世界の街から17----イタリア ヴェネツィア 車から開放された水の都
ヴェローナから鉄道に乗り、長い橋を渡るとヴェネツィアの駅に着く。大きな船に乗り、運河をしばらく走りリアルト橋で降りる。橋の近くの古い小さな宿に泊まる。
3日間滞在し、歩いた結果、ヴェネツィアをまちづくりの観点から解析してみる。
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ヴェネツィアの航空写真
1 水の都
ちょっと歩くと、運河や海の水を見ることができる。まさに、水の都で、船やゴンドラ橋などの景色がエキゾチックで心地よい。決してきれいな水ではないが、密度が高い都市であることを感じさせない。
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大運河
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ゴンドラ
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狭い運河
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運河と町並み
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運河とトンネル
2 車から開放された街
舟が輸送手段となっているため、街全体に車は一台もない。自転車も禁止されている。すべての道は歩く人のために開放されている。こんなに安心して道を歩ける街は他にない。歩いていても、何かうきうきしてくる。狭い路地も全く気にならない。
車から開放されると、こんな楽しい街になるかを改めて実感する。
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路地空間
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楽しい路地
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店と道が一体化している
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店と道の一体化
3 迷路の街
車が走らないので、まっすぐな道はほとんどない。歩いていて先が見通せないので、次にどんなシーンになるのかわからない。不安と期待でわくわくする。しかし、歩いていると方向感覚がなくなり、自分がどのあたりを歩いているかわからなくなる。敵から攻められた時の防御として、わざわざ迷路空間をつくっているのだろう。
4 人にすぐ会える安全な街
大勢の人が歩いていて、すぐに人に会えるので、迷路的な都市であるが安全である。
5 建物のデザインの統一と多様性
グーグルアースで街の上から散歩すると、はっきりわかる。ほとんどの建物は、赤い勾配のある屋根、白い壁かベージュ色の壁、高さは3階から4階に見事に統一されている。
逆に、このデザインでない建物は、教会とか公共的な建造物で、遠くからでもすぐ目立つ。
一方、運河や道から見ると建物の様式は、バロック、ゴシック、ロマネスク、ルネッサンスなどが多様な様式が混在し、ディテールは、変化に富み美しいものが多い。
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デザインの統一性 グーグルアースより
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建物のディテールに変化があり美しい
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建物の外観の変化
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建物の外観の変化
6 街全体の建ぺい率が高い
道の幅員が狭いため、建物がこれほど密集している都市はない。広いオープンスペースもなく、街全体での建ぺい率が最も高い都市ではないだろうか。歩いていても、密集して不快な感じはない。建物の高さが3~4階に抑えられているからであろう。
7 広場と道
広場の大きさも大小様々である。最も、大きな広場はサンマルコ広場でヴェネチュアの象徴となっている。どの広場も役割が決まっているのであろう。使いやすそうに見える。
道も路地が多いが比較的広いメインの道があり、大勢の人が歩いている。
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サンマルコ広場周辺の航空写真
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サンマルコ広場
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広場
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広場
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サンマルコ広場での演奏会
8 緑が少ない
街全体に緑は少ない。水の街だから緑の必要性は少ないのかもしれない。
9 バリアフリーではない
全体は平坦で歩きやすいが、橋などに結構階段があり、建物にもエレベータはほとんどない。
歴史的建造物を残しているので、やむをえないが、バリアフリーではない。
おわりに
もし、私が未来都市を描くとすれば、このヴェネツィアのような街が基本になるだろう。
コンパクトな街で車を使わず、歩いてどこにも行ける。路地や広場、水空間があちこちある。まっすぐな道はなくやや迷路的な空間であるが、すぐに人に会えるので安全。さらにヴェネツィアにはない緑や花にあふれ、公共的なエスカレータ、エレベータがあるバリアフリーな街であればこんな快適な都市はないだろう。
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