拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

ムゼットのワルツ(街を歩けばみんなボクに夢中!)

2022-12-28 08:21:33 | 音楽

シューベルトの「冬の旅」を勉強してみよか。だが、カウンターテナーで歌う例はあまり聞かない。もともと女に振られた男が主人公の歌だから男声によって歌われることが多い。だが、バッハがカントルを務めていたライプチヒの教会の聖歌隊の少年達の6割はキリスト教徒ではないという。キリスト愛を人類愛に置き換えて歌っているのだろう。だったら女性も「冬の旅」を「男に振られたあたし」に置き換えて歌えばよい(とか言うと、「あたし、男を振ったことはあっても振られたことはないからムリ」と言う人がごちゃまんといそうである)。現に、この曲を歌うメゾ・ソプラノの歌手がいる。カウンターテナーで歌うことに問題はなさそうである。

かように、現代はジェンダー・フリーの世の中。男女を固定することが間違っている。なーんてことを考えてたら名案を思いついた。「ボエーム」の男女を交換してみたらどうか。部屋の鍵をさがすロドルフォの手を握って「冷たい手」を歌うのはミミ。それを受けてロドルフォが「ボクの名はロドルフォ」と歌う……だが♪ミキアマーノ、ロドルフォ……これだと「ロドルフォ」を早口で歌わなければならない……いや待て。ミミだって本名は「ルチア」である。それをみんなが「ミミ」と呼んでいるのだ。だったら、ロドルフォも、これは本名だとして、短い名前を考えよう。適当なところで「ロディ」はどうか。♪ミキアマーノ、ローディ……はまりましたね!疑問その1=なぜ、「ルチア」が「ミミ」と呼ばれるのか。浅学の故不明。その2=「ロドルフォ」の愛称は「ロディ」でいいのか。浅学の故不明Part2。だが、「ロドルフォ」はもともとドイツ語の「ルドルフ」で、その愛称は「ルディ」。そこまでの調べはついている。

「ルチア」で思い出した。ナポリを始めとする南イタリアでは「ci」(標準語ではチ)を「シ」と発音するから「ルシア」である。そのことを、昨日のBSの紀行番組で、現地の人が「アミーシ」「クシーナ」と言っているのを聞いて思い出した。因みに、ナポリの人が「ci」を「シ」と発音することは、だいぶ前、NHKのイタリア語講座で今はタレントとして活躍中のジローラモさんで知った。他のイタリア人がみんな「チ」と言ってるのにジローラモさんだけは「シ」と言って誰も直さない。同調圧力の日本で吹いたイタリアの自由の風であった。あと、件の紀行番組で、日本語の「ありがとう」に対して、現地の人が「ニエンテ」と言っていた。ドイツ語の「Es macht nichts」と同じく「なんてことありませんよ」という意味だが、英語ではどうだろう。「You are welcome!」と習ったが「Nothing」ということはないだろうか。浅学の故不明Part3。おまけの話その1。私が「ナポリの人」で思い浮かべるのは、上記のジローラモさんと、ミルコ・デムーロ騎手である。その2。ジローラモさんのフルネームは「パンツェッタ・ジローラモ」と表記されるが、これは日本風の語順であり、母国では「ジローラモ・パンツェッタ」、すなわちファーストネーム=ジローラモ、名字=パンツェッタである。「ジローラモ」はドイツ名の「ヒエロニムス」に相当する。「Cantate Domino」を作曲したヒエロニム・プレトリウスも、イタリアでは「ジローラモさん」になる(なお、ヒエロニム・プレトリウスは、同時代の作曲家のミヒャエル・プレトリウスとは別人である)。今回、自らの誤りに気づいたのはその名字。てっきり「豚バラ肉(ベーコン)」だと思っていたら、そっちは「パンチェッタ」。「パンツェッタ」は「腹」の意味なんだと。語源は同じっぽいけれど。

話を締める前にさっきの話に戻る。ボエームの男女を入れ替えた場合、第2幕のワルツは「ムゼットのワルツ」になる。♪街を歩けばみんなボクに振り返る!タリラリラ、ラッタラーラー……それってボクのこと?そうよ、あなたみすぼらしいから、みんな振り返るの!


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