昨日(2月5日)は思わぬ大雪になり寒さがこたえますが、いかがお過ごしでしょうか?
1月24日のこと、思いがけず水指が届きました。
陶芸家の染谷英明さんからです。暮れに電話を頂き、
「11月4日には遠くから個展(・・・陶芸展ではなく絵画展でした)へ来ていただき、ありがとうございました! コロナ以降、なかなか陶芸作品を作れないのですが、玄関に水指(大中小だそうです)が3つ置いてあります。水指にとっては茶席で使ってもらうのが一番なので、そのうちの1つを差し上げたいと思います・・・」
「せっかくのお申し出なので喜んで頂戴します。立礼の茶事に使うので小さめのを頂きたい」と私。
・・・その後のやり取りでまん中の水指を選んでもらい、1月末に東京でお会いすることになっていました。びっくりしてお電話すると
「あれから体調を崩して東京へ行けるのが先になりました。それで、早めに水指を送りました。気に入ってもらえると嬉しいのですが・・・」
「とても素晴らしい水指をありがとうございます! 中とお聞きしましたが、大のイメージに近い堂々とした信楽の水指で、立礼だけでなく広間の席にも使いたくなりました。釉薬と窯の灰と炎が交じり合って生じた景色の妙が見飽きません。大事な水指を頂戴して、ありがとうございます!」
思えば、韓国旅行をご一緒したご縁で、その後3回ほど染谷英明氏の個展へ出かけましたが、いつも作品のことをキラキラと目を輝かせて語る染谷氏のお話、そして屋敷森に囲まれたギャラリーの佇まいやお食事が楽しみでした。
白楽茶碗「小鷺」、茶杓「寧(ねい)」 そして信楽焼の水指・・・どれも染谷英明氏の作品で、暁庵にとって思い出深い茶道具です。大事に使わせて頂きます・・・。
(秋の花が生けられた信楽焼の花入・・・染谷英明氏の作)
(「若き日の自画像」)
遅くなりましたが、令和5年11月2日~13日に開催された「染谷英明 絵画展」のことを書いておきます。
11月3日に「古希をお祝いする茶事」へ参席した後、足利市で1泊し、翌日に絵画展へ向かいました。
駅まで染谷氏が迎えに来てくださり、埼玉県伊奈町にある「Viennto Cafe&Gallery」に着くと、そこは屋敷森が残る素敵なギャラリーでした。
(屋敷森の残る「Viennto Cafe&Gallery」(埼玉県伊奈町))
「絵はともかく、食事も珈琲も美味しいので楽しんでいってください」
Cafeの中に個室の様な部屋があり、絵を見ながらお食事やお話が出来るようになっています。
染谷氏は高校生のころから絵を描いていたそうで、大きな絵を描けるように大きなアトリエのある家を作ったそうです。「でも、なかなか大きな絵は描けなくって、家の借金返済が大変でした(笑)」
そんなお話を伺いながら、若いころの自画像と今の自画像を興味深く拝見しました。
静物画や花の絵もありましたが、自画像が興味深く、特に絵画展直前まで没頭したという2枚の自画像が印象に残りました。自画像を描いたことには特に深い意味はなく、モデルを頼むのも大変なので、人物画がたまたま自画像だったのです・・・と淡々と語ってくれました。
描きながら、きっと色々なことを自分自身と語り合ったのではないかしら?
「Viennto」さんの地産地消の野菜を使った、生ハムのランチプレートを一緒に頂いた後に、ご自作の「瀬戸黒茶碗」で珈琲を頂きました。
(珈琲と相性抜群の「瀬戸黒茶碗」)
2杯分はたっぷり入っているので、最初にストレートで、それからミルクを入れて、最後に砂糖を入れて、心ゆくまで珈琲を楽しみましたが、深味のある「瀬戸黒茶碗」が珈琲をより一層美味しく惹き立てています。
「この瀬戸黒、古武士のようで・・閑かで・・いいですね。珈琲が何倍も美味しくなりました」と私。(秘かにお持ち帰りしたい!とも・・・)
この瀬戸黒茶碗で、お薦めの「Vienntto ]の珈琲を飲んでもらいたくって、わざわざ持って来てくださったとか。
駅まで送ってもらい、再会を約してお別れしました。
「また元気でお会いしましょう・・・早く体調を整えて、次なる個展を目指してくださいね」