暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

瀬谷の吊るし雛と茶会 (2)

2011年03月04日 | 茶会・香席
             

待合の床に、和歌を掛け、豆雛を飾りました。
茶席の床は、能「隅田川」、野沢蓼州(りょうしゅう)の絵です。
床柱に春曙紅(しゅんしょっこう)を一輪、旅枕にいけました。

改めてご挨拶のあと、すぐに初炭です。
釜をあげると、丸ぎっちょが三つ人待ち顔に見えました。
今日は天気が良かったのですが、とても寒く、火がごちそうなのです。
準備のときは大きすぎるかしら? と思った胴炭がぴったりでした。

香炉を整えて折据を乗せて盆を持ち出し、
「どうぞ折据おまわしを」
役札を引いたSさんが香を焚き、私も相伴しました。
香はアブダビの香(NO.3)です。
ゆっくり三回聞きますが、三回は「過去、現在、未来」を聞くそうで
初めてNさんから伺いました。

ほのかな香を聞いていると、松風が聞こえてきました。
こころなしか、お囃子のように聞こえたのは
先ほどの瀬谷の吊るし雛で出会った五人囃子のせいでしょうか、
それとも能「隅田川」の囃子でしょうか。
ゆったりとした時間が流れていきます。

             

             

主菓子「香りたつ」(寿々木製)を賞味して頂き、濃茶をお点てしました。
濃茶は伊藤園の万歴の昔です。

つづき薄茶で最初は梅、替えは桜の茶碗でお点てしました。
お正客役のNさんの心遣いで、自服をさせて頂きました。
水一杓を忘れたことにあとで気がついたり、いろいろと所作が
身についていないことがわかり、好い経験でした。

反省としては、座布団や閑座をおすすめすれば良かった・・のですが、
肝心の干菓子をお出しするのを忘れたほどですからご勘弁ください。
干菓子は、「福来」(鶴屋吉信)と最近お気に入りの「侘び箪笥」(金沢・諸江屋)です。

薄茶になると、いろいろな話が飛び交いました。
「能は好きですが奥が深く眠くなって・・・」とお話しすると、
私も・・と声が続きます。
「能は、眠くなるくらいが好い能という話を聞きました。
 あの世とこの世の境を行き交う能は眠くなって夢うつつの状態が佳境だと・・・」
というMさんのお話は興味深いものでした。

話は尽きませんが、名残り惜しく茶飲み会をお開きとしました。
・・・とっても楽しかったです!
またのお越しをお待ちしております。

     瀬谷の吊るし雛と茶会(1)へ 
                           その日は、 のち 

     写真は、「川口邸・雛段の茶道具」
           「我が家の豆雛)
           「三人官女と五人囃子  長屋門公園」
           「香りたつ」 (寿々木製)


2 コメント

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吊るし雛&お茶会のお礼 (楽居庵)
2011-03-05 14:54:30
暁庵さま
雛に始まり雛で終わった雛の宴でした
そのプロデュースをされた暁庵さん、
機会を得て参加させていただきましたこと、
この場をお借りして厚くお礼申し上げます

幾つになりましてもお雛さまとの対面は
心うきうきするものですね
改めて日本人の行事への深い想い入れ、
そして箪笥や蔵に眠っていた着物などの端切れから生れた吊るし雛、
狐の嫁入り行列人形などなど…
日本人の感性の豊かさ、繊細さに感動いたしました

そして長屋門公園へ
三年前の二月十七日、暁庵さんが「四国八十八ヶ所巡拝御宝印譜面」のお軸を掛けられ
結願された喜びの茶事をされたのが、ここ長屋門公園でしたね
あの当時のことが思い出されてとてもなつかしかったです

そしてその時の茶事に華を添えられた
魁の梅の屏風に、午後からの茶会の待合で
再びお目にかかりました

3日は冬が再来したかと思われる
寒い日でしたので、
藁灰の中の真っ赤な炭に手を温め、
甘酒に身体を温めさせていただき、お心入れありがとうございました

それから茶事を生涯の友とされて
創意工夫されていらっしゃる
暁庵さんの真直ぐな心を受け止めることができましたでしょうか
皆様方と一座建立させていただきましたこと、
お茶ならではの楽しさに満ちたお会でした

どうぞまた機会がありましたら、
お呼びいただけましたら嬉しゅうございます

来月もひな祭り茶会が控えていらっしゃるとのこと、どうぞお身体お大事に遊ばしてくださいませ

後礼のお手紙と思いましたが、
ブログにお礼させていただきました
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城端塗 (暁庵)
2011-03-05 22:17:52
楽居庵さま

ご丁寧なコメントを頂き、ありがとうございます。
長屋門茶事のことを覚えていてくださって感激です。
あの茶事は私にとりまして原点の茶事と思っていますので、一入ご縁を感じております。

また、このたびは三か所の瀬谷の吊るし雛を楽しんでいただけたようで、嬉しいです。
茶談義も弾み、私もご一緒してとても楽しゅうございました。

茶事ではなく、茶飲み会なのでもっと気楽にと思っていましたが、
皆さまの期待も感じられて、難しいところですね。
今度は是非、お茶事へいらしてくださいませ。

今日、テレビで城端(じょうはな)や城端塗(じょうはなぬり)を紹介してました。
楽居庵さんの城端塗のお話がとても印象に残っていたので
興味津々で番組「小京都」をみました。
連休の旅行先として城端の曳山見物を検討中です。
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