港区まち創り研究会(まち研)ブログ

港区まち創り研究会の活動の状況やまちづくりについての様々な情報をお伝えします。
海外の街あるきの報告もあります。

世界の街から17----イタリア ヴェネツィア 車から開放された水の都

2011-08-24 15:05:15 | イタリアの街から

世界の街から17----イタリア ヴェネツィア 車から開放された水の都

ヴェローナから鉄道に乗り、長い橋を渡るとヴェネツィアの駅に着く。大きな船に乗り、運河をしばらく走りリアルト橋で降りる。橋の近くの古い小さな宿に泊まる。
3日間滞在し、歩いた結果、ヴェネツィアをまちづくりの観点から解析してみる。


ヴェネツィアの航空写真

1 水の都

 ちょっと歩くと、運河や海の水を見ることができる。まさに、水の都で、船やゴンドラ橋などの景色がエキゾチックで心地よい。決してきれいな水ではないが、密度が高い都市であることを感じさせない。

大運河

ゴンドラ

狭い運河

運河と町並み

運河とトンネル
2 車から開放された街
 舟が輸送手段となっているため、街全体に車は一台もない。自転車も禁止されている。すべての道は歩く人のために開放されている。こんなに安心して道を歩ける街は他にない。歩いていても、何かうきうきしてくる。狭い路地も全く気にならない。
車から開放されると、こんな楽しい街になるかを改めて実感する。

路地空間

楽しい路地

店と道が一体化している

店と道の一体化

3 迷路の街
 車が走らないので、まっすぐな道はほとんどない。歩いていて先が見通せないので、次にどんなシーンになるのかわからない。不安と期待でわくわくする。しかし、歩いていると方向感覚がなくなり、自分がどのあたりを歩いているかわからなくなる。敵から攻められた時の防御として、わざわざ迷路空間をつくっているのだろう。

4 人にすぐ会える安全な街

 大勢の人が歩いていて、すぐに人に会えるので、迷路的な都市であるが安全である。

5 建物のデザインの統一と多様性
 グーグルアースで街の上から散歩すると、はっきりわかる。ほとんどの建物は、赤い勾配のある屋根、白い壁かベージュ色の壁、高さは3階から4階に見事に統一されている。
逆に、このデザインでない建物は、教会とか公共的な建造物で、遠くからでもすぐ目立つ。
一方、運河や道から見ると建物の様式は、バロック、ゴシック、ロマネスク、ルネッサンスなどが多様な様式が混在し、ディテールは、変化に富み美しいものが多い。

デザインの統一性 グーグルアースより

建物のディテールに変化があり美しい

建物の外観の変化

建物の外観の変化

6 街全体の建ぺい率が高い

 道の幅員が狭いため、建物がこれほど密集している都市はない。広いオープンスペースもなく、街全体での建ぺい率が最も高い都市ではないだろうか。歩いていても、密集して不快な感じはない。建物の高さが3~4階に抑えられているからであろう。

7 広場と道

 広場の大きさも大小様々である。最も、大きな広場はサンマルコ広場でヴェネチュアの象徴となっている。どの広場も役割が決まっているのであろう。使いやすそうに見える。

 道も路地が多いが比較的広いメインの道があり、大勢の人が歩いている。

サンマルコ広場周辺の航空写真

サンマルコ広場

広場

広場

サンマルコ広場での演奏会

8 緑が少ない
 街全体に緑は少ない。水の街だから緑の必要性は少ないのかもしれない。

 9 バリアフリーではない
全体は平坦で歩きやすいが、橋などに結構階段があり、建物にもエレベータはほとんどない。
歴史的建造物を残しているので、やむをえないが、バリアフリーではない。

おわりに
もし、私が未来都市を描くとすれば、このヴェネツィアのような街が基本になるだろう。 
コンパクトな街で車を使わず、歩いてどこにも行ける。路地や広場、水空間があちこちある。まっすぐな道はなくやや迷路的な空間であるが、すぐに人に会えるので安全。さらにヴェネツィアにはない緑や花にあふれ、公共的なエスカレータ、エレベータがあるバリアフリーな街であればこんな快適な都市はないだろう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 竹脇 無我氏を悼む | トップ | 港区まち創り研究会今後の活... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

イタリアの街から」カテゴリの最新記事