拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

イーテー(E.T.)

2024-07-13 08:54:55 | 映画

ソニーよ、お前もか。パナソニックに続いてソニーもブルーレイ・レコーダー事業からの撤退を発表。ま、「お前もか」と書いたが、ソニーこそ、ベータヴィデオ、8mmヴィデオ、MDとあまたの新商品を世に送りだし、かつそこから撤退してきた会社であった。つうか、どっかにメディア博物館とやらがある通り(行ってみたい)、録音録画装置というのは、できてはなくなる運命にある。ベータを圧倒したVHSだって廃れてしまったし。因みに、そのメディア博物館とやらには8mmフィルム(8mmヴィデオではない)ならぬ9.5mmフィルムというのがあるそうである。

なーんて物わかりのいいことを言ってる場合ではない。ウチの録りだめたDVD・ブルーレイ(ゆうに1万タイトルはある)はどうしてくれる?だが、考えてみれば、DVD・ブルーレイの前に私自身の命が有限である。プレーヤーはどこかが細々と作り続けるだろうから(VHSやカセットのプレーヤーもしかり)、私がこの世にいる間はなんとかなりそうである。その後のことは知らない。どうせ、地球は将来膨張した太陽に飲み込まれて消滅する運命である。

てな感じで気を取り直して、最近レコーダーで録った映画をブルーレイ・ディスクに移してたらその中に「E.T.」があって思わず見てしまう。人が、梅干しを想像すると唾が出るように、足をこつんと叩くと持ち上がるように(脚気の場合を除く)、終盤になると、ストーリーが分かっているのに目が洪水になる。横野君によると、「バラバラの騎士」とかなんとかいうオペラがあって、吉田さんっていう偉い評論家の言を借りると、そのオペラの作曲者のシュトラウスって人は、泣くものかと言いながらホントは泣きたくてハンカチを用意しつつオペラ劇場にやってくるご婦人方の涙のスイッチを心得ていて、そこをきゅっとひねって必ず泣かせるのだそうだ。「E.T.」もそんな感じである。特に最後の別れのシーンは、ジョン・ウィリアムズの音楽と相まって圧巻である。私が特にぐっと来るのはE.T.がエリオットに「come!」って言うシーン(え?一緒に行こうってこと?それほどエリオットが好きになったの?)。それに対してエリオットは「stay」って言う。そして抱擁シーン。少年と異形の地球外生物の抱擁は、どんな美男美女のハグシーンよりも心に残ります。

感動的な話で終われないのがワタクシの性(さが)。感動をぶち壊す話その1。そんなわけで感動の嵐だったわけなんだけど、私が「ちょっとなー」と思ったのは自転車の扱い。子ども達が自転車をちゃんとスタンドを立てずにガターンと道に放り出すのを見て、もう少しモノを大事にしてほしい、と思った。大量消費のアメリカらしい?とも思った。因みに、誰かがネットに「この自転車は大阪の会社製」と書いていた。真偽のほどは未確認。

その2。公開当時の「E.T.」の日本での試写会に黒澤明が来ていて、来日していた監督のスピルバーグが挨拶に行ったそうなんだけど、黒澤監督はなんて言ったんだろう。「スピル君、なかなか良くできてるよ」くらい言ったんだろうか。因みに、黒澤監督は北野武監督のことも評価していて、北野監督のことを「ビート君」と呼んでたそうである(北野監督自身がどっかで言ってた)。

その3。子どもたちがE.T.を宇宙に帰らすために大人達から車ごとE.T.を奪回する行為は、日本では、構成要件的には公務執行妨害にあたる。しかし、エリオットは14歳未満だから罪には問われない。仲間の中には14歳以上と思しき子もいたが、そもそも、日本の刑法の公務執行妨害罪は、アメリカでなされた行為については適用はない。だから、彼らは、おおえばりで日本の地に足を踏み入れることができる。が、その前に、アメリカの法律でなにかしらのお目玉を食らいそうである。

その4。「CD」を「シーデー」という社長さんなら、「E.T.」は「イーテー」と言うのだろうか。え?ドイツ語なら正しい?あのね、ドイツ語でも長母音は「イ」に近くなるからやっぱり「イーティー」が近いと思うよ。つうか、その社長さんのことをみなさんご存じ?笑点でみやじがよくネタにするんだけど、あんまりウケてなさそうなんで。