室生 向渕は「むこうぢ」と読むことを初めて知った。
去年行った「龍王ヶ渕」が目的地だが、周辺にも見どころがあるので公民館の駐車場に車を停めて歩く。
向渕公民館 やまびこホール 階段の下に昭和3年の石標がある。
横には広場があり、元学校のような雰囲気だがそのような記述は見つからない。
今日は休館日のようで閉まっていた。
消えかけた矢印に沿って坂を登る。
小さいお堂。まったく表示はないが、下にあった地図から「観音堂」とわかった。
右)境内にはイチョウがあり、小さい銀杏がなっていた。
それから、ちょっと気になるお寺に行ってみた。
正定寺(しょうじょうじ)
ちょうど門の前に来た時、ご住職さんが帰ってこられた。
門の左前には「存覚上人創建」と書かれている。名前は聞いたことはないが、由緒ありそうなお寺だ。
入らせていただいていいですか?と境内へ。
境内はひろびろとして美しく整備されている。
花や木がたくさん植えられている。「スズランもありますよ」
ここ向渕は自生スズランの南現地。見に行ったことはないが、名前は知っている。
右)境内に植えられ広がったらしい。何か所かに群生していた。
残念ながら花の時期はもうとっくに終わっている。
「よかったら本堂を見ますか」とありがたいお言葉。
閉まっていた戸を中から開けて下さり、私たちのためにライトアップまでしてくださった。
仏像や絵軸などずらりと並ぶ内陣は金ピカ。親鸞聖人(浄土真宗本願寺派の宗祖)750年御遠忌に金箔を貼り替えられたという。
浄土真宗本願寺派という正定寺、親鸞聖人の玄孫という存覚上人(ぞんかくしょうにん)が通りかかって村人に請われ、寺を開基されて670年という。
門と宝蔵を残して本堂が消失したり、再建や修復を重ねつつ今に至る・・
他でも見かける天井の花絵だが、これも親鸞聖人750年の御遠忌の時、檀家さんによって描かれたものと聞き驚く。原画も見せて下さった。
「これを皆さんが1枚ずつ家に持ち帰り、アクリル絵の具で描かれたのです」へ~~。
有名画家が描いたものより値打ちがあるように思った。
描いた人の名前を書いた紙も貼ってあった。
子供向けや地域向けや外部向けの行事もたくさんされていて、開かれたお寺であることがわかる。
本尊阿弥陀如来や親鸞聖人、日本に仏教をもたらし仏教を尊ばれた聖徳太子像もあった。
「聖徳太子は日本のお釈迦様」とおっしゃる。
たくさんの尊像や絵像の中に、親鸞聖人と生母吉光尼(きっこうに)の絵像もあった。
吉光尼の名前を聞いて、息子は身を乗り出した。
「あちこちに道標があって気になっていたんです」「そうですか、〇〇にもあります」「〇〇のどこどこですね。△△にもありますね」「そんなん知ってる人いませんよ」とご住職もびっくり。息子は道標研究家?なのだ。
晩年を向渕で過ごされたという吉光尼。まつわる伝承も多いのだという。
いろいろ説明してくださった。
「吉光尼さんに会えるなんて感激」まるで友達のようにいう。
本堂の横の戸を開けると真新しい木の建物があった。
これは宝蔵で二尊堂というそうだ。昨年改修されたばかりだそうだ。
この中には法然・親鸞両聖人の連座像や吉光尼の毛の名号(髪の毛で書いた南無阿弥陀仏の文字)などが収められているとのこと。正月3ヶ日には開帳される。
そして大晦日から元旦にかけて、村人はお寺に参り、本堂へは入らずに二尊堂へ。
この間「無言」で、年初め、二尊堂での第1声は「南無阿弥陀仏」と唱えるのだそうだ。
「無言参り」という。
年の初め「おめでとう」という。その語源はモンゴルの「おみとう(?)」で、これは南無阿弥陀仏の意味なのだとか。
約1時間ほどいろいろ説明してくださった。
門の前で「ここは街道なんですよ」「五ヶ谷街道はここを通っていたのですか」その話でまた盛り上がり・・「そうです。そうです。よーう知ってますなあ」とまたまた驚かれた。
正定寺を出て、ご住職に教えていただいた「存覚上人腰掛石」を見た後、向渕公民館に戻り、お弁当を食べた。
さて、今から龍王ヶ渕へ。車で行く?歩く?
場所は下って登った山の上。
楽ちんに流されそうになったが「歩いたら色々見れる」と歩くことに。
車道迄下り。
斜面にはホタルブクロがたくさん咲いていた。白に混じって紫の花もあった。
橋を渡って集落を登る。花や草も見ながらずっと登り。
龍王ヶ渕・堀越神社の表示版を入る。
駐車場には6台ほど車が止まっていた。(去年は8月 車が1台 人2人)
堀越神社「伝承 堀越頓宮跡」
豊玉姫命が祀られ、旱魃の時にはここで雨乞いが行われるとか。
龍王ヶ渕
東屋には1組先客があったので、池の遊歩道を少し回ったが、ヨシが繁って見通しがよくない。
釣りは禁止と書いてあったが、何人か釣り人がいた。
池から突き出した木の上にカメが日向ぼっこをしていた。
黒っぽい体、頭の横のオレンジ色も見えない。おっ。イシガメか・・
ちょっと期待したが、帰って写真を拡大してみたら背中に3本のキール(盛り上がり)
外来のクサガメだった。
途中で引き返して戻った頃には休憩所も小さい桟橋も空いていた。
去年8月にはここでオオマリコケムシの巨大な群体を見た。
今年も見れるかと思ったが見えない。水は緑色で不透明なせいか?季節の関係か?
静かな湖面に向こうの山が映る。絶景ポイントにもなっているらしいが、去年息子に連れてきたもらうまで名前も知らなかった。近くまでは何回か来ているのに。
もう少し水がきれいだといいのになあ。去年もこんなだったかなあ。
休憩して山を下る。
途中で畑にいた方から景色のいいところがあるとの情報を得て、途中から急な坂道を下る。
下りながら、こんなに登ったのかと思う。
おお~っ。絶景かな。 向渕、この静かな山里が大好きになった。
下ってまたやまびこホールまで戻る。
帰路、息子は道標の写真を再度撮り、私は途中で見かけたマタタビの所で停めてもらい写真を撮り、今日の一日のドライブハイキングが終わった。
6.7キロぐらいの距離を歩いたらしい。