「妙」の送り火のまわりでお精霊さまが踊っているような・・・
(2014年8月16日 京都にて撮影)
(つづき)
その日(2017年8月16日)横浜は雨でしたが、京都は晴れていたようでヨカッタ!です。
昼頃には腰掛待合と露地の蹲踞を使うのを断念して、玄関に簡易の蹲踞を設けました。
席入は16時、一人亭主なので懐石に時間が掛かることをお詫びして、30分席入を早めて頂きました。
・・・しっとりと降る雨の中の夕去りの茶事、お正客Yさまはじめステキなお客様と過ごしたひと時は一生忘れる事のない想い出になることでしょう。
「大文字 夕去りの茶事」のあれこれを書きたいところですが、来年も(?)できましたら大文字の茶事をしたい・・・と思っております。
それで会記と、Rさまからの後礼の手紙を掲載し、「大文字 夕去りの茶事」の記念とさせていただきました。
待合
床 般若心経
煙草盆 竹張香座間透
火入 青磁香炉
本席(初座)
床 掛物 「去々来々来々去々」 足立泰道老師筆
花 高砂百合と烏瓜
花入 杼(ひ)の釣り舟
風炉 唐銅道安
釜 波文尻張釜 畠春斎造
初炭
炭斗 樺細工箱炭斗
羽根 フクロウ
火箸 岡山城大手門古釘
灰器 琉球焼
灰匙 真鍮のスッカラ
水次 樺細工水次
香合 独楽 銘「ヒマラヤ」
本席(後座)
床 懸け仏 三具足
水指 備前
茶入 ガラス茶器 銘「暁」 西中千人造
大津袋
茶碗 白楽 銘「小鷺」 染谷英明造
茶杓 銘「寧」(ねい) 染谷英明作
棗 几帳棗
茶碗(薄茶) 青磁
信楽
蓋置 竹
建水 京焼
濃茶は「延年之昔」(星野園)、薄茶は「舞之白」(星野園)です。
Rさまよりステキな後礼のお手紙が届きました。ありがとうございます!
大文字~急な雷雨~雨宿り~そして出逢い
・・・という流れは芝居で何度か観たことがあります
天候の急変が多い今年です
気圧の変化でお疲れは出ていらっしゃいませんか
私は雨宿りでの出逢いこそ無かったのですが、この大文字茶事に出会えた事がこの夏一番の想い出になりました。
暁庵様のお茶事ではいつも迎え付けの会話からワクワクいたします
今回も諸荘りは後座への布石とか、五山送り火探しのたのしみとか、お話を進めて頂いて、そこからトレジャーハンターに変身いたしました
お懐石の美味しかったこと・・・
ご主人様のお心尽くしのお味噌の田楽もお煮物も嬉しくって茄子を買って帰りました
短檠の明かりの中、緑の床の間に浮かんでいる懸け仏様のお姿はそのまま戻って行ってしまう親しい者の姿に見えて、改めて送り火の意味を教えて頂いたようで胸に迫るものがありました。
その反面、韓国や南仏そして北欧の旅で連れ帰ってきてくださったお道具達は初使いの物を含めて我々がこれから出会うであろう新しい楽しみ事にも思え・・・
去々来々来々去々
の最初の軸にこうして繋がるのだと嬉しい想いでございました
温か味のある形の備前水指に斬新なガラス茶器の取り合わせ、小鷺茶碗でのお濃茶が美味しかったです
美味しい物を頂いた幸せ
巡り会えたご縁への感謝
そして送りし者への惜別
・・・とが混ざり合い、静かな雨音の中、色々な想いに浸っていたい夜でした
なので五山の発見はただ二つだけ・・・う~む残念でございました
お招きいただいて心より感謝しております
暁庵様のおかげで母が好きだったお茶とはこう言うものだったと改めて教えていただいております
ありがとうございました
どうぞお疲れが出ませんように御身お労りくださいませ
ごきげんよう
平成二十九年 初来月十九日 Rより
最後はいつも物悲しく見送ります・・・・迷わず帰って行けたかしら?
暁庵より
巻紙に書かれた長文のお手紙、茶事中の皆様との会話を思い出したり、時には共に亡き人の面影を追いかけたり、涙ながらに拝読しました。
また、掲載できませんでしたが、皆さまから心温まる後礼のお手紙を頂戴し、感謝感激しております。
こちらこそ、頂戴したお手紙に大いに癒され、励まされ、茶事の喜びと茶事を続ける勇気を頂戴しました。
いつもありがとうございます!
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