日(金) 内田
621 02月03日(土) 三輪
622 02月09日(金) 宮崎
623 02月17日(土) 吉村 内田
624 02月23日(金) 内田
625 03月03日(土) 三輪
626 03月09日(金) 宮崎
627 03月17日(土) 吉村 松本
628 03月23日(金) 内田
なお、やむを得ず担当などの変更が生じることがあります.お許しください!
§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山(自称)
アクセス:公共の乗り物利用を薦めます.自家用車駐車スペースも2台分はある.
京都バスの「岩倉 村松行き」終点(村松)が便利です.バスを降りたら、吉村まで電話下さい.
バスに乗車するには、
ア)阪急京都線 烏丸駅で市営地下鉄烏丸線に乗り換え、国際会館下車(ウ)に続く
イ)京阪本線 出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側)乗車 約30分
ウ)京都地下鉄烏丸線 国際会館下車 3番出口からバスターミナル1番 乗車 約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)
a)車の方は、岩倉ゴルフクラブを目的地にすると便利です.ゴルフ場入り口の取り付け道路が見えたら(後400m)、案内看板手前にある道路を左折、右折、左折そして左にカーヴすると車止めが見えます.車止めの右側に入り口あり.
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§カンパありがとう!
§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
カンパの振込先
氏名: まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173
§主 催
まつたけ山復活させ隊
Movement for Regeneration of Matsutake Forests
代表 吉村 文彦(微生物生態学)
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
香川山オーナー
香川 晴男
§協 賛
澤田山オーナー
澤田 幸雄
玉城山オーナー
玉城 一郎
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