港区まち創り研究会(まち研)ブログ

港区まち創り研究会の活動の状況やまちづくりについての様々な情報をお伝えします。
海外の街あるきの報告もあります。

世界の街から19---イギリスのガーデンシティ・レッチワース

2011-08-30 20:30:19 | イギリスの街から
世界の街から19――イギリスのガーデンシティ・レッチワース

レッチワース 航空写真

 イギリスのエベネザー・ハワードが提唱したガーデンシティ構想を初めて実現した都市がレッチワースである。ハワードは大都市郊外に人口3~5万人程度、公園や森、農地が多くある住宅地を考えた。「田園と都市の結婚」を目指し、地域コミュニティの形成を理想とした。ハワードは最初は夢想家として、社会から評価されていなかったが、熱意と努力により、苦労の末1903年最初のガーデンシティ・レッチワースを着工することができた。

設計はレイモンド・アンウィンという建築家が行っている。ガーデンシティの建設・運営は土地開発会社が一元的に行い、住民や企業に賃貸している。住民自身が公共施設の整備を進めた。

アンウィンの最初の計画図

現在の土地利用計画図 黄は商業 青は工業 緑は公園
 このガーデンシティの考え方は、世界中に大きな影響を与えた。ドイツの多くの住宅知開発、日本では、小林一三の阪急電車沿線の住宅地開発、渋沢栄一の田園調布の開発、イギリスの戦後のニュータウン計画の基本となっている。


● ガーデンシティ・レッチワースの印象
 私がレッチワースを訪れたのは10年以上も前で、滞在も1日だけだったので、その時印象に残ったことをお伝えしたい。
  ・ 100年以上も経た街であるが、まだ活気があり、暖かみと、親しみやすさを感じた。
    しっかりしたコミュニティが根付いていることがうかがえた。
・ 駅舎は小さくてかわらしい。

駅周辺
・ 大きな建物はなく、商店街も3階建てでデザインも統一されている






・ 商店街は人通りも多く、にぎわいがあった
・ 街全体に緑が多く、歩行者が楽しんで歩ける歩行者道と広場を都市の軸線にしている。

歩行者道の軸線

歩行者道の軸線
・ 住宅地の前庭が広く、住民が庭を熱心に手入れしている。前庭を通る人とコミュニケーションを図っているようだ。私が通りを通ると、声をかけてきて、どこから来たのか、私の親戚の一人が日本に行ったことがある、などと話しかけてきた。

・ 住宅地の小さなコミュニティで使う緑のコモンスペースが街区の中にある。

街区の中の緑のコモンスペース
・ 駅に近い公園は広く、いろいろなスポーツを楽しむことができる。
・ 職の場として、工業団地があり、まだ活動しているようだった。

● ガーデンシティ・レッチワースの特質
・ 街のにぎわい、職場、緑、公園、田園、住宅地がうまくバランスしている。ハワードの考えた都市の理想が実現されている。
・ 土地開発会社が都市全体を所有し、管理しているので、公共的なスペース、共用部分の管理がしっかりしているので、財産価値も高い。
・ そのため、地域の共用空間が多く存在し、利用や管理も住民が協働して行っているため、コミュニティがしっかり根付いている。

住宅地景観

● ガーデンシティ乗っ取り事件
1950年代に土地投機会社が乗っ取りを企てる事件があった。1960年代には、会社の経営がホテルヨーク(株)に移る事態にまで発展した。公共的資産が投機会社に買収されると、ガーデンシティ全体の環境の悪化を招く恐れがあると、レッチワース市議会と住民が警戒しはじめた。
レッチワース市議会は条例をつくり、公社を設立し、公社に土地の所有権を与え、公共的な資産についての管理も公社が行うことになった。
こんなことが起きたのは、ガーデンシティがある程度成功を収め、資産価値が向上したためと考えられる。

● ニューガーデンシティ舞多聞
最近、神戸市垂水区でハワードの考え方に基づいたガーデンシティ舞多聞「みついけプロジェクト」が完成した。プロジェクトの実行体制は都市再生機構、神戸芸術工科大学、住む予定の住民などで神戸芸術工科大学学長・建築家の齊木崇人氏が全体をまとめている。定期借地権方式で、それぞれの敷地も広く、ガーデンシティにふさわしい街並みになっているようだ。このプロジェクトも視察した後、報告したい。

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世界の街から18---アブダビの未来都市マスダールシティの計画

2011-08-29 22:02:28 | その他アジア・中近東の街から
世界の街から18―――アブダビの未来都市マスダールシテイの計画

マスダールシティ


マスダールシティ

 インターネットから見つけた情報で、アブダビに世界初の環境都市の建設計画がある。
私には最近見られない未来都市計画として興味深いのでご紹介する。
立地は、アブダビ市から17kmの位置にある。
二酸化炭素排出量が0、ゴミの排出量が0を目指す都市である。2006年から計画されていて、2015年完成を予定されている。予算は2兆円。都市の大きさは6.5k㎡、人口4.5~5万人、就業者は6万人を予定している。
 エネルギーは太陽光発電、水力発電、地熱発電、風力発電の組み合わせでまかなう。
車の進入は禁止されている。都市交通は大量公共輸送機関と個人用輸送機関(PRT)で行う。有機性のゴミは、土壌などに還元されゴミの焼却熱は、発電にも使われる。
 また、プロモーションビデオを見る限り、すべてがコンピュータで制御される電脳都市になっているようだ。

 全貌は完成してみないとわからないが、私の感想として
・居住と生産の機能を備えている。
・すべて自然エネルギーでまかなう。
・ゴミの排出量を0にする循環都市である
・密度が高く、コンパクトな都市である。
・高層ビルもない。
・車を排除している。
 などの観点は、賛成でき、評価できる素晴らしい計画である。
 一方、あまりに計画が理論的、人工的で、一般の人がこの都市になじむかは疑問が残る。
暖かみや人間らしさ、コミュニティの育成ができるかが課題になるだろう。
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港区まち創り研究会今後の活動について

2011-08-27 09:25:58 | 港区まち創り研究会

港区まち創り研究会今後の活動について

 8月25日、会員の定例会議で港区まち創り研究会の昨年度の反省と今年の活動方針について話しあいをしました。
 公開講座の中では、柱になるテーマを決めること。その中で、自転車のまちづくりについての興味を持つ会員が多かったです。
 公開講座の中で世田谷区、練馬区、横浜市の「市民参加のまちづくり」の各団体の活動を学びつつ、港区でも実践活動を行ったらどうかという提案もありました。
自転車のまちづくりに関連して、港区でも自転車専用レーンの整備、放置自転車の排除、自転車走行マナーの徹底などの活動を展開したいという意見がでました。
自転車が安心して走ることができない、歩行者の保護が十分でない、白い杖を持った方と自転車の事故が多い、放置自転車が目に余るなどの課題が提示されました。
 まずは田町駅西口周辺地区をとっかかりとして、港区、警察署、商店会、町会など各団体と協働で活動を展開したらどうかという提案もありました。
 これからの定例会で議論が進められると思いますので、ご期待ください。
また、これらの活動に興味がおありの方は、以下にご連絡ください。
メール  ymtjr108@gmail.com      安藤まで。
次回の定例会は9月22日(木)午後7時より 場所は「芝コミュニティはうす」  です。
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世界の街から17----イタリア ヴェネツィア 車から開放された水の都

2011-08-24 15:05:15 | イタリアの街から

世界の街から17----イタリア ヴェネツィア 車から開放された水の都

ヴェローナから鉄道に乗り、長い橋を渡るとヴェネツィアの駅に着く。大きな船に乗り、運河をしばらく走りリアルト橋で降りる。橋の近くの古い小さな宿に泊まる。
3日間滞在し、歩いた結果、ヴェネツィアをまちづくりの観点から解析してみる。


ヴェネツィアの航空写真

1 水の都

 ちょっと歩くと、運河や海の水を見ることができる。まさに、水の都で、船やゴンドラ橋などの景色がエキゾチックで心地よい。決してきれいな水ではないが、密度が高い都市であることを感じさせない。

大運河

ゴンドラ

狭い運河

運河と町並み

運河とトンネル
2 車から開放された街
 舟が輸送手段となっているため、街全体に車は一台もない。自転車も禁止されている。すべての道は歩く人のために開放されている。こんなに安心して道を歩ける街は他にない。歩いていても、何かうきうきしてくる。狭い路地も全く気にならない。
車から開放されると、こんな楽しい街になるかを改めて実感する。

路地空間

楽しい路地

店と道が一体化している

店と道の一体化

3 迷路の街
 車が走らないので、まっすぐな道はほとんどない。歩いていて先が見通せないので、次にどんなシーンになるのかわからない。不安と期待でわくわくする。しかし、歩いていると方向感覚がなくなり、自分がどのあたりを歩いているかわからなくなる。敵から攻められた時の防御として、わざわざ迷路空間をつくっているのだろう。

4 人にすぐ会える安全な街

 大勢の人が歩いていて、すぐに人に会えるので、迷路的な都市であるが安全である。

5 建物のデザインの統一と多様性
 グーグルアースで街の上から散歩すると、はっきりわかる。ほとんどの建物は、赤い勾配のある屋根、白い壁かベージュ色の壁、高さは3階から4階に見事に統一されている。
逆に、このデザインでない建物は、教会とか公共的な建造物で、遠くからでもすぐ目立つ。
一方、運河や道から見ると建物の様式は、バロック、ゴシック、ロマネスク、ルネッサンスなどが多様な様式が混在し、ディテールは、変化に富み美しいものが多い。

デザインの統一性 グーグルアースより

建物のディテールに変化があり美しい

建物の外観の変化

建物の外観の変化

6 街全体の建ぺい率が高い

 道の幅員が狭いため、建物がこれほど密集している都市はない。広いオープンスペースもなく、街全体での建ぺい率が最も高い都市ではないだろうか。歩いていても、密集して不快な感じはない。建物の高さが3~4階に抑えられているからであろう。

7 広場と道

 広場の大きさも大小様々である。最も、大きな広場はサンマルコ広場でヴェネチュアの象徴となっている。どの広場も役割が決まっているのであろう。使いやすそうに見える。

 道も路地が多いが比較的広いメインの道があり、大勢の人が歩いている。

サンマルコ広場周辺の航空写真

サンマルコ広場

広場

広場

サンマルコ広場での演奏会

8 緑が少ない
 街全体に緑は少ない。水の街だから緑の必要性は少ないのかもしれない。

 9 バリアフリーではない
全体は平坦で歩きやすいが、橋などに結構階段があり、建物にもエレベータはほとんどない。
歴史的建造物を残しているので、やむをえないが、バリアフリーではない。

おわりに
もし、私が未来都市を描くとすれば、このヴェネツィアのような街が基本になるだろう。 
コンパクトな街で車を使わず、歩いてどこにも行ける。路地や広場、水空間があちこちある。まっすぐな道はなくやや迷路的な空間であるが、すぐに人に会えるので安全。さらにヴェネツィアにはない緑や花にあふれ、公共的なエスカレータ、エレベータがあるバリアフリーな街であればこんな快適な都市はないだろう。
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竹脇 無我氏を悼む

2011-08-23 18:18:57 | 港区まち創り研究会

港区まち創り研究会とは、全く関係ない話題です。
竹脇無我氏が亡くなられたとの報道を聞き、心よりお悼みもうし上げます。
実は、私(安藤)は竹脇無我氏のお兄さん真理氏と中学校の時、同級生で、彼がすぐ前の席にいたのでよく話をしていました。
真理氏は、頭のよい優等生でスポーツ万能、まじめすぎるような男で、同級生みんなからも信頼されていました。
お父さんの竹脇昌作さんは、当時、映画のニュースの朗読の名調子で、一世を風靡した人でした。当時、有名人だったお父さんが運動会で後の方で目立たないように応援していたのを見たことがあります。
竹脇家は男3人兄弟、真理氏が真ん中、無我氏は末だったと思います。
夏休みの時、神宮外苑のあたりで、ばったり竹脇3人兄弟にお会いしたことがあります。3人とも、蝉取りでもしていたのか、短パンのような活動的なスタイルで足がすらっと長く、すごくかっこよかったのを覚えています。
竹脇真理氏は、高校生の時、脳腫瘍で亡くなりました。彼が生きていたら、社会にでて大活躍してだろうなあと今でも残念に思います。その後、竹脇昌作さんも鬱病で自殺されました。
竹脇無我氏は、その後、映画界でデビューしたので、密かに応援していたのですが、亡くなられたとのことほんとうに残念です。
今でも、神宮外苑で3兄弟にお会いした時のことをはっきり覚えています。
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港区招待企画のラグビーの試合を見てきました

2011-08-22 08:31:46 | 港区まち創り研究会
港区招待企画のラグビーの試合を見てきました。
秩父宮ラグビー場が港区にあるので、港区あげてラグビーの試合を応援しているようで、町会にも時々ラグビーのチケットが配布されます。
8月21日はラグビーワールドカップ2011ニュージーランド大会壮行試合 「日本代表」対「アメリカ代表」の試合を地域の方9人と見てきました。雨がぱらつく天気でしたが、観客席はほぼ満席でした。ナイターなので芝生がきれいで、選手が大きく見え迫力があります。試合は、20対14で日本が勝ちましたが、双方の実力が拮抗し、シーソーゲームで面白い試合でした。
ラグビーを初めて見る方も多く、ルールがわからないと尻込みしていましたが、きてみるとボードに反則の解説もあり、皆楽しめたようでした。
区民として、これからもラグビーの試合を応援していきたいと思います。
終わって、近くの飲み屋でまた盛り上がりました。
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世界の街から16---イタリア シエーナ 広場と路地の街

2011-08-20 12:34:30 | イタリアの街から
世界の街から16   イタリア シエーナ  広場と路地の街

シエーナ 迷路のような路地

カンポ広場と周辺の建築物

 イタリアの都市には必ず広場があり、イタリア人は都市の生活空間として上手に使っている。夕方の広場は人で一杯になっていることもある。そこで、人に会い話をしたり、なんとなく集まったり、ぼんやりしたり、その人なりに広場を楽しんでいる。広場がギリシャ・ローマ時代から政治の討論の場、社交の場、商取引の場として使われていた伝統があるのだろう。
 日本の都市空間では広場は少ない。広場があってもうまく使われていないのがほとんどである。広場を通り過ぎていく人が多く、そこに留まる人はあまりいない。市民社会としての歴史が浅く、生活空間として根付いていないためであろう。
フィレンチェからレンタカーを借りてシエーナを訪れた。シエーナは、中世にできた都市で、イタリアでも最も美しい広場と言われるカンポ広場がある。シエーナの街は曲がりくねった路地が多く、迷路のようである。カンポ広場は丘の上にある。カンポ広場のマンジャの塔は遠くからでも見えるが、広場はほとんど見えない。

遠くから見る広場周辺

路地を通り抜けると突然、広場が現れるしかけとなっている。上から見ると、このカンポ広場を中心に街がつくられていることがわかる。


路地を抜けると広場になる
 カンポ広場は、扇が開いたような形で扇の要になる部分が最も低く、そこから緩やかな斜面になっている。要になる部分で演説とかパフォーマンスが行われる想定になっているのだろう。広場に面してカフェがあり、外に座っていつまでも広場を見ることができる。

カンポ広場

カンポ広場

カンポ広場

広場に面したカフェ
美しい広場とは何かというと、広場の周りの建物との一体感、調和がとれているかが一番のポイントだろう。広すぎても、狭すぎてもいけない。マンジャの塔を中心に広場を取り囲む建築群のまとまりが素晴らしい。建物のバルコニーから広場を見渡せるようにできている。カンポ広場では毎年、裸馬の競馬が行われるが、バルコニーは、この競馬を見る人で一杯になるようだ。
広場から別の路地を抜けると、シエーナの大聖堂(ドーモ)が現れる。大聖堂は大きくはないが、壮麗で気品があり美しい。ドーモの前にも広場があり、人が集まっている。

壮麗なドーモ

路地空間とドーモ

路地区間

路地空間
港区にも、誰でも使える美しい広場があるといいなあと思う。いろいろなイベント、市民集会が行われ、あるいは誰でも傍聴できる青空区議会も開催されたら素晴らしいのではないだろうか。
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世界の街から15---ドイツ シュトゥットガルト市に学ぶ風の道計画

2011-08-15 22:16:32 | ドイツの街から
ドイツ シュトゥットガルト市に学ぶ風の道計画

シュトゥットガルトは人口約60万人ドイツ南西部に位置する都市で、ダイムラー、ポルシェ、ボッシュなど世界的企業の本社が立地している。ベンツ博物館やポルシェ博物館がある。
ドイツは、どの都市においても地区詳細計画や土地利用計画など細かく都市計画を定めている。建物の高さはもとより、屋根のかたち、色など周囲の環境と調和するようきめ細かく定めている。
かって、筆者(安藤)がドイツのある市役所の都市計画課を訪問したことがある。短い時間であったが、二つ感心したことがあった。
一つは、様々な大きな計画図を廊下にはりだしており、市民が誰でもいつでも見られるようにしていることである。計画通り、都市計画が進んでいるかどうか、チェックできるのである。日本では、様々な計画が作られているが、市民のほとんどが知っていない。また、見る機会も少ない。
もう一つは、役所の各課は大部屋ではなく、研究室のように独立している。各課の職員は、その部門の専門職となっている。大学の教員であった人や博士号を持った人も珍しくない。日本のように、あちこちの課を移動するのではない。また、ずっと役所に勤めるのではなく、5年とか10年契約である。したがって専門的な事項については、精通しているので、その人に任される権限は大きい。

1 風の道
 シュトゥットガルトの都市計画の大きな特徴は、中心市街地を分断する幅100mの緑地帯がつくられていることである。もともとはベンツやポルシェといった自動車産業の発展により、大気汚染が深刻化したことにより、大気の流れをつくり空気を浄化するために、緑地帯による風の道をつくったのである。この風の道により、都市のヒートアイランド現象を防ぐことができる。港区でも、ぜひ見習いたい計画であり、タウンフォーラムなどで何度か提案しているが、あまり前進していない。
 筆者もこの緑地帯を歩いて見たが、100m幅というのは広すぎる位なオープンで快適な空間になっている。イベントの展示空間にも利用されている。

風の道計画図 緑が風の道

風の道 中心市街地から入口部分

風の道 広いオープンスペース

風の道

2 都市気候の制御と自然による環境緩和機能
 シュトゥットガルト市は、都市の中で多くの地点で温度、湿度、風の強さ、向き、大気の汚染状況など継続的に詳細に調査している。開発等の要因による都市の変化に対し、都市気候がどのように変化するかを把握し、それを地区計画に反映している。市街地の建築物の高さは5階建を上限とし、隣棟間隔は3m以上とされている。
その他、伏流水を用いて地表を冷やすことや屋上緑化の推進、都市全体の緑のネットワークの形成など、自然による環境緩和を図ろうとしている。
 これらのことは港区でも、十分実現可能である。ぜひ、ヒートアイランド現象のない港区になってほしいと願う。

中心地区のモール

都市気候図
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世界の街から14--オーストラリア アデレードに学ぶ 生活を楽しむ都市のありかた

2011-08-13 21:04:17 | オーストラリアの街から
>オーストラリア アデレードに学ぶ生活を楽しむ都市のありかた

住宅地にある池の風景

アデレード航空写真
アデレードに5年滞在しているOさんの案内であちこち歩き回った。オーストラリア人は、よほどのことがない限り残業しない国民で、働きすぎるより生活を楽しむことを優先する。そんなオーストラリア人が生活を楽しむためにあるアデレードの街をご紹介したい。
アデレードは、1836年、イギリスの軍人ウィリアム・ライトにより計画された都市である。計画して、200年足らずで100万人都市となっている。
ウィリアム・ライトの銅像が街の真ん中に建てられている。都市計画を行った人物が銅像で飾られているのは、この人だけであろう。

ウィリアム・ライトの銅像
● 都市の構成
オーストラリアの都市に多い碁盤目状の道路を基本とした構成となっているが、この計画には以下のようななかなか優れた点がある。
1 中心市街地を広いオープンスペースで環状に取り囲んで、グリーンベルト構想を実現している。グリーンベルトは、比較的中心市街地に近く、ちょっと歩けば公園に接することができ、その外側に住宅地が展開している。
2 市街地を分断する大きな川のまわりに広い緑地帯を確保し、公共施設やゴルフ場を配置している。川のまわりの景観が広々として中心市街地の魅力を引き出している。
3 都市軸ともいえる広い道路を都市の中心部に配置している。
  交差点を広いロータリーにして、道路の中に広場を確保している。
4 賑わいのあるショッピングモールがある
5 海も都市の中で生かされている
もし、世界の中で一番生活を楽しみながら住んで見たい都市はどこかと問われた時、アデレードが上位に入ることは間違いない。一年中気候がよく、スペースがどこもゆったり作られて、緑と水にあふれた美しい都市であるが、100万人都市の賑わいもある。
● 水を生かした住宅地3題
1 池と公園と住宅地
 池と公園を中心に配置し、そのまわりに住宅地がある。池には、かもが泳ぎ池のまわりに花が咲いている。池には橋がかかり、ぐるりと一周できるようになっている。こんなに美しい住宅地は見たことがない。

住宅地にある美しい池

住宅地の景観

住宅地の景観

住宅地の景観

住宅地の景観

水をきれいにの看板


2 水路沿いの住宅地

 川から引き込んだ水路沿いに住宅地を配置している。ボートでも行き来ができるようだ。
対岸から見た連続する住宅地の景観は素晴らしい。





3 クルーザー係留付きマンション
 建てられたばかりの海にクルーザーやヨットを係留できるマンションである。ヨットやクルーザーを楽しむために造られている。別荘のような利用をされているかも知れない。

係留権付きマンション

計画図
● 川沿いのオープンスペース
 川沿いは広いオープンスペースを確保し、ゴルフ場もある。主要な公共公益施設も配置している。川もボートなどで楽しむ場となっている。市民が楽しむレクリエーション空間となっている。

川沿いのオープンスペースの看板




● 中心市街地を囲むグリーンベルト地帯
中心市街地を囲むグリーンベルト地帯は、公園のようなオープンスペースが連続している。その一部のボタニックガーデンを訪れた。南半球の植物を集めた美しい庭園もあり、市民の憩いの場でもある。手入れの行き届いたオープンスペースとなっている。

ボタニックガーデン全体図

ボタニックガーデン

ボタニックガーデンのバラ園
● 賑わいのあるショッピングモール
長く連続する大きなショッピングモールがあり、ほとんどの買い物はここですることができる。ベンチや彫刻などの飾り、噴水など空間を楽しむ仕掛けが多くある。

ショッピングモール

ショッピングモール
● 広い道路空間
車道、歩道とも広く、ところどころに広場があったりして開放的である。

都市軸道路

道路が広がり広場になる

市街地を循環する無料バスもある
夜も昼も土日すらも忙しく働いている日本人にとって、想像もできないようなのんびりした生活を楽しむ都市がある。いずれは日本もこのようになるだろう未来の生活を垣間見たような気がした。
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世界の街から13 ベルギーの古都ブリュージュ

2011-08-11 17:18:38 | ベルギーの街から
ベルギーの古都ブリュージュ

運河からの景観がすばらしい
今日もまた、涼しそうなヨーロッパの美しい古都をご紹介したい。
 ブリュージュは、ベルギーの北部に位置するヨーロッパ有数の古都で世界遺産に指定されている。メルヘンチックな景観から日本人が好む街と言われる。
屋根のない美術館と言われ、世界中の人々が訪れる観光地として再生している。まさに、中世の街の姿をそのまま見せるための都市となっている。
ブルージュは9世紀から城があり、12世紀頃運河がはりめぐらされ、13世紀は金融・貿易の一大拠点として繁栄を極めた。15世紀以降はその地位をアントワープなどの都市に奪われ、衰退した。そのため中世の街並みがそのまま残されている。
ベルギーの詩人ローデンバックが「死都ブリュージュ」という小説を書いているが、繁栄した都市が死に絶えたというふうに捉えている。

ブリュージュの航空写真
●街の構造
街の隅から隅まで十分歩ける小さな街である。街は内側と外側の2重の環状の運河がある。運河の配置がそのまま、都市の構造になったまちである。空から見ると、生物の細胞のようにも見える有機的な形である。
道路のパターンは複雑で緩やかにカーブする道が多い。裏通りのどの路地に入ってもそれなりの趣きがある。
大きなマルクト広場と高い鐘楼が街の中心で、鐘楼が街のシンボルとなっている。
小さな広場もいくつかある。

舟からの景観

舟からの景観

舟からの景観 白塗りのレンガが目に付く


舟からの景観


緩くカーブした道と白塗りのレンガの建物


抜け道のような路地

ぎざぎざの三角の屋根の建物
●建物
中世ヨーロッパに見られたレンガづくりの階段状破風の屋根の家が多く見られる。
レンガを白く塗った家も多く見られる。
運河から舟で見る街の景観は、ほんとに素晴らしい。中世の交通手段が運河であったので運河から見る街並みが意識されているのであろう。
また、鐘楼から俯瞰する街の姿は、童話の世界のようである。ほとんどの屋根は赤い色に統一されている。

鐘楼から見たマルクト広場

赤い屋根の町並み

鐘楼から見下ろす童話のような町並み

 1000年も前の街がこんなに美しいのはなぜだろうか。歩く速度やゆっくり走る舟の速度に合わせて建物や街なみがていねいにつくられているためではないだろうか。
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