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東山魁夷の「年暮る」

2011-11-13 00:00:14 | Weblog
東山魁夷の「年暮る」は、京都の街並みを描いた。

「現代日本の美術」、「東山魁夷」、集英社、1976年から。

東山魁夷が「年暮る」を描いたきっかけは、川端康成の進言であった。
「京都は、今描いていただかないと、なくなります。
京都のあるうちに、描いておいてください」

それで、東山魁夷は「京洛四季」を描いた。
「京洛四季」の一つが「年暮る」である。1968年の作品。

「東山魁夷の『花明り』」、2011年11月6日では、
http://blog.goo.ne.jp/mulligan3i/e/5d2fb467f0b2f445c4612087812e077d
「京洛四季」のシリーズとして、
花明り」や「北山初雪」について書いた。

「花明り」も、「北山初雪」も、「京都の自然」である。
京都に残っている、あるいは、京都に残しておきたい「自然」である。

ところが、「年暮る」は「京都の街」である。
川端康成から、
「京都のあるうちに、描いておいてください」
と言われて、
東山魁夷が、京都に残っている、
あるいは、京都に残しておきたい「街」である。

「年暮る」のような京都の街を見たい!
貸し自転車で京都の街を探し回った。
小回りがきく自転車が便利だ。

古い家だと思う。2010年。

でも、高層建築に囲まれて、ポツンと残っていた。
右の外国人観光客は、なにかを探している。

一番古い町家が並ぶところは、どこですか?」
と、京都の人に聞いてみた。
「古い家が、ちょこちょことあります」
と、教えてもらったところ。2010年。

古い町家が並んでいた。

しかし、高層建築と、となり合わせだった。
電柱・電線が空をおおっている。それに、看板もある。
右は駐車場で、町家を取り壊した跡。ここで、町家は途切れる。

今回の京都の写真を見ると、すべてに「電柱・電線」がある。
街並みを撮ると、電柱・電線が写ってしまう。
電柱・電線は、避けようがない。

ここは、古い町家が数軒続いている。2010年。


道の両側に家が並んでいるところがあった。2011年。

比較的新しい。昭和の家だろうか。

区画整理をした街並みがあった。2010年。

道幅を広げて、両わきに新しい家が並ぶ。駐車場もできた。

鴨川沿いに並ぶ料理屋。2010年。

前に並ぶ料理屋と、うしろの新しい建築物との調和はどうだろうか?
昔の家並みは、整然としている。ごちゃごちゃしていない。
京都らしいから、京料理や、会席料理を食べたくなる。

そして、上から眺めた街並みがある。2004年。

これが、私が抱く「年暮る」のイメージ。
瓦屋根に雪が降り、夜になって、静まり返れば、
「年暮る」の世界になる。

「京都のランドマークは金閣寺」、2010年10月6日では、
http://blog.goo.ne.jp/mulligan3i/e/4c8224da937ed43ef476808744200942
つぎにように書いた。

アレックス・カー氏(東洋文化研究家)は、
「犬と鬼」講談社で、京都について、つぎのように書いている。

京の街は、フィレンツェローマに並ぶ文化都市として、
世界の人々に愛されていた」
「第二次世界大戦の末期に、連合国軍司令部が京都を、
空爆対象からはずしたのもそのためだ」

「新しい建築物を古い家屋に調和させるノウハウがないので、
木造家屋はブリキとプラスチックで無神経に修復され、
また古い家屋を必死で残そうと努力しても、
周囲には電線看板パチンコ店があふれている」

なお、「フィレンツェの景観」については、2010年11月7日に、
http://blog.goo.ne.jp/mulligan3i/e/f84c9141eb3eb51c49f68f447886b6fe
「ローマの景観」については、2010年11月10日に、
http://blog.goo.ne.jp/mulligan3i/e/b5bd5ef9c3bae7f4225e6f97c3f9214d
掲載しているので、参照してください。

川端康成から、
「京都のあるうちに、描いておいてください」
と言われて、東山魁夷が、
京都の街並みのベストに選んだ「年暮る」。

「年暮る」は、
京都ホテルオークラからの眺めというから、
機会があったら、京都ホテルオークラから、
東山方面を眺めてみたい。

世界の人は、
日本を代表する「歴史文化都市、京都」、
「人をもてなす街、京都」を見にくる。

名所、旧跡を巡ったあとは、
京都の人が息づく街を見たい。
「年暮る」のような街を見たい。
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