九月末の或る日、
茶友Kさんに同行してY先生の茶事へ伺いました。
Y先生とは初対面ですが、素敵な方と伺っていましたので、
正客のKさんとご一緒に私も・・・とお願いしました。
詰のOさんはY先生のお弟子さんです。
総武線に乗ると、市川、船橋あたりから松林が多くなり、
海が近く、砂丘上にある街の匂いを感じるのは私だけでしょうか。
Y先生のお宅はその先にありました。
昔は海の近くで、先代は海苔の養殖を生業にしていましたが、
今は海も埋め立てられて遠くなり、漁業とは縁が切れてしまったそうです。
風土にまつわるお話を興味深く伺いながら茶事が進みました。
待合には月を眺める座禅を組んだ一人の僧。
洒脱な雰囲気の画でしたが、
京都の亡き師匠に頭の形が似ていらっしゃるとか・・・。
床の軸は、「白珪尚可磨」(はっけい なお みがくべし)。
若き日に京都へ茶の修行へ出掛けられたというご亭主の
気概が感じられる、厳しい禅語です。
点前座には五行棚、黒の紅鉢、雲竜釜が設えてありました。
「やっとお目にかかれました」・・と挨拶を交わしました。
初対面とは思えない、くつろいだ雰囲気が四畳半の小間を満たします。
それはきっと、ご亭主の自然体から成るもののようです。
懐石はお弟子さんと一緒に手づくりされたとのこと。
煮物椀に浮かんでいる月は卵豆腐かしら?と思いましたが、
上が黄身、下が真蒸になっていて、味好く、青菜、椎茸の煮物、
青柚子が添えられたシンプルで美しい一品です。
名産物のあさりが八寸に登場し、潮干狩りができたという海浜の様子を
思い浮かべながら賞味しました。
懐石は簡素に一汁三菜とのお話を、頷きながら伺いました。
五行棚の初炭手前が始まりました。
炭斗はしっかりと編まれた白竹の籠です。
Kさんがお尋ねすると、
「塩籠です。大相撲で力士が仕切りながら塩を掴みますが、
その塩を入れる籠で、この近くで作られています。
中に和紙を貼ってみました・・・」
さらに、中の炭を見て、びっくり!
「紅鉢を使いましたので、どうしても火床が浅く狭くなります。
それに合わせて小さな炭を切ってもらいました」
特注された炭でした。
丈が短く、かわいらしい枝炭も入っています。
心尽くしのご準備にKさんと感じ入りました・・・。
香合は、扇形の木地に螺鈿の鈴虫、露芝の黄金色の露が
キラキラ輝いています。
蓋を開けると、中につけ干しが1個入っていました。
この時期になると、つけ干し香の話がよく出ますが、
茶事で拝見したのは初めてです。
作り方を教えて頂き、座が大いに盛り上がり、
一気に名残りの風情が増したようです。
( 潮香る町の名残りの茶事(2)へ )
茶友Kさんに同行してY先生の茶事へ伺いました。
Y先生とは初対面ですが、素敵な方と伺っていましたので、
正客のKさんとご一緒に私も・・・とお願いしました。
詰のOさんはY先生のお弟子さんです。
総武線に乗ると、市川、船橋あたりから松林が多くなり、
海が近く、砂丘上にある街の匂いを感じるのは私だけでしょうか。
Y先生のお宅はその先にありました。
昔は海の近くで、先代は海苔の養殖を生業にしていましたが、
今は海も埋め立てられて遠くなり、漁業とは縁が切れてしまったそうです。
風土にまつわるお話を興味深く伺いながら茶事が進みました。
待合には月を眺める座禅を組んだ一人の僧。
洒脱な雰囲気の画でしたが、
京都の亡き師匠に頭の形が似ていらっしゃるとか・・・。
床の軸は、「白珪尚可磨」(はっけい なお みがくべし)。
若き日に京都へ茶の修行へ出掛けられたというご亭主の
気概が感じられる、厳しい禅語です。
点前座には五行棚、黒の紅鉢、雲竜釜が設えてありました。
「やっとお目にかかれました」・・と挨拶を交わしました。
初対面とは思えない、くつろいだ雰囲気が四畳半の小間を満たします。
それはきっと、ご亭主の自然体から成るもののようです。
懐石はお弟子さんと一緒に手づくりされたとのこと。
煮物椀に浮かんでいる月は卵豆腐かしら?と思いましたが、
上が黄身、下が真蒸になっていて、味好く、青菜、椎茸の煮物、
青柚子が添えられたシンプルで美しい一品です。
名産物のあさりが八寸に登場し、潮干狩りができたという海浜の様子を
思い浮かべながら賞味しました。
懐石は簡素に一汁三菜とのお話を、頷きながら伺いました。
五行棚の初炭手前が始まりました。
炭斗はしっかりと編まれた白竹の籠です。
Kさんがお尋ねすると、
「塩籠です。大相撲で力士が仕切りながら塩を掴みますが、
その塩を入れる籠で、この近くで作られています。
中に和紙を貼ってみました・・・」
さらに、中の炭を見て、びっくり!
「紅鉢を使いましたので、どうしても火床が浅く狭くなります。
それに合わせて小さな炭を切ってもらいました」
特注された炭でした。
丈が短く、かわいらしい枝炭も入っています。
心尽くしのご準備にKさんと感じ入りました・・・。
香合は、扇形の木地に螺鈿の鈴虫、露芝の黄金色の露が
キラキラ輝いています。
蓋を開けると、中につけ干しが1個入っていました。
この時期になると、つけ干し香の話がよく出ますが、
茶事で拝見したのは初めてです。
作り方を教えて頂き、座が大いに盛り上がり、
一気に名残りの風情が増したようです。
( 潮香る町の名残りの茶事(2)へ )