ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

オバマに投票した人は、相対的に恵まれていない人たちが目立つ、あるいは逆に都会の恵まれている人だ

2012-11-13 00:00:00 | 社会時評
今回の米国大統領選挙ネタで2つも記事を書いて、怪しいグラフまで作ってしまいましたが、今回(たぶん)最後の記事を書きます。

今回の選挙は、ご存知の通りの僅差で現職オバマ氏がロムニー氏を破りましたが、支持率拮抗の場合、勝負はまさに接戦州次第ですね、米国の大統領選挙は。極端な話、2000年の選挙では、選挙人3人という最小レベルのところの差でゴア氏が敗れたわけですから、ほんと1州たりともおろそかにできません。

なお、参考までに書いておきますと、米国大統領選挙の選挙人というのは、その州から選出される上院・下院の両議院の議員数です。つまり上院は各州2人、下院は最大のカリフォルニア州から53人、最小の州は1人ですから、各州の選挙人は55人~3人になります。だから、最大のカリフォルニア州と3番目のニューヨーク州を民主党が押さえているのはこの党の大きな強みだし、逆に2番目の選挙人がいるテキサス州は共和党の牙城、両党の支持率がほぼ同じでやはり3番目の選挙人を擁するフロリダ州は、2000年の選挙のように文字通り死命を制する戦いになるわけです。

さてさて、今回の選挙を見ると、前に紹介した3回の選挙の選挙人獲得図(再掲します)と同様、だいたいにおいて東部と西海岸は民主党が取り、中西部と南部が共和党が取るという図式があります。









今回接戦州として話題になった州は、コロラド、フロリダ、ネヴァダ、ニューハンプシャー、オハイオ、ペンシルヴァニア、ヴァージニア、ウィスコンシン で、オバマはかたっぱしから勝ちましたから、これはオバマが最後はきっちり勝ったということです。オハイオなんか意外なほど差がついたと思います。

で、私は今回、CNNの選挙サイトからいろいろなことを確認してみました。そうするとなかなか興味深いですね。こちらの調査結果をみてください。上の票と同様、オバマに入れた人は青、ロムニーは赤です。







ほかにもいろいろ興味深い調査結果がありますが、細かくなるので略します。興味のある方は、直接サイトにあたってください。

きわめて図式的にいいますと、男性と女性では女性のほうがオバマ支持、若い世代ほどオバマ支持、白人と非白人では非白人のほうがオバマ支持、都会・地方都市・田舎では、都会になればなるほどオバマ支持です。

簡単に言っちゃうと、白人の男性なら、オバマを支持しているよりロムニーを支持している人が多いということです。若い世代というのは、やはりいろいろな点でオバマに希望を見出しているんでしょうか。都会になればなるほどオバマ支持というのは、オバマというより民主党を支持しているという要素の方が大きいかもしれません。なお、非白人が多いコロンビア特別区(ワシントンD.C.)は、9割がオバマに票を投じています。

都会のほうがオバマ票が多いというのは、上の民主党が取った州をみれば確認できるでしょう。基本的に都市が発達している州は、民主党が強い傾向にあります。

分かりやすいといえばこんな分かりやすい話もないかもしれません。アメリカの田舎に住んでいる人は、やはり共和党支持→ロムニーに入れる人が多いということです。そう考えると、モルモン教徒ですがミシガン州出身でマサチューセッツ州知事をつとめたロムニー氏は、伝統的な共和党支持層からするといまひとつ好みでない候補者だったところもあったでしょう。

そう考えると2016年の選挙はどうなりますかね。レーガンとかブッシュの子ども、あるいはマケインみたいないかにも共和党の支持者が好きそうな人が候補になるか、あるいはロムニー系のエリートがなるのか、時代も変わりますから面白そうです。民主党の候補も興味深いですね。

それにしても、都会の、どちらかというと米国の豊かさを享受しやすい地区に在住の人たちが民主党を支持して、そうでない人たちが共和党を支持するというのも、そんなことははじめから知っていますがどうもなあです。実際、中絶に対する態度で投票先が決まったりしますから、これ自体はとくにおどろくものではありませんが。08年の選挙の共和党の副大統領候補であるサラ・ペイリンは、出生前検査で、自分の5番目の子どもがダウン症であることがわかっても中絶しませんでした。それくらい本気だということです。

前にも記事にしたように、トルーマン以降同じ政党の候補者が3回続けて勝ったのは1度だけです。共和党が勝った80年、84年、88年の選挙です。ただ実際には、00年の選挙は総得票数でゴアがうわまわったのですから、3回つづけて民主党が勝つというのもあり得ない話でもありません。とうぜん共和党は政権奪還のために最強の候補を出してくるでしょう。今度は新しい大統領を選ぶ選挙ですからかなり盛り上がる選挙になるのではありませんかね。

そう考えると、今回2012年の大統領選挙は、いまひとつ盛りあがらない選挙だったかなと思います。これは現職が再選を目指す選挙ですから仕方ないところもあります。本来なら非常に僅差の勝負だったわけで、もうすこし盛りあがっても良かった気がしますが。

いずれにせよスパニッシュ系の人口が増えているせいもあって、以前より民主党がこと大統領選挙に関しては若干強くなった気もします。90年代以降の2人の民主党大統領が再選を果たしたのもそのあらわれかも。当然共和党側も次回は文字通りの必勝体制でしょう。たぶん2016年にはまた何回か大統領選挙の記事を書くことになると思います。
コメント (8)
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