暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2020年炉開きと口切の会・・・(2)

2020年11月11日 | 暁庵の裏千家茶道教室

  「二居湖の紅葉」  上越国境の苗場ドラゴンドラから11月3日撮影

 

(つづき)

茶壷の拝見が終わる頃に御茶入日記が正客へ運び出されます。そのころ暁庵も再び席中へ入り、口切を見守りました。

茶壷は六古窯の一つの丹波焼で、作者は市野信水、口覆いは笹蔓緞子です。

Uさんは緊張した面持ちで、合口をさぐり小刀を直角に刺し込んでゆっくり切り始めました。
社中一同、我がことのような心持ちで、息をのんで口切の所作を見詰めます。

 

・・・やがて蓋が開けられ、「いずれのお茶にいたしましょうか?」
「どうぞご亭主様にお任せいたします」と正客N氏。
「承知いたしました」
茶の入った半袋3つのうち1つが取り出され、茶銘を読み上げ、挽家(ひきや)へ入れました。
「壷切抹茶でございます」(「壷切抹茶」は丸久小山園から口切の時期に特別販売されていて、京都から取り寄せました)

葉茶上戸に開けられた詰茶を一方へ寄せて詰と書かれた挽家へ、次いでトットットト・・トントン・・・という音と共に残りの詰茶が茶壷へ入れられました。口切の中で葉茶上戸の扱いと軽やかな音もステキな一瞬のご馳走です。

再び口が封印され、茶壷を水屋へ引いて口切は終わりました。

次は初炭です。
毎年ですが昼食準備のため炉開きの炭手前を見届けられず、いつもお点前さんと社中の方に安心してお任せしています。

炉を開いたばかりなのでどなたも稽古は十分ではありませんが、間違っても良いのです。

今できることを失敗を恐れず一生懸命やってみること、失敗も含めて人前でお点前する経験がとても大切だと思っています。状況に応じて、先輩方が優しく教えてくれることでしょう・・・そしていつか、教わった人も教える側にまわり、その時のことを思い出して後輩をやさしく指導することでしょう・・・

炭道具などを以下に記します。

 釜   霰唐松真形釜   美之助造

 炉縁  黒真塗  輪島

 炭斗  常盤籠  青竺作
 羽箒  シマフクロウ
 鐶   初代畠春斎
 火箸  利休好 桑枝  
 灰器  備前
 灰匙  利休好     
 香合  柿    高岡銅器
 香   黒方   鳩居堂
 
初炭の終了後に待合のテーブル席に動座していただき、四季弁当(戸塚区温石製)、汁椀(八ツ頭、なめこ、三つ葉、白味噌)、一献をお出ししました。酒は「神楽」(南魚沼産)です。

続いて、主菓子の汁粉(小さな餅入りで、こちらも南魚沼産)をお出ししました。

この頃、天候が急変し雨が降り出したので中立を取りやめ、そのまま暫時休息していただきました。(次につづく)

 

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