だからパリは古い建物が多いのか。こないだテレビで日本人が住むパリの屋根裏部屋を紹介していたが、そこからエッフェル塔(だったか凱旋門だったか)が見えるというからパリの真ん真ん中。それでいて部屋の中を移動するにも身体をくねらせなければならないくらい狭く、水道の圧も低いっていうんだから相当に建物は古い。パリの真ん真ん中にそんな古い建物がたくさん残っているわけである。因みに、家賃は10万円前後!高いって気もするがパリの真ん真ん中だからなー。それから「ボエーム」ってオペラのヒロインのミミの部屋がパリの屋根裏部屋っていうからこんな感じの部屋なのだろう。ミミは「(雪解けの季節の)最初の太陽は私のもの」と歌う。最上階だから太陽に一番近いという理屈である。
パリ五輪の開会式の話の続き。セーヌ川をつたっての選手の行進は断続的で、合間に、いろいろなアトラクションが行われた。ダンスやファッションのほか、音楽もいくつか奏でられたが、そこではピアノの受難が目を引いた。
例えば、アレクサンドル・カントロフが弾いたピアノは雨でびしょ濡れだった。
だが、濡れただけならまだマシであった。その後、イマジンの伴奏で弾かれたピアノは炎に包まれた。つまり、燃やされたのである。まるで公開火あぶりの刑。悪趣味である。楽器は大事に扱いましょうと教えてる大人は子どもにどう説明したらよい?イマジンは、これからオリンピックの開会式でずっと歌い継がれるそうだが、まさか、そのたびにピアノを燃やすんじゃないだろうね。
もっとも、今回に限らず、ピアノを壊したり燃やしたりするアーティストは世界中にいるそうである。ピアノが燃えたらまた買えばいいというような裕福な家に育った人間ならこれを芸術として評価できる心のゆとりがあるのかもしれない。だが、戦後10数年しか経ってない頃に生を受けた、要するに日本全体が貧乏な頃に貧乏に育った私などは「もったいない」が優先してとてもこれを芸術として評価する精神的余裕はない。
因みに、イマジンは「国のない世界を想像したまえ」と歌う。いいねぇ。オリンピックも選手が国を背負うのではなく、各個の実力を披露し合う大会になればいいと思う。だが、それでは「国の補助」が出なくなるか……
開会式のラストにエッフェル塔で歌ったセリーヌ・デュオンの歌は圧巻だったが、やはり伴奏のピアノに目が行った。止まない雨によってびしょ濡れだったが燃やされなくてなによりである。
気を取り直そう。冒頭にシャンソンを歌ったのはレディー・ガガだった。ガガさんはイタリア系のアメリカ人でフランスとの接点はなさそうだが、今大会は国とか人種は関係ないんだね。懐の深いフランスである。ガガさんのパフォーマンスは素晴らしかったが、タトゥーが見えたから、日本の銭湯には入れないし、橋下市長時代の大阪市の職員にもなれない(大阪市が今はどうなってるのかは知らない)。それとも、日本の銭湯も懐の深いところを見せてガガの入湯を認める?そしたら、ガガだけ認めるのは不平等って言う人が現れそう。銭湯さんにとっては頭の痛い問題である(取り越し苦労)。
フランス国歌を歌ったオペラ歌手のアクセル・サン・シレルは超美声だった。
そろそろオリンピックにカウンター・テナーが出てきてもいい頃だ、ジャルスキーあたりが出てくる?と思ったら、若手のヤクブ・ヨゼフ・オブリンスキーが出てきた。この人は、世界で唯一のカウンター・テナー兼ブレイキングダンサーなのだそうだ。だったら、横野君も、中学のとき短距離をやってたって言うから、世界で唯一のおかま歌手兼シニア陸上の短距離ランナーになりなさいよ。あちこちほっつき歩いてるんだからトレーニングは苦じゃないでしょ?え?歩くのと走るのとでは使う筋肉が違う、こないだ皇居を走って一周しようと思ったら走り出し早々に足が痛くなってなんども止まった?じゃあ、これから訓練なさい。90代の部を目標にすればあと25年ある。筋肉を鍛えるには十分な時間でしょ!