港区まち創り研究会(まち研)ブログ

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世界の街から15---ドイツ シュトゥットガルト市に学ぶ風の道計画

2011-08-15 22:16:32 | ドイツの街から
ドイツ シュトゥットガルト市に学ぶ風の道計画

シュトゥットガルトは人口約60万人ドイツ南西部に位置する都市で、ダイムラー、ポルシェ、ボッシュなど世界的企業の本社が立地している。ベンツ博物館やポルシェ博物館がある。
ドイツは、どの都市においても地区詳細計画や土地利用計画など細かく都市計画を定めている。建物の高さはもとより、屋根のかたち、色など周囲の環境と調和するようきめ細かく定めている。
かって、筆者(安藤)がドイツのある市役所の都市計画課を訪問したことがある。短い時間であったが、二つ感心したことがあった。
一つは、様々な大きな計画図を廊下にはりだしており、市民が誰でもいつでも見られるようにしていることである。計画通り、都市計画が進んでいるかどうか、チェックできるのである。日本では、様々な計画が作られているが、市民のほとんどが知っていない。また、見る機会も少ない。
もう一つは、役所の各課は大部屋ではなく、研究室のように独立している。各課の職員は、その部門の専門職となっている。大学の教員であった人や博士号を持った人も珍しくない。日本のように、あちこちの課を移動するのではない。また、ずっと役所に勤めるのではなく、5年とか10年契約である。したがって専門的な事項については、精通しているので、その人に任される権限は大きい。

1 風の道
 シュトゥットガルトの都市計画の大きな特徴は、中心市街地を分断する幅100mの緑地帯がつくられていることである。もともとはベンツやポルシェといった自動車産業の発展により、大気汚染が深刻化したことにより、大気の流れをつくり空気を浄化するために、緑地帯による風の道をつくったのである。この風の道により、都市のヒートアイランド現象を防ぐことができる。港区でも、ぜひ見習いたい計画であり、タウンフォーラムなどで何度か提案しているが、あまり前進していない。
 筆者もこの緑地帯を歩いて見たが、100m幅というのは広すぎる位なオープンで快適な空間になっている。イベントの展示空間にも利用されている。

風の道計画図 緑が風の道

風の道 中心市街地から入口部分

風の道 広いオープンスペース

風の道

2 都市気候の制御と自然による環境緩和機能
 シュトゥットガルト市は、都市の中で多くの地点で温度、湿度、風の強さ、向き、大気の汚染状況など継続的に詳細に調査している。開発等の要因による都市の変化に対し、都市気候がどのように変化するかを把握し、それを地区計画に反映している。市街地の建築物の高さは5階建を上限とし、隣棟間隔は3m以上とされている。
その他、伏流水を用いて地表を冷やすことや屋上緑化の推進、都市全体の緑のネットワークの形成など、自然による環境緩和を図ろうとしている。
 これらのことは港区でも、十分実現可能である。ぜひ、ヒートアイランド現象のない港区になってほしいと願う。

中心地区のモール

都市気候図
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