暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

聴花の茶事・・・(4)後礼のお手紙

2024年06月02日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

 

つづき)

お客さまから後礼のお手紙が届きました。何よりの心温まる栄養剤を頂戴し、厚く御礼申し上げます。

お手紙を読むと、また新たな聴花の茶事に出逢えたような気持ちになります。

その中の2通を茶事の記念に掲載させて頂きます。

 

 FIさまより

    酒干すを待ちて大山蓮華かな

初夏となり 速足すれば 汗ばむ頃となってまいりました

聴花の茶事 ご亭主様の想ひに どれだけ応えることができるだろうかと

心許ないことでございました

席が始まれば そのような不安は消え 正に"無我"に導かれて

穏やかな心持で楽しませて頂きました

お懐石 大変美味しく 「楯野川」が私にしては珍しく進みました

お濃茶 とても奥深い味で ”いびつひめ”とは名残り惜しく 

薄茶茶碗の山ホトトギスに至っては どこにも去らずこの碗の中に居ておくれ と思ふ始末

風炉の灰も炭も美しくまこと茶事の神髄を見る思いでありました

さぞ お疲れのことと存じます

お忙しい中にあられても少しでもお身体休めてくださいませ    かしこ  

 

   (今春最後の椿が咲いています  5月19日撮影)

 

 Ⅰさまより

 新緑の木漏れ日の中 風を感じながら腰掛に座っていられるひとときは なんて幸せな時間だったでしょう

昨日はお招きをいただきまして まことにありがとうございました

さぞお疲れになられた事と存じますが 私にはまた一つ大切な思い出ができました

聴花と言うテーマに合わせてお一人お一人のお話を引き出してくださる趣向はとても面白かったです

人が一生の中で経験できる事は少ないなか 一期一会でお会いできた皆様のお話をお伺いできるのは 自分の経験が増えたような気にさせて頂き刺激的でした

 それぞれの人生にそれぞれの花が有り 更にそれがお懐石やお菓子の中の菖蒲や薔薇になって昨日は現れてくれました

小梶様の懐石も初夏の趣向で爽やかで 石井製の主菓子もガラスの器に乗った涼しげなチョコレートも美味しかったです

でも何よりお濃茶が最高でした

ふっくらとした薩摩焼茶入から茶杓でたっぷりと何度も掬ってくださったお茶が 私には久々の濃さで練り具合も良く 喉から美味しさが伝わるのを感じていました

KTさまは華やかな茶箱での花点前 柄杓を使いながらお話をしてくださり乍ら 何服もお点て頂いて時の経つのを忘れておりました

 前日 少し心乱れる事があった私には苔仙住職の「無我」がとても沁みました

小説や絵画がそうであるように 掛軸の言葉からもその時の自身の状態で全く違う印象を受けます

暁庵様が「己の奢り等を取り払った境地」とお話してくださった言葉が昨日は深く刺さっておりました 「明鏡止水」は遠くても心穏やかに目指して行きたいと思います

 そして最後はやはり雨模様・・・・ 確率8割超です

雨で鮮やかな緑は綺麗ではありますが 皆様のお足元に本当に申し訳なく・・・

 まだお片付けもお有りと存じます どうぞお疲れが出ませんように・・・

楽しいひとときをありがとうございました     かしこ

  

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