暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

五事式-2 雪間の草の春

2013年03月23日 | 思い出の茶事  京都編
             (季節はどんどん移ろい、春一色の鴨川べり)

廻り炭が終わると、懐石です。
京遊庵さんの懐石を賞味しながら
茶談義や京都の暮らしなど、久しぶりの再会につい話が弾みました。
主菓子は亀屋万年堂の「下萌え」、白い雪に若緑が顔を見せています。

ここで、中立をさせていただきました。
銅鑼の音で後座の席入りです。
床には花器が五つあり、花寄せのようです。
山里棚に落ち着きのある単瓢の水指(ぜぜ焼)が荘られていました。

                

花台が運び出され、すぐに花寄せが始まりました。
1週間前の茶事で花寄せを考えていたのですが、
花屋さんに相談したところ、
「花が少ない時期なのでご用意できるか、お約束できません・・」
と言われて断念した経緯があり、お花が揃うかしら?と案じていました。

・・が、花台には選ぶのを迷うほどたくさんの花がありました。
早春の歓びに溢れる花は茶花の先生と相談しながら調えてくださった、
ご亭主心づくしの花でした。

中釘の竹花入へ辛夷の芽の枝と紫の苧環を入れました。
次客Iさんは織部の花入に万作とうす雪さくら・・・・
最後に、ご亭主が備前の花入に寒あやめを入れると、
春の女神が広間へやってきて、春爛漫の華やかさとなりました。

           

香盆が運ばれ、香を焚かせて頂きました。
香包を開けると、たくさんの香が入っていたので
大きめを選んで雲母に乗せたとたん、上品な香りが満ちて行きました。
香銘をお尋ねすると「淡雪(あわゆき)」、香木は伽羅です。

残香を楽しみながら、濃茶点前が始まりました。
ご亭主が心をこめて点てる濃茶なので、特別にお声を掛けて
半東のKさんにも席へ入って頂きました。
七事式を研鑽する同志が心静かに喫む濃茶のひととき・・・
井戸茶碗で、緑濃く、薫り高く、よく練られた熱い濃茶が回され、
まろやかですっきりした味わいでした。
茶銘は坐忘斎家元お好 「花香(かこう)の昔」、詰は松江の中村茶舗です。

           

「薄茶は花月で」の挨拶に応えて、帛紗を付けて四畳半へ入りました。
干菓子(薄氷と梅花)が運び出され、花月が始まりました。
茶碗は備前焼、還元炎で発色した青磁色合が魅力的な一碗でした。
全員が服したところで隅かけとなりました。
茶入は備前火だすき、
茶杓は銘「たまきはる」、
仕覆は若草色の双鶴二重蔓牡丹唐草、
薄器は、胴に土筆、蓋裏にスギナの蒔絵がかわいらしい中次でした。

次いで、一二三之式となり、高得点が入り、嬉しゅうございました。

最後に、ご亭主からの宿題は、冒頭に掲げた和歌でした。
     花をのみ待つらむ人に山里の
         雪間の草のはるを見せばや    藤原家隆


素晴しいお仲間と共に、奥深きテーマの五事式を愉しむことができまして、
一首浮かんでまいりました。御礼かたがた・・・

        雪深き奥の細道分け入れば
           雪間の草のはるや爛漫     暁庵   

                           やっとできて「ふぅ~!」 

          五事式-1 雪間の草の春へ戻る