シンガポールの高層ビルディング。
シンガポールのシンボル、マーライオンは、
昔の場所が、右手前の橋の影になったため、
中央手前の先端部に、大きくなって、移動した。
“中華料理”には、香港、シンガポール、中国、台湾があって、
どこもうまいから、ベストはどこか? を決めるのはむずかしい。
香港の桂花魚(淡水魚)の蒸し煮は、いい味がでていた、
シンガポールの、冬瓜(とうがん)をくりぬいたフカヒレのスープは、上品だった、
北京の乾燥アワビをもどしたステーキは絶品である、
台湾の小龍包(しょうろんぽう)は、皮が破れて熱い肉汁が口に広がった。
香港で、ブレントに聞いてみた、
「中華料理のベストは、どこですか?」
「香港がベストだ!」
と、当然のごとく香港人は即答した。
「香港がおいしいのは、シェフの腕がいいからだ。
腕のいいシェフは中国の外に飛び出す、その方がもうかるからね。
“世界一の中華料理”を味わいに、世界中の観光客であふれている」
シンガポールのホテルのエレベータに、
「本場、香港から呼び寄せたシェフの、本格的な中華料理をどうぞ」
と、レストランのポスターが貼ってあった。
これで、中華料理のベストは、香港であることを、
シンガポールが認めたことになる。
シンガポールの夜、中国系のシンガポール人トムは、
「チャイナ・タウンに、おいしいタイ料理があるが、どうでしょう?」
と、タイ・レストランに連れて行ってくれた。
――チャイナ・タウンというから、
中華料理を予想したのだが、タイ料理だった。
それに、トムはチャイナ・タウンへ行くことには、ためらいはない。
そのタイ料理は、次だった。
―タイ式のシャーク・フィン(フカヒレ)スープ、
土鍋には、シャーク・フィンのかたまりがあって、
味はマイルド、濃くはない。
―ガルーパという、魚のカラ揚げ、
エラが張った白身の魚ガルーパは、くせのないサッパリした味。
―Fish Mawフィッシュ・モーというシャークの胃、
このフィッシュ・モーは、スポンジのような形。
ジンジャーと、野菜の味付けソースをかけるのだが……うまい。
「フィッシュ・モーは、シャーク・フィンと同じで、非常に高価だ」
とトムは言う。それに、
―豆苗(とうみょう)の炒めもの。
タイ料理は辛い、と構えていたが、まったく違っていた。
――デリケートな味だ。このタイ料理ならば、
世界一の香港の中華料理と、同じか、しのぐ。
このタイ料理は、デリケートな味を出せるシェフの力だ。
「外に出て、ドリアンを食べましょう」
と、タイ・レストランではデザートは止めて、
夜風が心地いいチャイナ・タウンに出た。
ドリアンの露天商が並び、山積みのドリアンと、
1個ずつ、ヒモでつるしたドリアンを売っている。
ヒモつりのドリアンのほうが、形が安定している。
「ドリアンは、シンガポールではできないから、
マレーシアやタイから輸入している」
と、トムは言う。
「妻は、ゆすったり、押したり、匂いをかいだりして、
ドリアンの見分け方を知っているが、私には、わからない。
だから、失敗のないように、マレーシア産のブランド品にした。
値段は高いが、当たり外れがない」
山積みのドリアンは、1個売りで、700円だが、
ヒモつりのドリアンは、量り売りである。
トムは、ヒモつりのマレーシア産のブランド品から、
適当な大きさを選んだ。
秤(はかり)で重さを量って、2,500円。
――なかなかの値段だ!
南国の満天の星のもとで、
テーブルのドリアンを見つめる。
トムは包丁で切った……だが、ドブの匂いがしない。
――このドリアンは、果物の匂いだ!
スーパーマーケットで買ったドリアンは、
ドブの匂いを我慢して、果物の王様を味わうか?
それとも、あきらめるか? 重大な決断をするものだが。
種を包む黄色いフニャフニャを、手でつかんで食べる。
――脂肪があるように豊潤で、うまい。
たちまち平らげる。
ドリアンでも、腹が一杯になった。
南国の夜風がさわやかだ。
うまいタイ料理、ドリアン、それに夜風。
シンガポールはいい気分にさせる。
南国シンガポールの夜。
シンガポールのシンボル、マーライオンは、
昔の場所が、右手前の橋の影になったため、
中央手前の先端部に、大きくなって、移動した。
“中華料理”には、香港、シンガポール、中国、台湾があって、
どこもうまいから、ベストはどこか? を決めるのはむずかしい。
香港の桂花魚(淡水魚)の蒸し煮は、いい味がでていた、
シンガポールの、冬瓜(とうがん)をくりぬいたフカヒレのスープは、上品だった、
北京の乾燥アワビをもどしたステーキは絶品である、
台湾の小龍包(しょうろんぽう)は、皮が破れて熱い肉汁が口に広がった。
香港で、ブレントに聞いてみた、
「中華料理のベストは、どこですか?」
「香港がベストだ!」
と、当然のごとく香港人は即答した。
「香港がおいしいのは、シェフの腕がいいからだ。
腕のいいシェフは中国の外に飛び出す、その方がもうかるからね。
“世界一の中華料理”を味わいに、世界中の観光客であふれている」
シンガポールのホテルのエレベータに、
「本場、香港から呼び寄せたシェフの、本格的な中華料理をどうぞ」
と、レストランのポスターが貼ってあった。
これで、中華料理のベストは、香港であることを、
シンガポールが認めたことになる。
シンガポールの夜、中国系のシンガポール人トムは、
「チャイナ・タウンに、おいしいタイ料理があるが、どうでしょう?」
と、タイ・レストランに連れて行ってくれた。
――チャイナ・タウンというから、
中華料理を予想したのだが、タイ料理だった。
それに、トムはチャイナ・タウンへ行くことには、ためらいはない。
そのタイ料理は、次だった。
―タイ式のシャーク・フィン(フカヒレ)スープ、
土鍋には、シャーク・フィンのかたまりがあって、
味はマイルド、濃くはない。
―ガルーパという、魚のカラ揚げ、
エラが張った白身の魚ガルーパは、くせのないサッパリした味。
―Fish Mawフィッシュ・モーというシャークの胃、
このフィッシュ・モーは、スポンジのような形。
ジンジャーと、野菜の味付けソースをかけるのだが……うまい。
「フィッシュ・モーは、シャーク・フィンと同じで、非常に高価だ」
とトムは言う。それに、
―豆苗(とうみょう)の炒めもの。
タイ料理は辛い、と構えていたが、まったく違っていた。
――デリケートな味だ。このタイ料理ならば、
世界一の香港の中華料理と、同じか、しのぐ。
このタイ料理は、デリケートな味を出せるシェフの力だ。
「外に出て、ドリアンを食べましょう」
と、タイ・レストランではデザートは止めて、
夜風が心地いいチャイナ・タウンに出た。
ドリアンの露天商が並び、山積みのドリアンと、
1個ずつ、ヒモでつるしたドリアンを売っている。
ヒモつりのドリアンのほうが、形が安定している。
「ドリアンは、シンガポールではできないから、
マレーシアやタイから輸入している」
と、トムは言う。
「妻は、ゆすったり、押したり、匂いをかいだりして、
ドリアンの見分け方を知っているが、私には、わからない。
だから、失敗のないように、マレーシア産のブランド品にした。
値段は高いが、当たり外れがない」
山積みのドリアンは、1個売りで、700円だが、
ヒモつりのドリアンは、量り売りである。
トムは、ヒモつりのマレーシア産のブランド品から、
適当な大きさを選んだ。
秤(はかり)で重さを量って、2,500円。
――なかなかの値段だ!
南国の満天の星のもとで、
テーブルのドリアンを見つめる。
トムは包丁で切った……だが、ドブの匂いがしない。
――このドリアンは、果物の匂いだ!
スーパーマーケットで買ったドリアンは、
ドブの匂いを我慢して、果物の王様を味わうか?
それとも、あきらめるか? 重大な決断をするものだが。
種を包む黄色いフニャフニャを、手でつかんで食べる。
――脂肪があるように豊潤で、うまい。
たちまち平らげる。
ドリアンでも、腹が一杯になった。
南国の夜風がさわやかだ。
うまいタイ料理、ドリアン、それに夜風。
シンガポールはいい気分にさせる。
南国シンガポールの夜。