季節の変化

活動の状況

スペインのシエスタ・チャイルドと天才

2008-12-07 07:16:11 | Weblog
シエスタSiesta(昼寝)は、
暑さをしのぐスペイン人の知恵だ。
そのシエスタはスペインの“3S”に入っている。
「スペイン料理は、降りそそぐ“Sun太陽”のおかげだ。
それに、スペインには“3S”がある……Sunのほかに、
Siestaシエスタ”と“Sex”である」
と、コロは大らかに言う。

コロには子どもが2人いる。何歳になるだろうか?
「上は息子で16歳、下は娘で8歳です」

――すると、上と下では8歳も離れている。
それに、最後の子どもだから、
Morning Childモーニング・チャイルド”に違いない?
スペイン版だ!

イギリスの王様ジェフには、3人の子どもがいて、
15歳、13歳、そして8歳だった。
5歳離れた最後の息子は、
Morning Childモーニング・チャイルドだと言っていた。

「コロの娘は、モーニング・チャイルドだね?」
「……モーニング・チャイルド? 何ですか」
「“朝の子ども”です」
と、イギリス人のジェフから受けた説明をした。
「ハハハ……モーニング・チャイルドか、
スペインには、相当する言葉がないな……」

――モーニング・チャイルドはイギリスだけか?
コロは、ちょっと考えていた……そして、叫んだ。
「スペインでは、“朝Morning”ではなくて、
昼間Day time”がピッタリだ!
Siesta Childだ!” そうだ、シエスタ・チャイルドだ!
あれは、木曜日だった!
木曜日のシエスタ・チャイルドだ!」
――木曜日と日まで、
特定することはないにしても、
コロは、話を合わせてくる。
それに、この飾らない明るさがいい。

――この3Sに、SpainのSを加えれば、4Sになる。
さらに、Soil土を加えれば、5Sになって、
スペインの灼熱土壌は、ヒラメキを生んで、
天才”、“鬼才”を生み出している。
ダリミロピカソガウディも……。

ジョアン・ミロの絵を私の部屋に飾ってある。
下諏訪町のハーモ美術館で買った。
15センチ、印刷で2千円ほど。

ミロはカタルーニャン(カタルーニャ人)、
そのミロには、天才のヒラメキがある。
拡がりがある、想像させる。それに、
色もいい、ほのぼのとさせる。

「そうなんです。スペインからは“天才”が生まれている」
コロは、「よくぞ言ってくれた」とばかりに話す。
「美術館をみれば、このことがわかる。
よその国の美術館は、“略奪品”の展示が多い。
研究・調査、保存と称して、持ち帰ったものだ。
イギリスの大英博物館にしても、
フランスのルーブル美術館にしても、
ドイツのペルガモン博物館にしても」

「それか、財力にものを言わせて、かき集めた
コレクション”を展示する美術館だ。
ロシアのエルミタージュ美術館やアメリカの美術館だ」

「略奪品やコレクションではなく、
自分の国の作品を展示しているのは、
スペインの美術館だ!
バルセロナの美術館や、
マドリッドのプラド美術館だよ」
コロはカタルーニャン(カタルーニャ人)で、
マドロニアン(マドリッド人)とはライバルであるが、
このときは、ライバルを忘れて、スペインのために、
バルセロナも、マドリッドも、誇りに思う。

「スペイン以外で、自国の作品を展示しているのは、
フランスの印象派を集めたオルセー美術館、
イタリアのウフィツィ美術館やヴァチカン美術館、
オランダのアムステルダム美術館、ゴッホ美術館だ」

「“カタルーニャ地方”からは、“天才”が出ている。
建築家のガウディ、芸術家のダリミロ
ピカソはバルセロナの美術学校で学んだ……。
天才の作品や美術館が、バルセロナと近郊にあるよ。
ガウディの建築は世界遺産になっている」
と、カタルーニャンは誇らしげだ。


ミロ美術館の屋上。バルセロナ。

「マドリッドからは、2人の宮廷画家ベラスケスゴヤ
ほかに、エル・グレコ(ギリシャ出身)が出ている。
彼らの作品は、マドリッドのプラド美術館にある。
ピカソのゲルニカもマドリッドにある」


ゴヤの像とプラド美術館。マドリッド。

それでコロと、芸術家とその作品を挙げて、
「ガウディのカサ・ミラやサクラダ・ファミリア、
ダリの柔らかい時計(気憶の固執)、
ベラスケスのラス・メニーナス(女官たち)、
ゴヤの裸のマハとカルロス4世の家族、
ピカソの科学と慈愛……」
と、一致するのを喜びあった?

バルセロナの奇抜とマドリッドの宮廷画家
カタルーニャンのヒラメキとマドロニアンの観察力
これは、コロの誇りである。

2時から始まったスペインの昼食は、
5時ちかくになった。
レストランに一杯いたお客さんは、
いつしか、最後のペアも去って、
コロと2人だけになった。

まだデザートを残している。
野いちごのブランデー漬け、それにエスプレッソ。
夜ならば、食後酒としてオルーホOrujo、
アルコール40%の強い酒、2オンスを、
カパッと一気に飲むのだが、まだ、昼間。
シエスタが終わり、これから午後の仕事がある。

ディナーは、夜の9時にレストランが開く。
このディナーは深夜まで続いて、寝るのは翌日。
スペイン人は、翌朝? ちゃんと出社している。

――話は尽きないが、シエスタを十分楽しんだ。
それに満腹だ。コロ、ありがとう。
「ありがとうを言うのは私だよ、
こうしていっしょに食事を楽しめたのだから」

スペイン人は、降りそそぐ太陽Sunの恩恵を、
たっぷりと浴び、生きていることを、謳歌している。
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