暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

楽美術館・茶会  黒の魅力-その1

2013年03月26日 | 献茶式&茶会  京都編

御所の枝垂れ桜が咲く頃に(左クリックして見てください)、
楽美術館・特別鑑賞茶会へ伺いました。

昨年の9月以来2回目で、茶友Oさんが予約してくださり、
二人で嬉しく出かけました。
いつも当代が生けられた花が出迎えてくれます。

            

正客はアメリカ・ペンシルベニア州在住の日本人男性で、
アメリカ人の奥様(?・・maybeです)が次客でした。
その男性は「よくわからないので・・・」と遠慮されていましたが、
正客となり、きっと佳き思い出になったのではないかしら?
当代と同い年というのも、何かのご縁だと思いました。

私は五客、Oさんは六客でしたが、丁度斜めに向いて正座している席主と
対峙しているような位置でして、ずーっと幸せでございました(大ファンなのです!)。

本席のお軸は「楽」と書かれた大きな一字、伏見宮貞愛親王の御筆で、
十二代弘入が拝領し、印字としても使ったそうです。
「でも今日は「たのしい」と読んでくださいね」と席主。
青銅瓢花入(九代淨益作)にピンクの椿が一枝。

            

手付きの喰籠に入ったお菓子がまわってきました。
「香炉釉手付輪花蓋鉢、覚入作で水指として作ったのかもしれません。
 蓋裏と内側に銀がはってあって、お菓子が映えるんです」
「あらっ・・・(ホント!)」
きんとんの薄桜色が銀箔に映って、上品で、はかなげな美しさです。
菓子銘は「錦春」、聚洸製です。

釜は裏甲釜、西村九兵衛造、炉縁は真塗高台寺蒔絵です。
お点前さんがちょこんと置いた、蓋置の愛らしさと存在感に見惚れていると、
すぐに蓋が乗せられて、見れなくなりました。

お点前さんが二椀点てられ、あとは水屋から運ばれました。
主茶碗は半筒のような狂言袴写赤楽ですが、詫びた風情のある茶碗です。
作者は四代一入、実は最近、五代宗入とともに注目している方の作でした。

私は団子絵黒楽茶碗、都をどりで茶席菓子皿に使われる団子絵が鮮やかで、
楽しい茶碗です。団子は漆絵で最近、塗り直したそうです。
内側にも団子絵があり、こちらは三個でグレーでした。
Oさんは桜絵赤楽茶碗、共に十四代覚入作で、この二つは一双になっているそうです。
仲良く、一双の茶碗で薄茶を頂き、大喜びしました。
薄茶は一保堂の丹頂の昔です。

           

客一同、薄茶を頂いてから、六個の茶碗が中央に並べられ、
当代が一碗一碗、丁寧に解説されるのが、楽しみであり、勉強になります。

九代了入作の茶碗が替として三碗使われました。
一碗目は、二条内筆洗赤楽
二椀目は、黄瀬戸写 唐和七種之内
三碗目は、赤絵写 唐和七種之内 

了入は隠居後、信楽で自由に愉しみながら、いろいろな作品を作ったそうです。
唐和七種もその一つで、黄瀬戸、赤絵(安南写?)、志野、三嶋、珠光青磁、
古清水、あと一つは何だったかしら??
隠居印もいろいろあって、使い分けて愉しんでいたみたいです。
轆轤は使っていないが、轆轤目のようにヘラを入れて楽しんだ話なども・・・。

隠居後の了入のお話をする時に、ちょっぴりうらやましげに感じたのは
私だけでしょうか?
(柵を離れて、山にこもって自由闊達な作陶の日々・・・好いですよねぇ~)

                                       

            楽美術館・茶会 黒の魅力-その2へつづく