拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

「すばらしき世界」に流れたカヴァレリア・ルスティカーナ

2021-02-24 09:39:03 | 音楽
昨日見た「すばらしき世界」……どうしても「美しい人生」と言ってしまって、松崎まことの歌を思い出してしまう。違った、この歌を歌ってたのは松崎しげるだった。松崎まことは笑点で長年座布団を運びつつ「赤信号、みんなで渡ればこわくない」と言ってた人だった。違った。それはビートたけしだ。松崎さんは「赤信号、横断歩道を渡りましょう」だった。ん?赤信号で渡ったらだめじゃん。違った、「手をあげて、横断歩道を渡りましょう」だった。あまりに脱線時間が長かったから、もう一度最初から言う。昨日見た「すばらしき世界」のことで、書き残したことがあるのでそれを書こう。くだらない話である。わざわざ翌日になってまで書く話ではないが、私の気が済まない。つまりね、役所広司は3回全裸になった。役所広司が西川美和監督に「身も心も裸にされた」と言ったうち体についてはこれだと思った。しかし、普通なら前張りを着けているはずである。ねっ?くだらないでしょ?裸と言えば、三上正夫(役所広司の役)が小説家志望の若者に背中を流してもらうシーンがある。ワタシ、最後がいつか思い出せないくらい人に背中を流してもらったのは遠い過去のことである。自分ではどうにもタオルが届かない背中の箇所がある。だから、その部分は垢が幾層にも蓄積されているかもしれない(地層か)。それから、シーンの変わり目変わり目で空が映し出された。きれいだな、と思った。この映画の英題は「Under The Open Sky」。空が開けている、そこが娑婆と刑務所の違いだそうだ。だが、最後に映った空は曇っていた。なんだか、この娑婆こそが悪の世界に思える瞬間がたびたびあった。実際、最近の旭川刑務所は独房完備。個室には壁掛けテレビが備え付けられていて、トイレ付きで、暖房もうっすら効いていて、娑婆よりも居心地がいいくらいだそうだ。なるほど、雑居房にはいろいろ弊害があるらしいから独房がいいのだな。因みに、ホリエモンは雑居房に入っていて、同居人の方々から「社長」と呼ばれていたそうだ。で、同居人がやばい相談をするときは「社長は聞かなくていいから」とはずしてくれたそうだ。なかなかの同居人愛である。この映画の原作は、佐木隆三の「身分帳」で、映画の「三上正夫」は原作では「山川一」で、そのモデルが「田村義明」ということだが、いろいろググってったら実は「田村義明」の本名が「三上正夫」で、そのことを事件当時の新聞で確認した西川監督が役名を「三上正夫」にした、って記事が出てきた。後追い記事は見てないので、真偽の程は不明である(プログラムを買えば書いてあったのだろうか)。最後の方で、マスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲をアレンジした歌が流れた。心に沁みた。このオペラの世界も、不倫、決闘、殺人と相当にアンダーグラウンドである。その間奏曲があのように甘美。西川美和の描いた娑婆を「すばらしい世界」と呼ぶのが皮肉なら、このオペラに流れる間奏曲も皮肉である。あるいは、いずれも皮肉などではなく「そこに真実がある」ということか。ホントは今朝から三大テナーの話に戻るはずだったが、ちょっと前置きくらいのつもりで映画の話を書き始めたらこうなってしまった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿